2022年3月30日水曜日

ドバトとキジバトが同じ場所で採食・都市生態系の一員に

  

 
  人からの給餌で暮らしていたドバトが、キジバトと同じ場所で採食している光景を見ることが多くなりました。【写真  左がドバト・右がキジバト 江東区の猿江公園にて】

ドバトは漢字では堂鳩または土鳩と書き、カワラバト由来の伝書バトやレースバトなどが野良化したものやその子孫です。一方、キジバトは漢字では雉鳩と書き、山鳩の愛称もある純粋の野生種です。街なかで見かける「鳩」はこの2種のどちらかです。一般にドバトは公園や駅前、神社・お寺など、人が多いところに群れでたむろしているのを見かけることが多い鳥です。それはお年寄りや親子連れ、観光客などが与えるパンや菓子などを主食としているからです。キジバトの主食は草の実や木の実、地中の小動物で、地面を歩きながらひとつ一つ啄んでいます。その違いのため、この2種がいっしょに採餌している姿を見かけることは、かつては少なかったのですが、ここのところ、公園やグラウンド、草地などを歩いていてよく見かけるようになりました.

東京都では、2000年ごろから“鳩や水鳥に餌をやらないで!”というキャンペーンを強化しています。その結果、台東区の浅草寺境内では2000羽を数えていたドバトが数十羽に減り、池袋や渋谷の駅前でのドバトへの餌やりは見かけなくなりました。また、水鳥のユリカモメ(百合鴎)も川の上流まで群れで飛んできていたのが激減しています。

人からの給餌が少なくなったドバトは活路を求めて、キジバトの餌場に進出してきているというのが、この2種を同じ場所で見るようになった真相です。“野良鳩”として、厄介者とされてきたドバトですが、この変化を見ると、いよいよ都市生態系の一員として認識しなければならない時期になってきたようです。                                            〔川内 博〕

2022年3月15日火曜日

新しい展開を見せだした東京「池袋西口」のムクドリのねぐら・続報

  

   昨年1215日付の本ブログで「“駅前ねぐら”ではないムクドリのねぐら・2」というタイトルで、東京・池袋西口公園の事例を紹介しました。その後月2回のペースで状況を追っていますので、そのようすを紹介します。 

池袋西口公園には「東京芸術劇場」という日本有数のクラシック音楽の殿堂がある場所ですので行かれた方は多いでしょう。ムクドリのねぐらはその建物から50mも離れていない車道内のクスノキの大木で、ムクドリたちは近くのビル屋上のTVアンテナに群れで止まり、明るさが10ルクス程度になってから、薄暗いなかで一気にねぐら入りをします。前報では100羽程度としましたが、その後200羽程度であることがわかりました。また、同じ木の下で越冬しているウグイス2羽もその姿を確認しました。

1月、2月とムクドリのねぐらは同じ状況が続きました。しかし311日には状況が変わっていました。ひとつは、ねぐらに入る前に止まっていたTVアンテナの周りに工事用の囲いができ、ムクドリたちは別々のビルの屋上に分散していました。もう一つは、ムクドリのねぐら入りがいつもと違って、クスノキに一気に飛び込むのではなく、周辺を何度も旋回しました。数も200羽をはるかに超えていました。規模は小さいながらも“夏ねぐら”のそれを思い出させるような動きでした。写真に撮って数を数えたら500羽前後とわかりました。そのためかねぐら入りしてからの鳴き騒ぎ声も、今まで5分でおさまっていたのに、10分と延びていました。さて、そうなるとここは“冬ねぐら”ではおさまらず、春からも“駅前ねぐら”が続く可能性が出てきました。 〔日本野鳥の会東京・研究部〕