「上野公園(上野恩賜公園)」は東京を代表する公園で、動物園・博物館・美術館・音楽ホールなどが林立し、そのなかの不忍池(しのばずのいけ)にも何度も足を運ばれたことがあると思います。本書はその公園の歴史的背景を第1章「上野とはどんなところか」、第2章「上野公園の歴史と現状」に詳しく記されています。第3章「しのばず自然観察会」の歩みでは、同会の発足につながる東京湾岸での「新浜を守る会」の話が記され、各地に「自然観察会」が発足する当時の時代背景などの一端を知ることができます。
上野公園の動植物については最後の第5章「上野公園の生き物たち」として、本書の責任編集者の小川 潔さんの記録と記憶でまとめられています。第1話は「上野の山の植物」、第2話は「不忍池の水鳥とその他の動物」となっていて、小見出しは
1.上野・不忍池とかつて見られたカモ類、2.不忍池の水鳥調査と方法、3.約60年間のカモ類の個体数経年変化-調査結果と池の環境の変化、4.不忍池における給餌について、5.カモ個体数の減少について、6.不忍池のカワウ、7.不忍池と周辺での過去の野鳥の繁殖、8.水鳥を襲う他の生物、9.珍鳥たち、10.上野の山と不忍池のその他の動物たちです。
本書の発行意義について、小川さんは公文書ではなく、“住民や公園愛好者、また失われた自然や文化遺産の代弁者という立場から記録を残す”とあとがきに記されています。
自費出版ですが、発行元の地湧社のとりはからいで全国の書店から注文ができるようになっています。公共図書館にも購入してもらえるようリクエストしてほしいとのことです。
〔地湧社・2025年12月発行・A5判・303ページ・定価2000円+税〕