2011年12月31日土曜日

武蔵野の自然~くぬぎ林増刊号~にみる30年の記録

  

  武蔵野野鳥の会創立30周年を記念して、同会機関誌『くぬぎ林』の増刊号が出されました。武蔵野野鳥の会は、故・山口正信氏を中心に1981(昭和56)年に設立された団体で、埼玉県新座市の古刹・平林寺などをベースに、探鳥会や調査などを活発に行っていて、現会長は荒尾精二氏。季刊の機関誌は通巻122号を数えています。

  そんな会の歴史の一区切りとして出されたのが『武蔵野の自然~くぬぎ林増刊号』で、目次は、Ⅰ 武蔵野の野鳥 Ⅱ 平林寺境内林 Ⅲ 武蔵野の原風景の3部構成となっています。中味はそれぞれ読み応えのある内容で、いずれも目を通す価値がありますが、とくに「春日町2丁目のミニサンクチュアリー」は、山口氏のご逝去後、ご自宅の練馬区春日町という、典型的な武蔵野の住宅地での30年間の記録がまとめられたもので、個人宅の庭での鳥の変遷という、他の文献では得難い貴重な資料となっています。
  
  また、「平林寺におけるカラスの就塒状況」は29ページにおよぶまとまったもので、東京都に隣接する典型的な『緑島』(りょくとう;造語)である平林寺をねぐらとするカラス(ハシブト・ハシボソ混在)の、飛来数の変遷とその解析がよみもので、「とうきょうのカラス問題」に一石を投じる内容となっています。   
  さらに、日ごろ気になっていることに対して、具体例となるグラフも見つけました。「金山調節池周辺の鳥」の中に掲載されている、1996年からの年間観察種類数の推移のグラフは、初年度57種から、最近年の2010年には72種と、種類数が増えてことを示しています。コメントでも、その傾向は日ごろ感じていた印象と一致すると記されています。最近、とくに21世紀に入ってから、各地で“鳥影が薄い”という声をよく耳にしますが、実際はどうなのか、各地の同様の調査記録をまとめるきっかけとなりそうです。

  A4判・204ページ・非売品。日本野鳥の会東京に寄贈されていますので、事務所で読むことができます。

2011年12月26日月曜日

ワシタカ類の増加はなぜ?・葛西臨海公園探鳥会に参加して

  

 12月25日(日)、日本野鳥の会東京の葛西臨海公園探鳥会に参加しました。寒波到来の情報に参加者一同厚着。しかし、風はほとんどなく、冬晴れの青空のもと、気持ちいい探鳥日和でした。その上、若き男女の姿が目立つという明るい状況に担当者も張り切ったためか、鳥果(ちょうか)も62種と上々。

  ところで、その中で気になることが2つ。ひとつはスズガモの将来。東京湾は日本有数の越冬地で、葛西沖はその生息地のひとつですが、今年は数がやや少ないのが気にかかります。そのことについては別の機会に触れるとして、もう一つはこの探鳥会で記録されたワシタカ類が8種類16羽ということ。 ミサゴ1羽、トビ5羽、オオタカ3羽、ハイタカ1羽、ノスリ3羽、チュウヒ1羽、 ハヤブサ1羽、チョウゲンボウ1羽。しかもこの地では年々種類・個体数が増える傾向があり、また同じことが千葉県市川市の行徳鳥獣保護区(新浜)などでも見られていることです。
  「猛禽類は食物連鎖の最高位に位置し、この鳥が常時生息することは自然が豊かな証」とか。しかし、生態学の教科書どおりとは思えない状況を目の当たりにすると、これをどう考えればいいのか。悩ましい事態です。

  午後3時、 探鳥会の終わりごろには、若いオオタカがオオバンを襲い、水中に沈めて息の根を止めという狩りが見られ、さらに、その獲物をノスリが横取りして、それをいじましくすぐわきで見続けるオオタカの姿〔写真・左が横取りされた若いオオタカ〕を観察中に、その背後に、オオタカの成鳥が飛来し枝に止まり、順光のもとその美しい白い姿を望遠鏡でじっくり鑑賞という、過去を知っているベテランバーダーには夢のような状況でした。

