2009年11月23日月曜日

BINOS(日本野鳥の会神奈川支部研究年報)第16集の発刊

  

日本野鳥の会神奈川支部が年1回発行しているBINOS(バイノス)Vol.16が出されました。今号からA4判と大型化し、115ページ。コンテンツは裏表紙のものを載せましたのでご覧下さい。野鳥の会支部で、毎年きちんと独自の年報を出しているのは神奈川支部だけです。内容は鳥学的な研究から保護のための調査報告まで、野生鳥類に関するあらゆる分野を網羅しています。いずれの論文・報告・記録も充実していて、調査研究のための参考・文献として活用できるとともに、後世への資料として意味のあるものばかりです。
 東京支部でもと期待されていますが、現在の力量では難しいことです。論文・報告の原稿を集めること自体はもちろんのこと、それを出版物として完成させることも同じくらい大変なことです。とともに、もうひとつ難しいことは資金面です。1、2回発行することは、それほど困難ではありませんが、継続的に出版するには相当の覚悟が必要です。実際、バイノスの発行でも頭が痛いようで寄付なども呼びかけています。しかし、この面での一番の助けは、多くの方が報告書を購読することです。それは単に発行費用が回収できることだけでなく、当事者が頑張って継続しようというモチベーションを高めるからです。
 内容・ボリュームから1200円は安いものです。その上、直接関係ありませんが「送料80円」というのはこの種の発行に大変ありがたい助けになっています。詳しくは下記にお問合わせください。神奈川支部のHPへは、本HPのトップページにリンクをはっています。(川内博)
【連絡先】〒221-0052 横浜市神奈川区栄町2-8 横浜藤ビル6F 日本野鳥の会神奈川支部 Tel/Fax.045-453-3301   

2009年11月21日土曜日

東京23区内のセグロセキレイに注目を

  

 板橋区内在住の野鳥写真家、土橋信夫さんからの興味ある情報を紹介します。土橋さんがフィールドとしている都立城北中央公園(板橋区・北区)では、セグロセキレイが昨年から2羽で越冬をするようになったとのこと。以前は多摩川などの中上流部に生息し、23区ではあまり定着していなかった鳥ですが、近年は繁殖期を含めて、分布域を広げていますのでご注目ください。城北中央公園でも以前は秋の渡りの時期しか見られなかったとのことです。今年も10月1日に初認、11月2日にもう1羽加わったとのこと。
 ところで、この話には次があり、写真を撮っていて、1羽の右脚には1本の指を残すだけで、左脚にはまったく指がないのに気づいたとのこと〔写真〕。しかし、なかなかの元気者で、園内の石神井川のカーブにできた砂州を2羽でなわばりとしていて、ハクセキレイが近づくと追い回しているそうです。背中の色などから雄ではないかと思われるとのこと。同じ場所で越冬するということは昨年と同じ個体である可能性があり、不運にも何らかのことで指を失くしたと思われます。
 いずれにしても、指がないというハンディで今後どれだけ生きていけるのか、どんな行動圏なのか、また、興味ある行動が見られるのか、思わぬことで個体識別ができる状態ですので、土橋さんとともに、お近くの方はぜひ観察をお願いします。(川内)

2009年11月18日水曜日

国際シンポジウムへのご案内・東京大学にて

  

東京都産鳥類目録の火山列島などを担当していただいている川上和人さんからの情報です。(独)森林総合研究所主催で『南の島のエイリアン~小笠原・沖縄の外来種管理~』というシンポジウムが12月18・19日に本郷の東京大学で開かれます。鳥類目録作りも、現在島嶼部へ入っていますので、タイムリーな企画として紹介します。ただし、1日目(18日)は通訳なしの英語とのこと。2日目は日本語が主体のようですので、そちらだけの講演名を列記します。興味のある方はぜひ参加され、報告をいただければと思っています。なお、詳しくは下記に問合せてください。
12月19日(土)『南の国のエイリアン』10時30分~16時、東京大学農学部1号館第8講義室 午前(10:30-12:00)島の生態系と生物多様性、社会的動物であるネコの問題、やんばるの森の管理と地域社会 午後(13:30-16:00)小笠原の外来種対策と生態系回復、グリーンアノールの昆虫への影響と管理、山地は侵入生物の最後の砦?、アカギとクマネズミは根絶できるか、ニュージーランドのネズミの管理
「脆弱な海洋島をモデルとした外来種の生物多様性への影響とその緩和に関する研究 小笠原諸島における帰化生物の根絶とそれに伴う生態系の回復過程 沖縄ヤンバルの森林の生物多様性に及ぼす人為の影響の評価とその緩和手法の開発」という案内が、ポスターの最後に記されています。
【問合せ先】alien@ffpri.affrc.go.jp Tel.029-829-8257(川上)

2009年11月11日水曜日

RDB(レッド・データ・ブック)シンポ・成功裏に終わる

  

日本野鳥の会東京支部主催の「第2回東京の鳥シンポジウム」は、11月4日午後6時~9時に、東京・渋谷区立千駄ヶ谷区民会館2階で開催し、パネリスト・報告者を含めて52名が参集し、予定通り終了しました。〔写真〕 タイトルが『東京都のRDB・今われわれにできること』という硬いもので、参加者数が心配でしたが、企画成功の目安としていた50名を越し、関心の高さに一応安堵しました。基調講演では、おもにRDBに関係したことの現状を紹介・解説といったことに力点を置き、東京都が都心部を中心として実施している緑化活動の概要、また、日本野鳥の会が取り組んでいる鳥の保護活動に関しての現況、さらに、東京でのRDBに関係する鳥の実情といった構成でした。現地報告は、実際野外で活動をしている事例で、期待にたがわぬ聞きごたえのある内容でした。パネリスト・報告者の皆様に感謝します。
ところで、このシンポジウムのサブタイトルは「今われわれにできること」で、ここで「私」ではなく「われわれ」としたことに意図があります。具体的に「われわれ」とは日本野鳥の会東京支部および「日本野鳥の会グループ」のことを指し、日本最大の野鳥保護団体としての活動を意味しています。今回の企画は、活動力が低下している野鳥の会に活性をという趣旨も含んでいました。最後のパネルディスカッションでは、参集した皆さんで、「今われわれは何ができるか」を討議したいと思っていましたが、内容がいっぱいで時間切れになり、そこまで進展させることができず残念でした。しかし、参加者の皆さんが、自分なりに何ができるかということを考えるという、この集会の主旨は十分伝えることができたと思います。
東京支部でRDB関係のことを直接的に取り上げたことは初めてですが、今回の成功を機会に、具体的な活動へ発展させたいと思っています。