2010年12月31日金曜日

東京圏のカラスの新しいねぐらは?―ご協力ください―

  

2002~2003年度にかけて、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県のカラスの集団ねぐら(100羽以上)の所在地と集まる数を調べました。そのデータをもとに地図上にプロットしました〔地図・赤い点〕。調査の結果、東京駅から半径50㎞(直径100㎞)圏に、集団ねぐらは100か所以上あり、数は約14万羽という結果が出ました〔地図の大きな円〕。その後のようすを調べていますが、その範囲は東京都庁を中心とした半径30km圏です〔地図の小さな円〕。
現在、それらのねぐらの近況をアンケート方式で調べるとともに、新しいねぐらができていないか調べています。ここ10年内にできたカラスのねぐらをご存知の方は、下記にお知らせ下さい。
【調査項目】1.集団ねぐらの住所・地名 2.集まるおおよその数 3.ねぐらができた年 4.ご報告者氏名 5.連絡先(住所・電話・Fax・E-mailなど連絡しやすい方法を)
【送り先】日本野鳥の会東京・研究部カラス係(いずれかの方法で)
〒160-0022 東京都新宿区新宿5‐18‐16 新宿伊藤ビル3階
/ Fax.03‐5273‐5142 /E-mail:kyw06432@nifty.com

2010年12月29日水曜日

尾の白いシメ・石神井公園で

  

今年はこのブログで、きれいな部分白化のハシボソガラスや全身純白のチョウゲンボウの話が出てきました。白化個体については、一般に「アルビノ」(albino)という言葉で呼ばれますが、正確にはアルビノは先天性メラニン欠乏症で、目が赤いものをいいます。このブログに登場している白化個体は「白変種」と呼ばれるもので、シロクジャクや白馬などと同じ系列で、発生のメカニズムが違っています。ただ、これらの言葉は一般的に区別されず、混用されいて、白化個体=アルビノとなっているようです。
ところで、12月27日、練馬区石神井公園でたわわに実ったイイギリにヒヨドリがという古典的な(?)写真を撮っていたら、近くの木の梢にやけに尾の白いシメを発見〔写真〕。何枚か撮るうちに飛び去って行きましたが、その後ろ姿で、尾全体が白いことがわかりました。背面等は確認できませんでしたが、尾が白いためか、やけに頭がでかく見えました。
 白化個体のシメについては、過去に八王子市の例が『ユリカモメ№624』(2007年10月号)・「フォト東京の鳥・3」で紹介されています。(川内博)

2010年12月20日月曜日

東京湾の水鳥の現状を考える・月例会1月14日の案内

  

研究部が毎月第2金曜日、夜7時~9時に開いている「月例会」。次回1月14日は、日本野鳥の会東京が東京都に出した意見書の内容について、検討していきたいと思います。
8月に都環境局から、10月の羽田空港拡張にともない、東京港鳥獣保護区の縮小についての意見照会が来ました。会はこれに対して、5つの条件を出し、「賛」としました。〔『ユリカモメ』2011年1月号参照〕
その条件の要旨は、1.東京港鳥獣保護区内の葛西臨海公園、海浜公園東なぎさ・西なぎさ、森ヶ崎の鼻干潟、多摩川河口などを特別保護区に指定すること。 2.東なぎさ・西なぎさの定期的な鳥類調査の実施と人工なぎさの自然回復。 3.鳥獣保護区の管理計画策定。 4.新しい東京都産鳥類目録の作製。 5.自然保護関係の団体との連絡会の創設です。今回は、これらの中身を関係者が集まって、具体的に検討しようというものです。会員以外も参加を歓迎します。
【タイトル】東京湾の水鳥の現状を考える  【日時】2011年1月14日(金)午後6時30分開場、7時~9時  【場所】日本野鳥の会東京・事務所(会場への地図は本ブログ11月8日付を参照) 参加費等は無料。

2010年12月12日日曜日

都内のドバトが減った! 原因は?

  

多くの方がお気づきと思いますが、東京都内の市街地からドバトが減っています。ドバト(堂鳩。カワラバトを品種改良して、伝書鳩やレースバトとしたものが野良化したハト)は、神社仏閣の境内、駅前広場、公園などに群れて生活し、人が与えるパンくずや菓子、弁当くずなどを餌資源として生きています。かつては都内各地にたむろし、糞や鳴声が嫌がられ、また、病原菌媒介などが疑われ、「ハト公害」として社会的な問題となっていました。
 ちなみに、1978(昭和53)年に、日本野鳥の会東京支部・研究部が呼びかけて、都内各地で調べたところでは、台東区・浅草寺(2000羽±)、千代田区・日比谷公園(569羽)、台東区・上野公園(466羽+)・・・・となっていて、79か所で合計8,711羽以上という発表をしています。
 この秋、その3か所を訪れてみました。浅草寺(28羽)【写真・ハトの名所であった浅草寺境内の鳩ポッポの歌碑】・日比谷公園(約70羽)・上野公園(約100羽)。30年以上経た両者の調査は、どちらも計画的な一斉調査などではなく、単に出かけて行って何羽いたかという単純なものですが、同じレベルですので比較になります。同じような減少傾向は、都内各地で気づきますので、広範囲に起こっていると思います。逆に、公園の林床や河川敷の草原で採食しているドバトをよく見かけるようになったと感じています。
 原因は?東京都が呼びかけている「ハトに餌をやらないで」のキャンペーン・オオタカなどの猛禽が棲みついた・鳥インフルエンザで毛嫌いされ営巣しにくくなったなど、いろいろ考えられますが、いずれにしても、もっとも身近な鳥「ハト」に異変が起きています。身近でのようすをお知らせください。

2010年11月25日木曜日

12月4日・第2回スズメ調査探鳥会 in HIBIYA を開催

  

