2021年6月6日日曜日

東京都内でのイソヒヨドリの繁殖状況を調べています

  

  「磯の鳥・イソヒヨドリ」が、海辺を離れ、内陸部に進出している話は『ユリカモメ』ですでに紹介しています(№768201910月号)。その中で、今の“名所”は丘陵地の八王子市一帯ということをお知らせしました。「イソヒヨドリの内陸部進出」の調査は都市鳥研究会(事務局・埼玉県和光市)が全国展開していて、ここのところ首都圏の状況に焦点が当たっています〔都市鳥研究会HP・ブログ・「としちょうNOW」〕。 

 さて、東京の状況は、相変わらず「八王子市」がその中心で、地元の八王子・日野カワセミ会の2009年~2020年の調査で、営巣地のトータルは54か所とのことです。また、生息・繁殖地が鉄道沿線にそって広がり、JR中央線では、東側は立川・西国分寺、西には神奈川県の相模湖・藤野から山梨県の大月へ。南は府中や多摩センター・町田、北へは青梅線・五日市線沿線まで記録されています。 

情報をもとに、青梅駅・東青梅駅・河辺駅一帯の状況をこの5月に調べたところ、青梅駅では駅から100mほど離れたマンション屋上で餌をくわえたペアの動きを観察し、東青梅駅では駅舎の隣りに建つ16階建てのマンションの屋上で囀る雄を観察しました。河辺駅では、駅前にある銀行の屋上を動く雌【写真】をそれぞれ記録しました。ここでのポイントは、それらを確認するのに、時間があまりかからなかったということで、イソヒヨドリの生息が身近になっているということのようです。

当会では、「東京都鳥類繁殖調査」に協力しています。この“新参者”のとくに「繁殖」について力点をおいて調べています。営巣が確認できなくても「同じ場所でよく見かける」場所がありましたらお知らせください。                 〔研究部〕

2021年5月16日日曜日

繁殖期初期のムクドリ集団ねぐら・東京メトロ「行徳駅」

  

  

  2019年から年間を通して、東京メトロ東西線の行徳駅周辺のムクドリの集団ねぐらを調査しています。都市でのムクドリの集団ねぐらで、社会問題といえるほど個体数が増加するのは、一般的に夏の終わりごろから冬の間です。行徳駅の集団ねぐらについても、個体数が千羽単位に増加するのは8月中旬頃から3月頃ですが、年間を通してムクドリの集団ねぐらが観察されました。 

調査前には、繁殖期、特にまだ若鳥がいない初期の頃には、ムクドリは集団ねぐらを形成しないと思っていました。しかし、繁殖期初期の4月・5月でも数は多くは無いものの、150300羽のムクドリが集団で駅舎をねぐらとしていることがわかりました。(表:45月の個体数) 都市鳥研究会の越川重治氏によると繁殖に参加しない個体と「繁殖期に入っても基本的には最終卵を産む前までは、メスは夜間抱卵しません。もちろんオスは繁殖期でもねぐらに戻ります。現在の行徳駅前のねぐらの個体はおそらく非繁殖個体+繁殖個体オス+繁殖個体で夜間抱卵に入っていないメスで構成されていると考えられます」とのことでした。繁殖中でも産卵途中のペアーは、集団ねぐらを形成することがあるとのことです。確かに、ねぐらを観察していると、ペアーと思われるものも見受けられました。 

行徳駅の集団ねぐらの場所は、個体数が数百羽の時は主に駅舎、千羽を超えるようになると駅前広場の樹木、樹木が強剪定されると電線へ移動するのが例年の行動です。人工物の駅舎では、屋根裏の鉄骨の梁の部分を利用して寝ているようです。個体数が少ない為、今まで注目していませんでしたが、ムクドリが周年、同じ場所をねぐらとして利用していることは一つの発見でした。                                        [鈴木弘行]

         表:45月の個体数

年月日

個体数

ねぐら場所

2019428

250

駅舎

2019528

200

駅舎

2020421

300

駅舎

2020524

150

駅舎・樹木・電線

2021412

300

駅舎

2021514

150

駅舎

 

 

 

 

                                

 


