2021年5月16日日曜日

繁殖期初期のムクドリ集団ねぐら・東京メトロ「行徳駅」

  

  

  2019年から年間を通して、東京メトロ東西線の行徳駅周辺のムクドリの集団ねぐらを調査しています。都市でのムクドリの集団ねぐらで、社会問題といえるほど個体数が増加するのは、一般的に夏の終わりごろから冬の間です。行徳駅の集団ねぐらについても、個体数が千羽単位に増加するのは8月中旬頃から3月頃ですが、年間を通してムクドリの集団ねぐらが観察されました。 

調査前には、繁殖期、特にまだ若鳥がいない初期の頃には、ムクドリは集団ねぐらを形成しないと思っていました。しかし、繁殖期初期の4月・5月でも数は多くは無いものの、150300羽のムクドリが集団で駅舎をねぐらとしていることがわかりました。(表:45月の個体数) 都市鳥研究会の越川重治氏によると繁殖に参加しない個体と「繁殖期に入っても基本的には最終卵を産む前までは、メスは夜間抱卵しません。もちろんオスは繁殖期でもねぐらに戻ります。現在の行徳駅前のねぐらの個体はおそらく非繁殖個体+繁殖個体オス+繁殖個体で夜間抱卵に入っていないメスで構成されていると考えられます」とのことでした。繁殖中でも産卵途中のペアーは、集団ねぐらを形成することがあるとのことです。確かに、ねぐらを観察していると、ペアーと思われるものも見受けられました。 

行徳駅の集団ねぐらの場所は、個体数が数百羽の時は主に駅舎、千羽を超えるようになると駅前広場の樹木、樹木が強剪定されると電線へ移動するのが例年の行動です。人工物の駅舎では、屋根裏の鉄骨の梁の部分を利用して寝ているようです。個体数が少ない為、今まで注目していませんでしたが、ムクドリが周年、同じ場所をねぐらとして利用していることは一つの発見でした。                                        [鈴木弘行]

         表:45月の個体数

年月日

個体数

ねぐら場所

2019428

250

駅舎

2019528

200

駅舎

2020421

300

駅舎

2020524

150

駅舎・樹木・電線

2021412

300

駅舎

2021514

150

駅舎