今春バードウィーク最終日に、東京都心の日比谷公園で実施したスズメを中心とした調査探鳥会。その2回目を初冬の12月4日午前中に行います。調査はロードサイド・センサスというもっともポピュラーな調査法で、一度やってみればどこででも応用できるものです。土曜日の朝、冬の公園で野鳥たちの数をかぞえてみましょう。春と冬、種類や数にどんな違いがあるか、それがどんなことを意味しているのか、知ったり・考えたりする探鳥会です。
【日時】2010年12月4日(土)午前8時集合・11時ごろ終了  【集合場所】東京都千代田区日比谷公園・祝田門(東京メトロ・桜田門に近い門)    【参加費】無料・初心者歓迎  【主催】日本野鳥の会東京・研究部

ちなみに、第1回の結果は下の通りです。なお、肝心のスズメの数が当日の仮集計のものと違っています。今回発表しているものが正しい数字です。  さて、スズメの数が予想より少なかったのは、繁殖期であったことが第一で、読み違えです。意外と少なかったのはメジロ。次いでドバト。キジバトが1羽も記録されなかったのはなぜか。ネコの数はもっと多いようにも思うのですが。いずれにしても、何回か続けてみないと現時点では何ともいえないということろです。冬場のスズメは300羽いるか。興味あるところです。
2010年5月15日(土)8:50-10:20 ( )内は調査を3回実施した平均数
スズメ(115)アオサギ(1.3)カルガモ(2)コゲラ(2.7)ツバメ(2)ハクセキレイ(1)ヒヨドリ(4.7)シジュウカラ(18)メジロ(4)ムクドリ(2.7)オナガ(4.3)ハシブトガラス(35)ドバト(33) 以上13種 ・番外ネコ(12)

2010年11月19日金曜日

中野区初記録・哲学堂公園でフクロウが。しかし・・・

  

中野区の哲学堂公園にフクロウが現れました。2010年10月31日(日)午前8時半頃、公園内でカラスが異様に騒がしいので探したところフクロウでした〔写真〕。10羽ほどのカラスが繰り返しちょっかいを出していましたが動じる様子無く、1時間ほど見ていて雨が降り出したので避難し、再び11時半ごろ見に戻ったときにはいませんでした。周辺を探しましたが見つからず、飛び去ったか?人の立ち入れない部分に入り込んだのだろうと思っていましたが、11月3日に発見場所の近くで死んでいるのを公園管理者が見つけました。
聞いたところでは特に外傷も無く足輪も無かったそうです。発見時にも特に衰弱した様子は見られず、動じないとはいえ威嚇する様子も見られましたので死因は不明です。鳥類目録まとめの段階でも中野区でフクロウの記録は無く、少なくとも1975年以降初記録です。
ところで、同公園には再びカワセミが訪れる様になりました。また、近くの江古田の森公園(旧中野療養所)では10月31日・11月7日にマミチャジナイが見られました。                            (吉邨隆資)

2010年11月10日水曜日

柳瀬川・金山調節池にヨシガモ初登場か

  

先日、葛西臨海公園鳥類園に行った折、スタッフの方からヨシガモを見かけたら事務所まで連絡してほしいとの話がありました。鳥類園でもヨシガモは稀なる鳥かと思っていたところ、10月29日9時半ごろ、マイ・フィールドとしている清瀬市・柳瀬川流域の金山調節池でヒドリガモの観察中に、様子の違うカモ♂・♀各1羽を発見しました〔写真〕。
四角な頭の形と顔の色、風切羽・・・「もしやナポレオン?」と内心色めき立ちました。タイミングがよすぎることもあってやや不安。ヨシガモであれば当地では初記録です。換羽途中のようですので、見続ける予定です。なお、この周辺ではコガモ・オナガガモ・ヒドリガモ・オシドリ、アオジ・ジョウビタキなど冬鳥たちがそろいつつあるところです。                (青木秀武)

2010年11月8日月曜日

「東京の鳥」シンポジウムは成功裏に終わり・そして新たに「保護研究」が始まります

  

3年前、3回シリーズで企画した「東京の鳥シンポジウム」は、この11月4日(木)に、第3回を開いて、無事終了しました。このシリーズは、現在進行中の東京都産鳥類目録作成の一環として、第1回は『東京の鳥の変遷を探る』~新・都産鳥類目録の発行を目指して~として2008年11月15日(土)に、第2回は『東京都のRDB 』~今われわれのできること~として2009年11月4日(木)に、そして、第3回は『東京の島の鳥たち―伊豆・小笠原諸島の固有種に注目しよう』ということで開催したものです。
それぞれの回に特徴があり、第1回は「本土部の鳥相と生物目録の重要性」に、第2回は「奥多摩と東京湾岸の希少種の現状」に、第3回は「島嶼部の鳥の現況とこれからの活動」について、基調報告と意見交換を行いました。
 日本野鳥の会東京では、これまでの流れから、次の段階へとステップアップします。来年から野鳥たちの「保護研究」をしようというもので、第一段階として、伊豆諸島特産のアカコッコについて取り組むことになりました。
「保護研究」といっても実績のない当会として、どのようなものができるのか、まだ手探りの状態です。そこで、専門のプロジェクトチームを作りたいと思っています。その一歩を下記の要領で実施します。どのような話なのかを聞くだけでも結構です。ぜひ、ご参加ください。
【日時】2010年11月12日(金)午後7時~9時 【場所】日本野鳥の会東京・事務所《地図参照》 【参加者】原則として会員か会員が同伴する方。会員外の方は事前に電話かFaxで事務所へお申し込みください。(参加費無料)

2010年10月30日土曜日

初めての小笠原・メジロの中にメグロを見る

  