いまから35年ほど前の1月に実施された東京湾一斉カウントでの葛西の記録を見ると、1976年はチョウゲンボウ1羽、1978年はゼロ、1979年もチョウゲンボウ1羽のみ。ちなみに、前記79年の千葉県富津~神奈川県大黒埠頭までの東京湾一帯で記録されたワシタカ類は5種で、トビ150羽、ノスリ1羽、チュウヒ18羽、ハヤブサ1羽、チョウゲンボウ30羽という状況です。
  いまオオタカに加えてハイタカも街なかに増えているという情報があり、注目しているところです。現在の東京の状況でのワシタカ類の増加は、単純に喜べることなのか、はたまた心配すべきことなのか。(川内 博)

2011年12月14日水曜日

東京都内でのカラスのクルミ割り行動

  

10月に青梅市内の多摩川に行ったとき、今夏の台風でできた広い礫河原で、ハシボソガラスがオニグルミの実をくわえて20~30m飛び上がってはクルミを落とすという行動をしていました。何回も落とすうちにクルミは割れ、中身を嘴でほじくって食べる様子も観察しました。食べ終わるとすぐに新しいクルミをくわえて現れ、同じ行動を繰り返していました。こういったクルミ落としの行動は全国で観察されており、海岸沿いでは堅い殻を持つ貝類を食べるときにも行われるそうです。〔写真・渡部良樹氏提供〕
 このような行動が都内ではどれくらい観察されているのかと思って情報を募ったところ、多摩川下流や八王子市、青梅市、羽村市、福生市、小金井市、日野市、羽村市など都内各地で観察されていることが分かりました。古いものでは1994年(多摩川下流)、1995年(八王子市)という記録もあり、以前からこのような“文化”を持ったカラスがいたことがわかりました。また、これら以外にも八王子市や福生市では、道路にクルミを置いて自動車に轢かせて割っていると考えられる行動も観察されているそうです。
 都内でクルミを落として割る、車に轢かせて割るといった観察をされたことのある方は情報をお寄せください。また、これ以外にもカラスの面白い行動があれば是非お知らせください。観察事例をまとめて報告する予定です。                                       (御手洗望)
【情報送り先】 windswift★hotmail.co.jp (★を@に変えてお送り下さい)

2011年11月29日火曜日

第2回アカコッコの保護研究会のご案内

  

 日本野鳥の会東京の保護研究活動として、伊豆諸島の鳥類や自然について、その保護・保全、改善について取り組んでいます。その2回目の集まりを、下記の予定で開催します。今年4月に予定していた「八丈島探鳥会」は、東日本大震災の影響を考慮し中止しましたが、ほぼ同じ内容で来年5月に実施を考えています。
 今回は、活動のシンボルとしていますアカコッコ〔写真〕を中心に、伊豆諸島に生息する希少種について、基礎的なレクチャーを予定しています。また、今後の取り組み方や実施すべきことなどについて考えていきたいと思います。

第2回アカコッコの保護研究会

日時:2011年12月9日(金)午後6時30分開場、7時~9時
会場:日本野鳥の会東京・事務所〔新宿区新宿5‐18‐16 新宿伊藤ビル3階〕
※ 参加費無料、事前申し込みは不要です。近くまで来て迷ったら、お電話ください。℡.03‐5273‐5141

2011年11月25日金曜日

来年1月、東京港一帯の水辺の基礎調査を行います

  

