2011年8月29日月曜日

繁殖記録・3 大田区内の公園で、今年もツミが繁殖

  

 大田区内の公園で、昨年に引き続いてツミが繁殖しましたので、その概要をお知らせします。4月の中ごろから公園付近を雌雄で行動していましたが、いったん作りかけた巣をやめて別の場所に新たな巣を作るという経過があったため、繁殖過程の進行時期は昨年より遅れ気味でした。今年の巣はアカマツの木の地上15mほどの横枝に掛けられていました。昨年の巣と比べるとかなり小さくて貧弱なもので、卵や雛が巣から落ちないか心配になるほどでしたが、結局そのような事故はありませんでした。〔写真〕
 この公園ではハシブトガラスも幾組か繁殖しており、育雛中のツミの親はカラスを追い払うのに相当な労力を使っているようでした。そして7月21日の午後、台風が通過した後の公園内を2羽の幼鳥が連れ立って飛ぶ姿を見ることができました。
 今年の特記事項は、繁殖過程を観察中の一時期、つがいとは別のツミの雄と雌各1羽が、巣の近辺を含む公園内で行動しているのが見られたことです。これらの2羽とつがいの2羽がどのようなかかわりを持って行動していたのか、興味のあるところです。(川沢祥三)

2011年8月23日火曜日

紹介 小笠原諸島・世界自然遺産登録記念公開講演会

  
「小笠原諸島は、どこから来て、どこへ行くのか?~魅惑の生物進化と多様性の保全~」

2011年6月、小笠原諸島が日本で4番目の世界自然遺産に登録されました。これにより小笠原諸島の自然について、いっそうの関心が寄せられると期待されます。小笠原は貴重な生物の宝庫であると共に、日本の外来種対策の最前線でもあります。そこで世界遺産登録にあわせ、海洋島小笠原諸島に生息する特異な生物の生態・生理に関する研究の成果と、現在取り組まれている保全研究の最前線について紹介いたします。

【主 催】森林総合研究所/首都大学東京小笠原研究委員会
【日 時】2011年8月28日(日)14:00~17:30 (開場13:30)
【場 所】秋葉原サテライトキャンパス(秋葉原ダイビル12階)
JR秋葉原駅徒歩約1分
【参加費】 無料  【登録】 不要

【プログラム】
13:30 開場(南硫黄調査2007記録ビデオ上映)
14:00 はじめに 可知直毅(首都大学東京小笠原研究委員長)
14:10 花外蜜腺を介した植物とアリの関係 杉浦真治(森林総合研究所)
14:50 乾性低木林の樹木の生理機能とその多様性 石田厚(京都大学)
15:30 休憩
15:40 小さなネズミの大きな影響 川上和人(森林総合研究所)
16:20 ノヤギが駆除された後の生態系はどこへ行く畑憲治(首都大学東京)
17:00 総合討論
17:30 閉会

【問い合わせ先】
Tel: 029-829-8217(森林総合研究所 牧野) 
e-mail: island@tmu.ac.jp

2011年8月21日日曜日

繁殖記録・2 清瀬市の小河川でイカルチドリが繁殖

  

清瀬市の柳瀬川の支流空堀川の河原で、イカルチドリが繁殖しました。営巣地は、空堀川が柳瀬川に合流するあたりで、河床掘削工事の終了後に図らずも出現した河原です。〔写真〕
 孵化日は不明ですが、当初の雛数は4羽でした。その後数が減ってきて、4月28日の時点で確認できるのは1羽のみとなりました。
 コチドリは、毎年、柳瀬川城前橋~金山橋間の、左岸の畑や不耕作地で1~3つがい繁殖していますが、イカルチドリは繁殖していませんでした。営巣地の河原は、両岸がフェンスに囲まれ、人が容易に立ち入り難い場所です。当地でイカルチドリの繁殖を見なかったのは、こうした安全で、一定の広さの河原が無かったことも一つの理由ではないかと思っています。イカルチドリは、コチドリのように、水辺に近く開けた場所であれば、畑地でも荒れ地でも結構というほど、営巣場所に寛大ではないように思われます。(青木秀武)