10月6日~11日までの小笠原航路および母島での鳥の報告をいたします。 6日朝10時に東京港竹芝を出航し、途中横須賀の久里浜に寄港。東京湾を過ぎる頃から、オオミズナギドリの群れ、翌日の海上では、シロハラミズナギドリ、オナガミズナギドリの群れ、小笠原諸島に近づくとカツオドリが小笠原丸の近くを飛行。船に驚いたトビウオが海上を飛び跳ねるのを盛んに採餌していました。父島二見港から母島丸に乗り継ぎ、母島には15時過ぎに着きました。やはり母島丸の周りには、カツオドリが盛んに飛び回っていて、船のマストに止まって休んでいるのもいました。
母島沖港の路上で、鳥が多数休んでいるので、てっきりムクドリでもいるのかと思っていたら、キョウジョシギの群れ。他にムナグロも。また、夕方港にウォッチングに行ったら、チュウシャクシギもいました。8日は、母島の南端の小富士へ自然ガイドの方と一緒に出かけました。途中2箇所の水場がありましたがメジロだけ。肝心のメグロやハシナガウグイスは途中の登山道で遭遇しました。9日は、午前中は沖港近くでガジュマルの実を食べるメグロ〔写真〕、 また、上空を飛行する2羽のオガサワラノスリの観察と撮影。午後は北港へ行き、樹木に止まるオガサワラノスリを。10日には、またガジュマルの実を食べるメグロの観察と撮影。同日10時には母島丸に乗船して父島へ。父島で小笠原丸に乗り換えて11日の16時に、無事竹芝に帰ってきました。
行きも帰りも波が静かで、海鳥の観察をしていましたが、残念ながらアホウドリの仲間は見つかりませんでした。同行の谷口高司さんは、セグロミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ、アナドリ、コシジロウミツバメ、オーストンウミツバメなどがいるといっていましたが、私はさっぱり識別できませんでした。母島では、イソヒヨドリの姿をよく見ました。そのかわりか、ヒヨドリの姿は余り見かけませんでした。メグロは、メジロと同じ実を採餌するようで、メジロを探しているとメグロもいるという感じでした。アカガシラカラスバトは、やはり見つかりませんでした。母島のアカギ駆除作業をしている業者の方の話では、山の中で目撃するとのことでした。オガサワラカワラヒワは、現地のガイドさんですら最近は見かけないとのことでした。母島で一番驚いたのは、バンの幼鳥が1羽川にいました。母島では繁殖していないとの事なので、一体何処から飛来したのでしょうか。その他、オナガガモが3羽いました。      (西村眞一)

2010年10月25日月曜日

11月4日・第3回東京の鳥シンポジウムへのご案内

  

東京の鳥シンポジウムの最終回は「島」。前半部は伊豆諸島や小笠原父島・母島の現状報告、海鳥の現況および新たに始まっている海を対象とした「マリーンIBA」の紹介など。後半部は伊豆・小笠原の重要性とこれからの活動について、パネリスト・参加者が一堂に会して話し合いたいと考えています。
野鳥の会東京は、来年から自然保護・環境保全活動に力を入れていく予定です。その第一弾として、アカコッコの保護研究の準備が進められています。アカコッコ〔写真・牛久正治氏提供〕は探鳥地の三宅島や八丈島へ行けばごく普通に出会えますが、歴史的に見ればその数は減少の一途です。とくに三宅島ではイタチの導入や今回の火山活動の後にはとくに激減といわれています。「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」では一昨年春に一斉調査をし、4392羽が生息しているという推定が出されました。来春はこの調査に呼応して、野鳥の会東京では八丈島でなどという企画も持ち上がっています。
いずれにしても、都内最大級の自然保護団体の当会としての保護研究の始動へ、ぜひ参加して、多面的にご意見をいただければと願っています。

日時:2010年11月4日(木)午後6時開場、6時30分~9時 
会場:渋谷区立千駄ヶ谷区民会館・1階会議室(定員先着順60名)
参加費:300円  担当:川沢祥三・川端一彦・井守美穂・辻田記子

【前半部:基調報告】
1.伊豆諸島の陸鳥の現況 川内 博氏(東京都産鳥類目録作成委員長)
2.小笠原群島父島・母島の陸鳥 中村一也氏(日本野鳥の会東京代表)
3.伊豆・小笠原の海鳥~マリーンIBA選定への取組み 山本裕氏
                      (財・日本野鳥の会自然保護室)

【後半部:パネル・ディスカッション】
テーマ:日本野鳥の会東京が始めるアカコッコの保護研究

2010年10月20日水曜日

多摩川中流域で純白のチョウゲンボウを撮影

  

西東京市内での白化カラスを撮影し、このブログでも紹介されましたが、今度は真っ白なチョウゲンボウ〔写真〕を撮影しました。場所は東京・多摩川中流の立川市内で、10月14日のこと。この白いチョウゲンボウは10月初めごろから見られているようで、多くのカメラマンが集まっていました。(高橋喜代治)

2010年10月10日日曜日

ツツドリの若鳥でしょうか・識別ポイントを

  

秋の渡りシーズン、私がフィールドのひとつとしている小平市・薬用植物園も秋の気配が漂っています。まだ木々は色づくほどではありませんが、10月2日、渡り途中と思われるホトトギス科の若鳥を見かけました〔写真〕。この種の鳥は今まで見たことがなく、手もとの図鑑類ではよくわかりません。いろいろ調べたところではツツドリの可能性が高いと思われますが、この写真を見て何か決定的な識別ポイントを指摘していただければ幸いです。(久保賢一)

2010年9月30日木曜日

今年の日本鳥学会大会から・2 新設「黒田賞」

  

今年の日本鳥学会大会の目玉のひとつが、新設された「黒田賞」の受賞者とその講演(9月20日)。「黒田賞」は親子二代にわたって日本の鳥学の中心となられた黒田長禮・長久両博士にちなむもので、授賞対象者は若手の学会員。
その第1号は、農業環境技術研究所の天野達也さん。30才台前半の新進気鋭で、すでに25編の論文を国際誌に発表されているとか。受賞講演タイトルは「鳥類個体群の時空間動態を明らかにする包括的アプローチ」と、文字面を見ただけでは「むずかしそう!」の一言。しかし、理路整然とした講演は興味あるもので、いわゆる従来の「鳥屋さん」的な研究手法ではない、新しいタイプのアプローチの出現を知り、新設・黒田賞に値するものと思いました。
対象空間を身近・地域・国レベルで調べ、それぞれのデータを組み合わせて、生き物(鳥類)の動きを見ていこうスケールの大きな研究のようで、これからの成果が楽しみといったところです。しかし、その講演を聞きながら、新しい手法といえど、基本的には、研究者や観察者などの昔ながらの地道な調査・観察がなければ成り立たないこともわかり、これからも野鳥の会レベルの協力が必要だと感じました。
 来年は大阪市立大学で、同時期に開催とのこと。今回は手ぶらで参加しましたが、大阪には新しい風を持っていきたいものと、新タイプの研究者の講演を聞きながら夢想していました。                    (川内博)