 日本野鳥の会東京の活動のひとつ、「東京湾の水鳥の保護研究」の一環として、来年1月に、東京港一帯の水辺の基礎的な調査を行います。調査地点は、A.葛西臨海・海浜公園 B.夢の島マリーナ・貯木場 C.新木場貯木場・若洲 D.豊洲運河・越中島 E.お台場海浜公園 F.中央海浜公園 G.東京港野鳥公園 H.内川河口・平和島運河 I.森ヶ崎水再生センター・森ヶ崎の鼻 J.多摩川河口 K.中央防波堤埋立地の11か所です。〔地図をご覧ください〕
 まず、現地踏査をして、現状と水鳥を中心とした鳥相の調査を行い、今後どのような調査・研究をしていくかの基礎的なデータを得る予定です。この一帯はすべて人工的な海岸ですが、カンムリカイツブリやスズガモの大群の越冬地であったり、カワウが多数営巣したり、また、シギ・チドリ類の採食場になったりと、水鳥類にとって大事な場所です。
 1月中にそれぞれの場所で調査をして、2月にその報告会を行う予定です。興味のある方は、日本野鳥の会東京・研究部までご連絡ください。

2011年11月4日金曜日

第3回 東京湾の水鳥の保護研究会へのご案内

  

日本野鳥の会東京が主宰しています東京湾の水鳥の保護研究。その集まりを下記の予定で開催します。東京湾の鳥類や環境の保護・保全に興味のある方は、どなたでも参加できます。今回は満席の可能性がありますので、 新規の方は11月9日(水)午後3時までに、下記にメールでお問い合わせください。

日時:2012年11月11日(金)午後6時30分開場、7時~9時
会場:日本野鳥の会東京・事務所〔東京・新宿区新宿5‐18‐16 
                新宿伊藤ビル3階〕
内容:1.隅田川におけるユリカモメへのバンディング調査について
    2.多摩川河口の鳥類の生息と環境状況
    3.1月実施の東京港一帯の水辺の現地踏査調査について 
    4. 1月22日(日)開催の葛西臨海公園探鳥会でのイべント
      について、他

新規の方の問い合わせは、E-mail:kyw06432@nifty.comまで、保護研究・川内あてにお願いします。

2011年10月29日土曜日

エナガの謎・東京都心・東京湾岸に生息分布が広がる

  

東京の市街地でエナガ〔写真〕の動きがあるということは、本ブログの2008年6月13日付で、他の鳥とともに紹介しました。その具体的な話は日本野鳥の会東京(支部)機関誌『ユリカモメ』の2008年7月号~2009年4月号の中で6回にわたって掲載し、そのまとめ的な話を(財)日本鳥類保護連盟の機関誌『私たちの自然』(2009年7月号)に書きました。その際作製した分布地図を本ブログ2011年1月26日付にアップしていますのでごらんください。

この動きは、かつてのヒヨドリやコゲラと同じパターンなので、近いうちに都心部の緑地にも進出するだろうと予想をしていたところ、まさに的中。東京都心への進出ぶりは目をみはるもので、昨年から今年にかけて、明治神宮や新宿御苑などに定着し始めました。さらに、この話は千葉県の船橋・習志野市へも飛び火(?)。東中山や谷津干潟あたりの緑にも生息するようになり、繁殖している可能性もあります。

現在、その状況をまとめています。今まで生息していない場所で、定着や繁殖をするようになったところをお教えください。            (川内博) E-mil:hkawachi2@yahoo.co.jp

2011年10月17日月曜日

高尾山・多摩丘陵の問題が見えてきた・第1回東京の環境を考えるシンポジウムを終えて

  

