2010年7月30日金曜日

ある日の高尾山・TBS定期調査から

  

【調査日】2010年7月18日(日)午前6時32分~8時20分、天気:晴、気温:25℃ 【環境】低山 【調査者】吉邨・中尾 
【観察種】( )内はカウント数 : キジバト(2) アオゲラ(1) コゲラ(3) ツバメ(2) イワツバメ(18) キセキレイ(2) セグロセキレイ (1) ヒヨドリ(5) ウグイス(1) キビタキ(5) コサメビタキ(3) エナガ(2) ヒガラ(2) ヤマガラ(6) シジュウカラ(6) メジロ(12) カワラヒワ(1) イカル(2) スズメ(2) カケス(1) ハシブトガラス(2) ガビチョウ(2) 
【コメント】連日の暑さに高尾山へ涼を求めてやってくる人も多いが、以前に比べ保水量の衰え乾燥した山は、涼しさを感じ得なくなったしまいました。稜線まで登るとキビタキの声が多くなりますが、オオルリはこの日1個体だけ。コサメビタキは蛸杉付近と山頂で若鳥を連れていました。山頂に着くとメジロの騒がしい声、カシワの枝先にはメジロの巣、残念なことに巣からお腹を膨らした40cmほどのアオダイショウが降りてくるところでした〔写真〕。他にカルガモ、ホトトギス、クロツグミ、ヤブサメ、オオルリを確認。高尾山口駅高架下のイワツバメは巣の数170個、巣の出入り確認52羽。 ※TakaoBirdSurbeyGroup は高尾山の野鳥を定量調査しています。協力(調査、データ整理)いただける方は、吉邨(よしむら)または研究部まで連絡下さい。(吉邨隆資)

2010年7月15日木曜日

繁殖記録・6 大田区内の公園でのツミの繁殖

  

大田区の某区立公園で今年、ツミの繁殖を観察しましたので報告します。
4月中旬から公園付近をツミの雌雄が飛ぶ姿が見られ、4月下旬~5月上旬には求愛給餌、巣材運び、交尾と思われる行動が目撃されました。5月の中~下旬になると、雄がカラスを追うのが時々見られたものの、雌の方は姿を見せなくなったため、この頃から抱卵を開始したのではないかと思われます。
6月11日、遊歩道の上のごく限られたゾーンから巣が見えるのに気がつきました。クヌギの木の地上20メートルほどのかなり高い位置に木の枝や葉っぱ、コケなどを重ねた巣があり、抱卵中の雌の尾羽が見えていました。6月15日には雌が巣上でごそごそと頻繁に動いていたので、この頃に雛が孵化した可能性があります。6月25日には、雌も給餌の時以外は巣から離れているようでした。6月30日には雛が巣上に少なくとも2羽確認できましたが、いずれも頭や顔はまだ白色でした。
7月4日になると、雌が頭の白っぽい雛に給餌している時に、成長の早い別の雛が巣から1メートルほど離れた枝の上に立っていました。7月6日には巣から枝伝いに4羽の雛が移動して並んでいました。4羽とも頭は白さが少し残るものの顔つきは精悍で、背面は黒っぽく胸・腹には縞模様がしっかり入っていました。7月8日には写真のように雛1羽が巣から1メートルほど離れた枝の上に立っており、しばらくするとふわりと数メートル先まで飛んで見えなくなりました。おそらく巣立って初めての飛翔だったと思いますが、意外に軽やかで余裕があったのが印象的でした。
7月13日の時点では、巣の近くには親も雛も姿が見えなくなりました。ただ、樹上から親の声と雛のこまかい小声が時々聞こえるので、まだ公園内に留まっているようです。 (川沢祥三)

2010年7月14日水曜日

「新・東京みやげ」のご紹介

  

地方などに行く時、ちょっとお礼がしたい時、重宝するものを見つけました。『東京の自然図鑑』(正式タイトルは、「緑と水のひろば 東京の自然図鑑 合本」)。表紙の写真同様、中身はオールカラーで、内容は植物編と動物編に分かれ、「百年間の東京のコケたち」「東京のドングリの木」や「東洋のガラパゴスの鳥 メグロに会う」「都市蝶 都会に生きる小さな命の輝き」、なかには「コブナグサと八丈島の黄八丈」とか「鳥の舞飛ぶ江戸」などのタイトルが並び、全ページ東京の生き物が自然環境・社会環境とのかかわりあいを含め、いろいろな立場・見方からわかるようになっています。ほとんどが見開きでの紹介ですので、レベル的にはそれぞれの入門の初歩程度ですが、きれいな写真満載で、だれでも楽しめるようにできています。
この本は、㈶東京都公園協会の情報誌「緑と水のひろば」21号~55号(2000~2009年)に掲載されている『東京の自然図鑑』の部分を合本したもの〔B5判・127ページ・2009年3月発行、900円〕。メール便を使えば80円で全国に送ることもできます。ただ問題なのは入手方法。現在手に入れられるのは、新宿歌舞伎町にある、協会の事務所(℡03-3232-3014)と日比谷公園内の日比谷グリーンサロンに隣接した「緑と水」の市民カレッジ(祝・日曜日休館)の2か所だけ(岩崎庭園でもいう話はあるが未確認)。
東京だけの生き物を取り扱ったこの手の本がなく、また手に入り難いものなので、格好の「みやげ」になるのではないでは。

2010年7月12日月曜日

やっと上陸した御蔵島・繁殖期の伊豆諸島・その6

  

7月7日(水)11時、ついに御蔵島に降り立ちました。思えば2年越しの大事業(?)。昨年5月には、三宅島の次は御蔵島と気軽に旅立ったのですが、船は御蔵島港をパス。八丈島からの帰りも素通り。いずれもそれほど波が高いとか風が強いとも思えない天候でしたが。今年は6月中旬に予定。まず聞かれたのは「宿は取れましたか?」。イルカウォッチングで、宿が非常に取り難いとか。次いで船では不確実ということで、ヘリコプターの予約を入れたらどこも満杯。先の青ヶ島の経験から予定を変更。7月上旬までに何とか行きたいということで、空いてる日は7~9日の3日間だけ。関係者3人は3様の渡る方法を考えました。
梅雨の真っただ中。7日午後は雨の中、ガイドの車を借りて下見に終始。翌日は曇りながら奇跡的に1日中雨なし。目的のウチヤマセンニュウの生息地探しとアカコッコ、カラスバトなどの生息状況を調べるため、朝4時~夕方6時過ぎまで、ガイドの広瀬節良さんの案内で島内各所を踏査。これが正解で、翌日は午前中大雨【写真】。もっとも名水・御蔵の水の元を体感できましたが。ところで鳥の方はアカコッコ、イイジマムシクイ、コマドリ、ミソサザイなどのさえずりはふつうに聞けましたが、そのボリュームは比較的小さく、かつ、村の中で鳥の警戒心が強いというのが印象的でした。
17年ぶりに訪れた御蔵島は家々はこぎれいに変身し、若者も家を継ぎ、人口も300人を超えたとのこと。それもこれも「イルカ」。島の職員を1名募集したところ500人以上の応募があったとか。さらに、かつて大問題だった嫁探しは、今は選り取り見取り(?)。時代は刻一刻と変わるというのを実感しました。                                      (川内 博)