2010年9月24日金曜日

今年の日本鳥学会大会から・1 ところ変われば

  

日本鳥学会2010年度大会が9月18日~20日、千葉の東邦大学習志野キャンパスで開催されました。口頭発表51件が3日がかりで、A・B 2つの教室にわかれ同時進行で、また、午後からは2日にわたり112件のポスター発表がありました。さらに、夜は自由集会が11件企画され、最終日の午後には公開シンポジウム「海鳥集団繁殖地の復元」が開かれるという盛りだくさんの内容で、参加者も500名を超えたことは確実。日本鳥学会は2年後には100周年を迎え、東京大学で記念行事、国立科学博物館では関連の展示会が催される予定とか。また、2014年には念願のIOC(国際鳥学会議)が東京・立教大学を会場に、初めて我が国で開かれることが決定したと披露がありました。いま日本鳥学会には活きのいい若者がいっぱい。これからが楽しみといったところです。
ところで、ポスター発表「琵琶湖のヨシ群落で繁殖する鳥類の最近30年間の変遷」の前で関係者と生息する鳥の増減の原因などを話し合っているうち、オオバンについて、私が日ごろ見ている荒川・彩湖(埼玉県戸田市ほか)と琵琶湖ではその行動が違うことが判明。彩湖では、数十羽が群れで岸に上がって、芝生地や草地で採食している〔写真〕のが普通なのに、琵琶湖一帯では、まず岸に上がることがないとのこと。それは琵琶湖に限らず関西地方では常識とのこと。同じ鳥が東西でそんな違いがあるとはまか不思議。その理由はなんでしょう。また、東京や関東一円での行動はどうでしょうか。「ところ変われば」興味あるところです。(川内 博)

2010年9月22日水曜日

第3回東京の鳥シンポジウム・11月4日(木)夜に開催

  

毎年11月に日本野鳥の会東京・室内例会として開催しているシンポジウム。今回は「東京都産鳥類目録」作成の一環として2年前から続けている『東京の鳥』の最終回として、伊豆・小笠原諸島に焦点をあて実施します。サブタイトルは「東京の島の鳥たち―伊豆・小笠原諸島の固有種に注目しよう」。パネリストは川内博・東京都産鳥類目録作成委員長、中村一也・日本野鳥の会東京代表、山本裕・㈶日本野鳥の会自然保護室の3人。
前半では、この2年で、対象地域のほとんどの有人島を繁殖期に踏査した川内氏が最新の伊豆諸島情報を。次いで、母島観光協会主催の探鳥会講師として活動している中村氏が小笠原の近況を。そして、三宅島・アカコッコ館に長年勤め、伊豆諸島の鳥について第一人者の山本氏には海鳥の生息状況を中心に、また、最近日本野鳥の会がバードライフと組んで展開を始めた「マリーンIBA」(海の重要野鳥生息地)について、概要を話していただきます。
今回のメインイベントは後半。パネリストと参加者一体で、アカコッコやイイジマムシクイ、メグロ〔写真〕、カンムリウミスズメなど、世界的に貴重な固有種について、その野鳥の会東京として、その保護活動について話し合う予定です。詳細が決まりましたら、『ユリカモメ』およびこのHPでおしらせします。まずは11月4日夜にチェックを入れておいてください。
【日時】2010年11月4日(木)午後6時~9時 【会場】東京都渋谷区立千駄ヶ谷区民会館1階・会議室 【定員】先着60名 【参加費】300円

2010年9月6日月曜日

「八王子・日野カワセミ会」が25周年・記念事業を開催

  

「八王子カワセミ会」(粕谷和夫会長)の発足は、1985(昭和60)年1月15日に浅川の大和田橋~長沼橋で行った探鳥会とのこと。それ以来、東京・南多摩の浅川流域を中心に野鳥の調査・普及・啓蒙を実践され、88年からは会報『かわせみ』を年2回発行し、その実績記録が残されています。その後、守備範囲を広げ、現在は「八王子・日野カワセミ会」となっています。9月初めに発行された最新号(№45)には「25年のあゆみトピックス」としておもな活動が9ページにわたってまとめられています。その中からいくつか紹介しますと、第1回公開探鳥会の開催(1987年)、浅川野鳥基本50種の作成(89年)、オオルリ調査開始(92年)、「人と野鳥・共に生きよう浅川で」宣言(95年)、巣から落ちたチョウゲンボウの野生化(97年)、ツバメの巣の全域調査(2001~02年)、数え上げた浅川流域の野鳥2の発刊(06年)・・・と多岐にわたり、それぞれを継続されています。また、「野鳥の定期カウントと20年続けると何がわかるか」という記事には1885~2009年度までの浅川流域でのオナガガモの調査結果がグラフ化されていて、最盛期には1000羽を超えていた数が、昨年度には2羽という激減ぶりが示されています。さらに、オオルリが八王子市の鳥となって以来始められたオオルリの調査は、その後他の夏鳥もくわえられ、「夏鳥3種♂の出現羽数」としてその推移が載せられています〔グラフ〕。
 いずれにしても、一つの地域での調査を息長く続けられ、その結果をきちんと記録し、また、社会・学校教育に生かされるような形で公表されているのはたいへん意義のある活動です。今年から来年にかけて、25周年の記念事業が計画され、その一環として、長沼公園ギャラリーで、観察された野鳥の写真・野鳥調査の結果・野鳥のカービング・小学生の野鳥の絵などの展示会を9月29日(水)~10月25日(月)9時~17時で開かれます。長沼公園へは京王線「長沼」下車、徒歩5分。無料の駐車場もあるようです。
 

2010年8月31日火曜日

故・浜口哲一さんの遺志をつぐシンポジウム開催

  