2021年4月29日木曜日

初めて見たコサギの「波紋漁法」・江東区の旧中川で

  

 

 コサギは池や川など都内の水辺でよく見かける水鳥です。街なかの個体は人慣れしているのか比較的警戒心が小さく、まぢかでその行動を見ることができます。先日、旧中川のカワセミの人工営巣地のようすを見に行ったとき、江東区の亀戸中央公園の川沿いで、「波紋漁法」と名づけられたコサギの採食行動を初めて見ました。

 川沿いの飛び石づたいに渡れる島の岸辺で1羽のコサギがうろうろしていました。そのうち、首を伸ばし、くちばしを水面に平行にして、まるで水をゴクゴク飲むような感じで水面に波紋をたてていました。場所を移動すると、今度はくちばしを水面に斜めに入れて、くちばしを細かに開閉して、やはり波紋をつくっていました。【写真】 波紋をつくって、そこに餌になるようなものがいると思わせて、小魚を集めている行動と見て取れました。

最初の約5分間では、2回小魚を捕らえていましたが、その後、場所をいろいろ変えながらの約20分間では1回しか捕らえられませんでした。 コサギのこのような採食法(bill-vibrating)は、日本では1990年代に広島から報告があり、東京でも2000年代に上野の不忍池でも観察されています。文献でしか知らなかったこの採食行動、この鳥の「足揺らし漁法」に比べると、効率はよくないように見えました。〔川内 博〕                                      

        

2021年4月14日水曜日

街のカワセミの繁殖は「人の手助け・人工物利用」で頑張っています・ カワセミの新刊の紹介

  

 いまカワセミは繁殖期の真っ最中。4月上旬、例年観察している東京23区内の2か所を訪れてみました。1か所は下町の地下鉄駅に近い工場跡地の再開発地。その一角に造られた庭園はビオトープを意識した作りで、池を中心として周辺に植栽され、水辺には人工崖が造成されています。新しく削りだされた赤土の壁面にはカワセミの巣穴が多数掘られていました。

かつてここでは毎年連続して繁殖していましたが、ヘビに襲われ失敗して以来、ここ数年放棄されていました。区が新しい壁面を削り出したところカワセミが戻ってきたとのこと。ぶじ営巣するか待ち遠しいところです。

もう1か所は山手の川で、壁面の水抜きパイプを利用して繁殖している場所。今年も雌雄が元気に飛び回っていました。短時間での観察で、水抜き穴を利用しているかは確認できませんでしたが、状況から今年も同じ所で営巣する可能性が高いと思われます。

23区内には山手にも下町にもカワセミが巣を掘れるような自然の崖はほとんどない状態ですので、人工の崖地・人工の穴の利用など、人が関わっての繁殖ですが、たくましいカワセミ夫婦は、今年もたくさんのヒナを育てることでしょう。5月に予定している再訪が楽しみです。

ところで、“カワセミ百科”の本が出ます【写真】。自然教育園で長年カワセミの繁殖生態の研究をされている矢野 亮氏監修の『にっぽんのカワセミ』(カンゼン・20214月刊・1500円・税別)、本の帯には「一冊たっぷり♪カワセミの本」とあり、全ページ美しい“カワセミ色”に染められた楽しい本です。               〔川内 博〕


2021年3月31日水曜日

「ツバメの初認」のころ、コロナ禍の影響は・・・・情報をお寄せください

  

毎年春になると気になるのが「ツバメの初認」。昨年ヒナが孵った巣をたずねることは、この季節の恒例行事です。330日、港区白金台の目黒通りを歩いていたら、2羽のツバメが飛び交っていました。“シロガネ―ゼ”にふさわしい貫禄のあるマンションの1階駐車場に毎年営巣し、昨年は2回繁殖した巣に、雄が何度も入ってチェックを繰り返していました。【写真】 

同じ通りの500m先にも昨年子育てした巣があり、マンションの地下駐車場への通路の天井には巣が2つ残っていました。1か所は半壊状態の古巣で、もう一つは昨年子育てをした巣です。残念ながらこちらではその姿を見ることはできませんでした。付近には自然教育園をはじめ、八芳園、東大医科研など緑の多い場所ですので、都心としてはツバメの子育てがしやすい環境と思えます。今後少し範囲を広げて調べる必要がありそうです。

