2022年12月29日木曜日

冬鳥ツグミの本隊はいつ・冬の調査「越冬期2023」・「猛禽類のようす」

  

  今年の冬は寂しい! そのわけはツグミ【写真】・シメなどの渡来数の多い冬の小鳥たちの声や姿が極端に少ないからです。ツグミは11月のはじめ前後には第一陣の声が聞こえるのが例年のことです。シメもツグミと同じころに金属的な地鳴きが聞こえてきて、冬の到来が近いことを知るシグナルとなっています。それが12月の末になっても声も姿も出会うことが少なくなぜ?” とささやかれています。

研究部では「越冬期2023」調査と「猛禽類のようす」調査をこの冬に行います。 

越冬期2023」は昨年に引き続いての調査で、冬鳥やカモなど水鳥類のようすを重視したもので、東京湾岸から上野不忍池、皇居濠、多摩川、奥多摩湖など80か所以上で、1月中に実施します。調査地の多くは日頃から探鳥会や観察会が行われているところで、調査に携わる方は、探鳥会や自然観察会のリーダーが中心で、レベルの高いデータが期待できます。

猛禽類のようす」調査は、最近、市街地でも見ることの多くなったタカ類(オオタカ・ハイタカ・ノスリ・トビなど)やハヤブサ類(ハヤブサ・チョウゲンボウ)、最近皇居で繁殖していることがわかったフクロウ【写真】、逆に最近見かけることが少なくなったフクロウ類(コミミズク・トラフズクなど)などの猛禽類の冬期間の生息状況を調べるものです。

いずれも高い専門性を必要とする調査で、野鳥の会や自然観察会の皆さんにボランティアで参加いただいています。                                                                                                     〔日本野鳥の会東京・研究部〕

2022年12月1日木曜日

昭島駅前のムクドリのねぐら初観察の記

  

   前からその存在は知っていながら、なかなか現場を見ることができなかった東京都昭島市・JR昭島駅前のムクドリのねぐらの状況を見てきました。11月27日()夕方、奥多摩での探鳥の帰り、ちょうど午後4時ごろに昭島駅に着きました。その日の日没は4時29分。約30分前の照度は2500ルクス。日没10分前に照度が850ルクスになったころ、駅南口の空に1000羽ほどの群れが上空に現れました。群れは旋回するごとに周りから小群が合流し、日没ごろには2000羽、その10分後には7000羽の大群となり、群れはまるで一つの巨大な生き物のように変幻自在に形を変えながら大空を舞い続けました。【写真・上】

 この光景は、かつて千葉や埼玉でよく見かけたものですが、最近はこのねぐら入り前の“儀式”をあまり目にしなくなっていました。久しぶりの大空をバックにしたショーに思わず見とれていましたが、“落とし物”のプレゼントが私を直撃しました。オレンジ色の果実の皮のかけらのような小片でした。あわてて屋根のあるタクシーの待合所に逃げ込みましたが、群れが通過するたびに、ボタボタと頭上の鉄板が鳴っていました。1650分、群れは一斉にロータリー中央のケヤキや常緑樹に舞い降りてきました。照度計は25ルクス。三日月がバックに輝いていました。【写真・下

ここのねぐらがいつできたのかはわかりませんが、5年ごろ前に昭島市を訪れた際、駅北口広場の木々が強剪定されているのを見かけ、ねぐらになっているだろうと思ったことがありました。同市の住人に聞いたところ、この件はあまり話題になっていないとのこと。各地でトラブルが続く「ムクドリのねぐら問題」は、今のところ“解決策がない”のが現状です。何らかの方法で追い出すと、別の場所でまたトラブルが発生するという繰り返しになっています。とりあえず、昭島駅南口を安住のねぐらとしてもらえればと願いながら、次のねぐら地へ電車で移動しました。                     〔研究部・川内博〕