神奈川にこの人ありと野鳥関係者に限らず、全国のナチュラリストに知られた浜口哲一さんが亡くなられたのは今年の5月初め。平塚市博物館の立ち上げから関わられ、館長をつとめ、退任後は大学教授として、最後まで「自然」と直接接せられ、その意義をさまざまな形で提示され続けました。その結晶のひとつが『自然史の窓 1 生きもの地図が語る街の自然』(1998年・岩波書店刊)〔写真〕 その内容は、タンポポ・帰化植物・アシナガバチ・カエル・淡水魚・ツバメと身近な生きものすべてにわたり、故人の間口の広さと、奥行きの深さに共感し、触発され、各人がそれぞれの立場から新たなアプローチを発想・行動させるという良書となっています。
日本野鳥の会東京(支部)との関わりでは、第3回カラスシンポジウム(2000年)にパネリストとして「神奈川県人のみた東京のカラス問題とその解決への道筋についての提案」という題で講演をいただきました(その中身は、頒布している『とうきょうのカラスをこうして減らす 第3・4回シンポジウム報告書』で読むことができます)。また、現在進行中の『新・東京都産鳥類目録』作成に多大な助言をいただきました。
この秋・11月27日午後に横浜で、「シンポジウム 生きもの地図を未来へ」が、日本野鳥の会神奈川主催で開かれます。サブタイトルは「浜口哲一さんの足跡と、これからの道」と、浜口さんの業績を礎として、さらにそれらを発展させようという企画です。
【とき】2010年11月27日(土)12時30分開場・13時30分~ 【ところ】はまぎんホール・ヴィアマーレ(JR根岸線桜木町下車・徒歩5分) 【さんか】先着500名・無料 【そのご】同日17時から交流会が予定されています 【くわしくは】http://www.mmjp.or.jp/wbsj-k/              (川内 博)

2010年8月21日土曜日

行動派研究家・峯岸典雄さんご逝去の報

  

 8月18日夜、突然峯岸典雄さんご逝去の第一報がメールに入っていました。7月21日に「検査入院します。無線LANはあるし、携帯も自由」とのメールに「酷暑の中、病院の中が一番快適(?)かもしれません。少し文明の機器(危機?)から遠ざかった方がいいかもしれません。まずはご静養ください。」と返信を出し、8月9日にはとくに異常なく退院との知らせをもらったところでした。享年81歳とのことです。
 峯岸さんと研究部のつながりは、東京の「カラス問題」の時で、第2回カラスシンポジウムではパネリストとして登場していただき、『とうきょうのカラスをどうすべきか 第2回シンポジウム報告書』には「世界の主要43都市における生ゴミ収集法について-日本との比較-」というユニークな論文を残されています。その後も西池袋のご自宅一帯でのゴミの管理など、率先して活躍されました。
 ここのところは、軽井沢の別荘で、1989(昭和64)年春から、同じ方法で、朝の鳥のコーラスを撮り続け〔写真・録音中の峯岸さん〕、鳥の声がどんどん小さくなっていくという警鐘を多くの人に発信されていました。この5月には「軽井沢に鳥が居なくなってしまった」というアピールとともに、「その4 ・ もう手遅れ 鳥が諦めてしまった軽井沢 21年分の録音を15分で聞く」というCDを作製され、その後もっと短く編集した「その5」も送られてきました。研究部では、とりあえず8月の月例会で、参加された会員に聞いてもらい、今後この貴重な記録を生かせるような方法を考えていこう、そのためには涼しくなったら、峯岸さんに直接お話しをお聞きしようと話し合ったばかりでした。
 この軽井沢での話は、別の機会にまた取り上げさせていただくとして、ご葬儀をお伝えします。【通夜祭】8月25日(水)午後6~7時【葬場祭】8月26日(木)午前9時30分~11時【場所】落合斎場(新宿区上落合3丁目)(川内 博)

2010年8月7日土曜日

ヒメシロハラミズナギドリについての補足

  

最新の『ユリカモメ』8月号(№658)の研究部レポートで発表したヒメシロハラミズナギドリ Pterodroma longirostris 〔写真:中村忠昌氏撮影〕について、誌面の都合上、割愛した事項があり、次のような疑問が寄せられています。 「ユリカモメの最新号に掲載されたヒメシロハラミズナギドリの件ですが、頭部の色が淡すぎるように思います。この仲間は類似種がいるので注意が必要です。これが記録されたころ、仲間内でも問題になったのですが、Cook's Petrel(Pterodroma cookii)の可能性もありそうです。ヒメシロハラミズナギドリの亜種とされることもあるPycroft'sPetrel(P. pycrofti)の可能性も捨てきれません。」
そこで、割愛した㈶山階鳥類研究所の茂田良光さんの同定根拠を掲載させていただきます。
「今年に出たHelm Field Guide,Field Guide to New Zealand Seabirds ほかの写真の本と比較して送られた3枚の写真から検討したところ,ヒメシロハラミズナギドリPterodroma longirostrisの成鳥でいいと思います。尾が換羽中で短く見えていますが,尾の先は黒く,嘴の形は細くも短くもなく,ヒメシロハラに一致しています。また,額から頭頂までが白く,眉斑がないように見え,後頭が黒っぽいのもヒメシロハラの特徴に一致しています。ハジロシロハラミズナギドリ Pterodroma cookiやウスヒメシロハラミズナギドリP.pycroftiほど淡くは見えてないです。頭から胸にかけて淡灰色に見える点は,上面の写真からは実際はそんな に淡くないと思います。また,摩耗と退色で,時期的に淡くなっていてもおかしくないと思います。」
なお、葛西臨海公園鳥類園の2007年9月10日のブログに、『ユリカモメ』掲載以外の写真もアップされていますので、参考になると思います。10月9日に上記、茂田さんの同定根拠も掲載されています。ブログ名は 葛西臨海公園・鳥類園Ⅱ です。(日本野鳥の会東京・野鳥記録委員会)

2010年8月4日水曜日

最近の話題 注目!カラスの白化個体

  