 しかし、コロナ禍の影響で、東京駅を中心とした3㎞四方を対象に、1985年から5年毎に30年継続続調査している都市鳥研究会のホームページには「一斉調査を中止」の知らせがアップされていました。なかなか遠出ができない状況、ご自宅やご近所、行きつけの商店街や駅などでの昨年・今年のようすをお知らせください。〔日本野鳥の会東京・研究部〕 

2021年2月26日金曜日

オンライン“オガヒワ講演会”を視聴して

  

  この講演会に接する前は“オガヒワ”という言葉を知りませんでした。正式名の「亜種オガサワラカワラヒワ」はもちろん知っていて、約40年前の夏、小笠原の母島の畑道を歩いていたとき、当時『特殊鳥類』に指定されたいたこの鳥が数羽飛び立ち、鳴声も聞いた覚えがあります。20106月下旬に同地を訪れたときには興味をもって調べましたが出会えませんでした。しかし、父島港で壮大な“お見送り”を受けて、東京・竹芝に帰った数日後の77日、すてきな写真が撮られていました。日本野鳥の会東京・研究部に所属する三間久豊さんが、母島で幼鳥タイプのカワラヒワをシャープにとらえ、その画像は同年11月号の『ユリカモメ』の表紙を飾りました【写真】。 

オガサワラカワラヒワは、最近の調査では、母島の属島や南硫黄島に数100羽生息するだけで、環境省および東京都のレッドリストでは絶滅危惧ⅠA類(CR)で、「絶滅の危機に瀕している」と評されています。さらに、昨年5月に、亜種ではなく独立種であるという研究が発表されています。 

オンラインで「全部わかっちゃう!! オガサワラカワラヒワ講演会」が行われたのは、今年の117日でしたが、私が知って視聴したのは2月下旬。下記の「見逃し配信」

https://www.youtube.com/watch?v=8IQ0JHq3jmU

で、3日かけて3時間の講演会を視聴しました。内容は多岐にわたって充実していて、タイトル通りに「オガカワ」の現状を知ることができ、 一言でいうと“見てよかった・知ってよかった”という感想です。活動について興味のある方は、公式のホームページがありますので検索してみて、アクセスしてください。   〔日本野鳥の会東京・川内 博

2021年1月29日金曜日

「意外に知られていない都会のフクロウ」予告編

  

 「都内のさる緑地では近隣にお住いの方たちが“フクロウの鳴き声を耳にするが居るのか?”という疑問を持ち続けてきました。しかし、行動時間帯が夜間ということと、別の場所から飛来してたまたま鳴いていたのか判らないので、ある意味「都市伝説」のようになっていたようです。」

 しかし、この話は根拠のない都市伝説ではありませんでした。前月の当ブログで呼びかけたように、23区内の緑地にフクロウ [ Ural owl  Strix uralensis ]が確かに生息しています。しかもペアで。その緑地で長年野鳥の写真を撮っている当会会員に、“匿名”・“場所不詳”で、この春から、会報誌『ユリカモメ』にフクロウの話を紹介してもらう予定です。お楽しみに。

ところで、都会のフクロウの話が載る予定のページはモノクロなので、上記の写真をつけても何が写っているのかわからない可能性があります。カラー写真で見ても、一目で何だといえる人は少ないのではないでしょうか。中央の洞にフクロウの横顔が見えますか? 撮影者は“匿名執筆者”の知り合いの日本野鳥の会会員で、ここにフクロウがいることをはっきりさせた証拠品です。 

「ふくろう・梟」はその独特の姿と生態から、むかしから人々から親しまれている鳥で、文学や絵画、民芸品などによく登場します。しかし“街のフクロウ”という話は、日本ではあまり聞いたことがありません。都内に想像以上にフクロウが棲んでいる可能性があります。冬はこの鳥の恋の季節。もっとも鳴声が聞ける時期です。“いるかもしれない”と思って夕刻から夜にかけて、耳を澄ましてください。                                                                     〔研究部〕