2020年10月27日火曜日

大都会の緑島・小石川植物園での写真集・『文の京の野鳥達』(井上裕由作品集)

  

「小石川植物園」は正式名を「国立大学法人東京大学大学院理学系研究科附属植物園」といい、東京23区のほぼ真ん中の文京区に広がる約62haの緑地です。

その生い立ちは320年以上前の江戸時代の「小石川御薬園」で、“赤ひげ先生”の話で知られる「小石川養生所」があった場所です。その環境は、空から見るとコンクリートの海に浮かぶ緑の島(緑島・りょくとう)のように見えます。

 由緒あるこの緑島を、愛用のカメラをかついで歩いているのが井上裕由さん。今回の写真集は、2009年頃から現在に至るまでに撮影した写真の総集編であり、観察の時期および最近5年間・469回の観察における遭遇率も掲載されています。

2016年制作の前作『一期一会の野鳥アルバム(小石川植物園の野鳥達)』に直近の4年間で新規に観察できた20種以上を加えた93種を収録したとのこと。この9月にA4判・133ページのアルバムとして発行されました。

その中には、日本野鳥の会東京の月刊誌『ユリカモメ』の表紙を飾ったツバメ・ムギマキ・ミヤマホオジロ・コホオアカの写真も収めてあり、コウライウグイスやヤマシギ、フクロウなどの貴重な記録も含まれています。ページをめくるごとに、“大都会・東京に!!”と驚かれるでしょう。

 都内の緑島の多くが、常に人為的な手入れがなされているのに対し、自然をあまりいじっていない園の存在は貴重で、この記録は、研究部としても重要な資料といえます。                                        〔研究部〕                      ※   紹介の本は完売しました

2020年10月8日木曜日

「タカ ハヤブサ フクロウ ~荒川流域の猛禽類~」展を見て来ました

  

埼玉県大里郡寄居町の荒川沿いにある、県立川の博物館の秋期企画展「タカ ハヤブサ フクロウ ~荒川流域の猛禽類~」に行ってきました。博物館は東武東上線鉢形駅から徒歩20分。

埼玉県で記録されている猛禽類はミサゴ科1種・タカ科15種・フクロウ科6種・ハヤブサ科5種とのこと。展示では荒川の上流の山地、中流の丘陵地・台地、下流の低地・都市部で見られる猛禽類の生活をはく製や写真などとともにわかりやすく展示してありました。また、ライバル(カラスやサギ)や獲物、他の県で見られる猛禽も紹介してあり、北方系のオジロワシやオオワシの記録もあるとのことでした。入館料は410円。〔会期926日~1123日〕

人々と猛禽類の関係の展示では、同館所蔵の江戸後期の大名鷹狩絵巻があり、1115日(日)の午後には「放鷹観察会」が予定され、また、1114日(土)には学芸員による展示解説が行われるとのことです。スロープの鳥の写真展につられて進むと、昔の筏や船の運送や、水車の利用、洪水対策の水蔵などの展示もあり興味深く見てきました(来年の27日まで展示)。

見終わった後に、外に作られた荒川大模型で解説文や地名・橋名を見ながら歩くと鳥の目になった気分を味わえました。(川内桂子)