今年の7月8日付朝日新聞に、「翼がまだらに白いカラス、西東京を飛来中」という記事が写真付きで出ていました。撮影・観察者は東久留米市に在住の高橋喜代治さん。昨年、地元の黒目川で越冬ヒクイナを発見された方です。写真で左右対称の白黒パターンが出て、きれいな模様となっているのがよくわかります。この写真を見て、同じ朝日新聞の昨年11月12日付のコラム記事を思い出しました。こちらは兵庫県赤穂市の話で、風切羽や雨覆、尾羽の先端が白化し、レース飾りのようになっている個体。前者がハシボソガラス、後者はハシブトガラスでした。
ハシボソの部分白化やハシブトの「バフ変」(淡褐色)の個体はよく見聞きしますが、ハシブトの左右対称の部分白化の例は知りませんでした。そんなこともあって、会員同士のMLでやり取り中に、小金井市在住のベテラン・清水徹男さんが、同市付近には、部分白化のハシボソガラスが多いという、次のような書き込みをされました。「全てハシボソガラスで、個体によっては朝日新聞の写真に近いほど翼の白化が目立つのや、翼羽根のごく限られた一部のみ白い個体やらいろいろです。いずれにせよ、小金井周辺のハシボソの遺伝子には部分白化の因子が含まれているように思われます。」〔写真・部分白化のハシボソガラス:写真提供・渡辺昭彦氏〕
西東京市と小金井市は隣接した一帯。私の住む埼玉県和光市も同じ環境に属するので、興味のあるところで、今後注意して見てみたいと思っています。皆さんのまわりではいかがですか。事例の紹介をお願いします。(川内 博)

2010年7月30日金曜日

ある日の高尾山・TBS定期調査から

  

【調査日】2010年7月18日(日)午前6時32分~8時20分、天気:晴、気温:25℃ 【環境】低山 【調査者】吉邨・中尾 
【観察種】( )内はカウント数 : キジバト(2) アオゲラ(1) コゲラ(3) ツバメ(2) イワツバメ(18) キセキレイ(2) セグロセキレイ (1) ヒヨドリ(5) ウグイス(1) キビタキ(5) コサメビタキ(3) エナガ(2) ヒガラ(2) ヤマガラ(6) シジュウカラ(6) メジロ(12) カワラヒワ(1) イカル(2) スズメ(2) カケス(1) ハシブトガラス(2) ガビチョウ(2) 
【コメント】連日の暑さに高尾山へ涼を求めてやってくる人も多いが、以前に比べ保水量の衰え乾燥した山は、涼しさを感じ得なくなったしまいました。稜線まで登るとキビタキの声が多くなりますが、オオルリはこの日1個体だけ。コサメビタキは蛸杉付近と山頂で若鳥を連れていました。山頂に着くとメジロの騒がしい声、カシワの枝先にはメジロの巣、残念なことに巣からお腹を膨らした40cmほどのアオダイショウが降りてくるところでした〔写真〕。他にカルガモ、ホトトギス、クロツグミ、ヤブサメ、オオルリを確認。高尾山口駅高架下のイワツバメは巣の数170個、巣の出入り確認52羽。 ※TakaoBirdSurbeyGroup は高尾山の野鳥を定量調査しています。協力(調査、データ整理)いただける方は、吉邨(よしむら)または研究部まで連絡下さい。(吉邨隆資)

2010年7月15日木曜日

繁殖記録・6 大田区内の公園でのツミの繁殖

  

大田区の某区立公園で今年、ツミの繁殖を観察しましたので報告します。
4月中旬から公園付近をツミの雌雄が飛ぶ姿が見られ、4月下旬~5月上旬には求愛給餌、巣材運び、交尾と思われる行動が目撃されました。5月の中~下旬になると、雄がカラスを追うのが時々見られたものの、雌の方は姿を見せなくなったため、この頃から抱卵を開始したのではないかと思われます。
6月11日、遊歩道の上のごく限られたゾーンから巣が見えるのに気がつきました。クヌギの木の地上20メートルほどのかなり高い位置に木の枝や葉っぱ、コケなどを重ねた巣があり、抱卵中の雌の尾羽が見えていました。6月15日には雌が巣上でごそごそと頻繁に動いていたので、この頃に雛が孵化した可能性があります。6月25日には、雌も給餌の時以外は巣から離れているようでした。6月30日には雛が巣上に少なくとも2羽確認できましたが、いずれも頭や顔はまだ白色でした。
7月4日になると、雌が頭の白っぽい雛に給餌している時に、成長の早い別の雛が巣から1メートルほど離れた枝の上に立っていました。7月6日には巣から枝伝いに4羽の雛が移動して並んでいました。4羽とも頭は白さが少し残るものの顔つきは精悍で、背面は黒っぽく胸・腹には縞模様がしっかり入っていました。7月8日には写真のように雛1羽が巣から1メートルほど離れた枝の上に立っており、しばらくするとふわりと数メートル先まで飛んで見えなくなりました。おそらく巣立って初めての飛翔だったと思いますが、意外に軽やかで余裕があったのが印象的でした。
7月13日の時点では、巣の近くには親も雛も姿が見えなくなりました。ただ、樹上から親の声と雛のこまかい小声が時々聞こえるので、まだ公園内に留まっているようです。 (川沢祥三)

2010年7月14日水曜日

「新・東京みやげ」のご紹介

  

地方などに行く時、ちょっとお礼がしたい時、重宝するものを見つけました。『東京の自然図鑑』(正式タイトルは、「緑と水のひろば 東京の自然図鑑 合本」)。表紙の写真同様、中身はオールカラーで、内容は植物編と動物編に分かれ、「百年間の東京のコケたち」「東京のドングリの木」や「東洋のガラパゴスの鳥 メグロに会う」「都市蝶 都会に生きる小さな命の輝き」、なかには「コブナグサと八丈島の黄八丈」とか「鳥の舞飛ぶ江戸」などのタイトルが並び、全ページ東京の生き物が自然環境・社会環境とのかかわりあいを含め、いろいろな立場・見方からわかるようになっています。ほとんどが見開きでの紹介ですので、レベル的にはそれぞれの入門の初歩程度ですが、きれいな写真満載で、だれでも楽しめるようにできています。
この本は、㈶東京都公園協会の情報誌「緑と水のひろば」21号~55号(2000~2009年)に掲載されている『東京の自然図鑑』の部分を合本したもの〔B5判・127ページ・2009年3月発行、900円〕。メール便を使えば80円で全国に送ることもできます。ただ問題なのは入手方法。現在手に入れられるのは、新宿歌舞伎町にある、協会の事務所(℡03-3232-3014)と日比谷公園内の日比谷グリーンサロンに隣接した「緑と水」の市民カレッジ(祝・日曜日休館)の2か所だけ(岩崎庭園でもいう話はあるが未確認)。
東京だけの生き物を取り扱ったこの手の本がなく、また手に入り難いものなので、格好の「みやげ」になるのではないでは。

2010年7月12日月曜日

やっと上陸した御蔵島・繁殖期の伊豆諸島・その6

  

7月7日(水)11時、ついに御蔵島に降り立ちました。思えば2年越しの大事業(?)。昨年5月には、三宅島の次は御蔵島と気軽に旅立ったのですが、船は御蔵島港をパス。八丈島からの帰りも素通り。いずれもそれほど波が高いとか風が強いとも思えない天候でしたが。今年は6月中旬に予定。まず聞かれたのは「宿は取れましたか?」。イルカウォッチングで、宿が非常に取り難いとか。次いで船では不確実ということで、ヘリコプターの予約を入れたらどこも満杯。先の青ヶ島の経験から予定を変更。7月上旬までに何とか行きたいということで、空いてる日は7~9日の3日間だけ。関係者3人は3様の渡る方法を考えました。
梅雨の真っただ中。7日午後は雨の中、ガイドの車を借りて下見に終始。翌日は曇りながら奇跡的に1日中雨なし。目的のウチヤマセンニュウの生息地探しとアカコッコ、カラスバトなどの生息状況を調べるため、朝4時~夕方6時過ぎまで、ガイドの広瀬節良さんの案内で島内各所を踏査。これが正解で、翌日は午前中大雨【写真】。もっとも名水・御蔵の水の元を体感できましたが。ところで鳥の方はアカコッコ、イイジマムシクイ、コマドリ、ミソサザイなどのさえずりはふつうに聞けましたが、そのボリュームは比較的小さく、かつ、村の中で鳥の警戒心が強いというのが印象的でした。
17年ぶりに訪れた御蔵島は家々はこぎれいに変身し、若者も家を継ぎ、人口も300人を超えたとのこと。それもこれも「イルカ」。島の職員を1名募集したところ500人以上の応募があったとか。さらに、かつて大問題だった嫁探しは、今は選り取り見取り(?)。時代は刻一刻と変わるというのを実感しました。                                      (川内 博)

2010年6月19日土曜日

『江古田の森の野鳥 江古田の森と周辺の鳥類記録』が発行されました

  

中野区で自然環境がよいところといえば「区立哲学堂公園」しか思い浮かばない人はちょっと古い(?)。たしかに哲学堂公園は妙正寺川沿いの、緑が深い歴史のある公園で、今も中野区を代表する緑地であることは変わりないのですが、最近は他にもあるよと名のり出したのがその上流域にできた「江古田の森」。そんな名前は知らないという人も、「国立療養所中野病院」の跡地あたりといえば、ある程度見当がつくと思います。緑地が少なかった中野区で、周辺の住宅地、寺社林を合わせて86,406㎡と区内最大の緑地となっています。
そこでの2007~2009年にかけて月1回のロードサイドセンサスをした結果がまとめられています。観察された鳥は39種で、とくに珍しい記録はありませんが、この調査は地域の自然観察会の活動の一環のようで、住民と子どもたちが一緒に作り上げたようです。まとめをしたのは、新しい東京都産鳥類目録つくりに活躍している吉邨隆資さん。わかりやすく作られています。A4判・26ページ、2010年3月、森の学級から発行。興味ある人は、7月の研究部月例会(9日予定)に参加して希望すれば入手できるかも。残部少とのこと。

研究部・6月例会・田中流ミズナギドリの識別法

  

毎月第2金曜日に開催しています「月例研究部例会」は、今後、研究部の「月例会」と略します。今月は11日に実施。多くの方には内容はご案内できませんでしたが、海鳥識別のベテラン・田中俵造さんの『田中流ミズナギドリの識別法・その入門編・ハイイロミズナギドリ』というもので、結果的にはたいへん参考になりました。
田中さんは『ユリカモメ』№637(2008年11月号)に、「映像から見たハイイロ・ハシボソミズナギドリの識別」を載せられているように、長年の自分の目とビデオをもとに、最難関のひとつのミズナギドリ類の識別に一家言のある方。今回もビデオ映像を用いての発表。しかし、そのやり方が独特。釧路航路などで撮影したハイイロミズナギドリだけの映像を延々30分にわたって見せるという方法。他のミズナギドリが混じると混乱のもととなる・これ一種を目に焼き付けろという独善的な手法。〔写真〕
K氏をはじめ、苦情続出。比較してこそ識別ができるという常識的な意見に対し、ミズナギドリの識別はまずハイイロが基本と田中さんは一歩も譲らず。しかし、結果的にはどうやら田中さんの勝ち。ハイイロミズナギドリの規則正しい翼動が頭に残り、今度実際野外で見たときのベースとして使えるように思いました。参加者も12名あり、ワイワイとにぎやかな集まりになりました。

18 年ぶり青ヶ島再訪・繁殖期の伊豆諸島・その5

  

八丈島・八重根魚港から「還住丸」(119t・定員45名)は朝10時30分出港。 乗客は2人。タバコ臭い船室へは避けて、甲板で鳥見。オオミズナギドリを100羽程度見ました。約2時間半で青ヶ島・三宝港へ。防波堤がなく、外洋に接しているので、漁船は港に帰るとロープウェイでぶら下げて岸に揚げる仕組みとか。出迎えてくれた民宿の軽ワゴン車も、100m近い崖地を一気にふかして登るという荒技が必要。18年ぶりに訪れた伊豆諸島最南端の有人島・青ヶ島。この島の入口の雰囲気は変わっていませんでした。
 変わっていなかったのはもうひとつ。カラスバト〔写真〕の多さ。島で“くろばと”と呼ばれるこの鳥は、タブやシイが生い茂る森の中を歩けば、ウッウルルー、ガルルルーという鳴き声があちこちから響いてきて、歩くと両脇の木々からバサバサと大きな羽音をたてて飛び立ちます。とくに島の中央部の池之沢にはたくさんいて、ラインセンサスをすると1/3程度を占める圧倒的な多さ。早朝のコーラスは三宅島・大路池畔ほどではありませんが、カラスバトに加えて、イイジマムシクイ、タネコマドリ、アカコッコ、ウグイス、メジロ、ヒヨドリ、ホトトギスの声が一斉に響き、迫力のあるレベルでした。例年6月は梅雨の時期。今年は遅いとかで、私が訪れた6月7日の前日までは連日晴。しかし、翌日からは曇のち雨・風。天気予報で悪天候を知り、前日からレンタカーを借りて、8・9日は朝4時半から行動開始。機動力と雨風よけに自動車の威力を再確認しました。
 「行きはよいよい、帰りはこわい」 乗る予定だった9日の船は波が高いために欠航、キャンセル待ち1番だったヘリコプターも強風で欠航。延泊を覚悟していましたが、夕方4時半に飛んできた臨時便のヘリコプターに乗ることができ、八丈島まで20分強で飛び、5時20分発の羽田行きのANK機の最終便に滑り込みました。最近は、欠航が多く予定が立てにくい船より、運賃は高くてもヘリコミューターをという流れらしく、9人しか乗れないヘリコプターは相当前から予約しておく必要があるようです。キャンセルが出るだろうと甘く考えていましたが時代は高速・便利の時代。実際、当日夜8時前には自宅のパソコンの前に座っていましたので、それを実感しました。〈続く〉(川内 博) 

2010年5月31日月曜日

神津島にはなぜシジュウカラがいないのか・繁殖期の伊豆諸島・4

  

昨年に引き続き、繁殖期の伊豆諸島へ出かけています。今年度の第1弾は昨年も訪れた神津島。今回はジェット船で行きましたが「条件付き」。実際利島はパス。神津島でも通常の神津港ではなく多幸湾へ接岸。今回の主目的は、天上山ルートのセンサスとアカコッコ・ウチヤマセンニュウ・ヤマガラの実態調査。さらに伊豆諸島では珍しいオオルリの生息状況調査。島の北側の大きな沢で、複数の個体が大きな声でさえずっていました。ところで、今回予定外で興味を持ったのは「シジュウカラがいない」ということ。ヤマガラ〔写真〕はここかしこで出会い、元気な姿を観察できましたが、2泊3日かけて、複数で島のほとんどを歩いたにも関わらず、結局まったく確認できませんでした。お隣の式根島は増えているとか。原因は何なのか、現時点では1970年代の樋口広芳さんの論文しか、以前の状況を知る手がかりしかないこの島の特異性をこの面でも感じました。〈続く〉(川内 博)

2010年5月16日日曜日

第1回スズメ調査探鳥会成功裏に終わる

  

5月15日(土)、初めての企画「スズメ全数調査」を東京都立日比谷公園で実施しました。「第1回スズメ調査探鳥会 in HIBIYA」は計画通り6名の調査員と17名の参加者が一体となり、6コース同時に動き、約2時間で調査を終了しました。方法は「ラインセンサス」で、型どおり2km/hの速度で、左右25m・上空50m内で認めたスズメの数を地図上に落としていきました。同じコースを3回繰り返し、平均した数を6コースで合計した結果は98.2羽。日ごろ300羽程度がいると予想していたので大きく外れてしまいました。しかし、よく考えると300羽は冬期のもの。繁殖期はこんなものだったのかもしれません。2回目は12月上旬の予定。今回は「スズメの減少」が話題になっているせいか、毎日新聞(5月10日付夕刊)が取り上げ、当日もマスコミの取材がたくさんありました。NHKが夜7時のニュースで放送したほか、今後、J-WAVE(81.3FM)が17日7時20分ごろ、同日午後6時のNHKニュース、テレビ朝日が22日朝6時30分からのやじうまサタデ―などが予定されています。【写真】テレビ局の取材に答える参加者

2010年5月10日月曜日

バードウィーク(15日)日比谷公園のスズメを数えます

  

今週はバードウィーク。その一環として、最終日の15日(土)に、東京都立日比谷公園で、園内にすむスズメの全数をかぞえます。最近スズメが減っているということがいろいろなところから聞こえてきますが、日本野鳥の会東京として、きちんとその疑問に答えることができません。長年にわたるしっかりしたセンサスを行っていないからです。そこで、まず日比谷公園にスポットをあてて、今春から年2回(春・冬)、全数調査を「スズメ調査探鳥会 in HIBIYA」として、下記の要領で実施します。ぜひご参加ください。余録として、「ネコ」の全数もでてきますので、これも興味深いところです。
【記】 日時:2010年5月15日(土)8時~11時ごろ   参加費無料          集合場所:都立日比谷公園・祝田門(桜田門に近い入口)  

2010年4月13日火曜日

新設 「月例研究部例会」のお知らせ・ご案内

  

研究部では、これまでも年に何回か「研究部例会」を開催していますが、この5月からは毎月第2金曜日の夜(7~9時)に、事務所で「月例」として開くことになりました。事務所には20名以上集まれますので、野鳥の会東京の会員だけでなく、お知り合いを誘っても大丈夫かと思っています。内容は事前に決めることもありますが、参加した人の自由な発表や話題提供も大事にしたいと考えています。出席者同士が気軽に交流し、本や雑誌に目を通したり、調べ物をしたりといったサロン的な雰囲気もいいなと思っています。
その発足会を、4月23日(金)午後7~9時に開きます。今回は「スズメは減っている?」ということを話題にしますので、身近な観察例をお持ちよりください(PC・デジタルプロジェクター利用可)。
日本野鳥の会東京の事務所は、新宿花園神社の近くの明治通り沿いの「新宿伊藤ビル」3階です。「金太郎」(1階)「青木歯科」(2階)の看板を目印においでください。参加費無料・事前申し込み不要・参加者は自己紹介をお願いします。