  高尾山」といえば東京屈指の探鳥地、全国レベルでも有名な場所ですが、この地が野鳥の宝庫であることが分かったのは1937(昭和12)年からとのこと。それを明らかにしたのは、今回のシンポジウムの基調講演者・清水徹男さん(元日本野鳥の会東京支部副支部長・小金井自然観察会会長)。清水さんによると、「・・・野鳥の会会員の東京市水道局職員古賀正氏が昭和10~12年、高尾山薬王院の水道工事のために高尾山をたびたび訪れたところ、この地に野鳥が多いことに気付き、これを中西(悟堂)先生に紹介した。中西先生もかねてから高尾山は優れて野鳥の繁殖地とは気付いていたが、古賀氏に指摘されるまではさほど重視されていなかった」とか。今回の同氏がシンポジウム用に出されたレジュメ「高尾山の野鳥・戦前戦後を比較する」には、高尾山に関する戦前・戦後の文献が多数紹介されていて、それをもとに出典を読んでみるのはおもしろく、有意義と思われます。12ページにおよぶそのレジュメの最後に、「・・・残念ながら蒲谷(鶴彦)さんのこのご心配は現実のものになってしまった。高尾山の鳥は、20年、30年前と比べて『あまりにも変化がありすぎる』結果となってしまった。これからはわずかながらも良いほうに『あきらかに変化が見られる』となることを祈ってやまない」と記されています。圏央道問題、登山者の急増など、自然環境のこれからが心配されている高尾山の環境保全について、「高尾探鳥会の顔」として活躍された清水さんの講演は、温故知新という意味でも意義深いものでした。

  今回の東京の環境を考えるシンポジウム「第1回 高尾山・多摩丘陵の自然の今と昔・そして未来」〔写真〕は、高尾山の鳥相の変化を知ることだけではなく、その過去からの状況を知ることによって、現在足元にある問題を表面化しようというもので、高尾山に連なる多摩丘陵の現状を町田市と稲城市から報告してもらいました。元幹事の倉持内武さんの報告は、町田野鳥の会のメンバーからの話も加わり、より立体的な内容として聞くことができました。また、稲城市の「南山」の問題は、以前から話題になっていましたが、会員の菊地有子さんからの問題提起は、より具体的で身近なものとして認識することができました。今後発展させていきたいと思います。
  10月14日に開いたこのシンポジウムは「保護研究」という、当会としては新しいグループが立ち上げたものですが、約40名の参加を得て、意義の高い集まりとなりました。ここでの話題がきっかけとなり、実際の保護活動や調査などが始まることが期待されます。

2011年10月11日火曜日

高尾山・多摩丘陵の環境を考えるシンポジウムへのご案内

  

日本野鳥の会東京が毎年開催していますシンポジウム、今年から都内の環境を考えるシリーズとなります。その第1回として、高尾山およびそれに連なる多摩丘陵を対象に開きます。パネリストとしては、かつて高尾山探鳥会の名物幹事として知られた清水徹男氏、元当会幹事で、「町田野鳥の会」の役員としても活躍の倉持内武氏、地元稲城市の自然に関心が深い会員・菊地有子氏の3氏。後半のパネルディスカッションには現役高尾山探鳥会リーダーの中尾淳一氏も参加して、過去・現在・未来の高尾山・多摩丘陵の自然環境だけでなく、社会環境も含めて考えていきたいと思います。
           〔写真:最近高尾山で目立つキビタキ 土橋信夫氏提供〕
【タイトル】東京の環境を考えるシンポジウム 
      第1回 高尾山・多摩丘陵の自然 今と昔・そして未来
【日時】2011年10月14日(金)午後6時開場、6時15分~9時
【会場】東京・渋谷区立千駄ヶ谷区民会館1階会議室
【定員】先着60名  【参加費】300円  どなたも参加できます 
※会場案内地図は、本ブログ5月3日付をご覧ください。

2011年9月28日水曜日

野鳥の保護研究基金・募金のお願い

  

 日本野鳥の会東京では、ことしから野鳥の保護研究を立ち上げました。その第一歩として、伊豆諸島全域と東京港一帯(東京湾の東京都域)を対象として、まず伊豆諸島のアカコッコ、東京港のカンムリカイツブリの実態を把握することから始めています。
 このたびこの保護研究に多額の寄付があり、「日本野鳥の会東京・野鳥の保護研究基金」を設けました。そして、多くの方に援助をお願いするために寄付を募っています。〔詳しくは機関誌『ユリカモメ9月号』をご覧ください〕
 この募金にご協力いただきました方には、野鳥図鑑画家としてご存知の谷口高司氏がこのために描いたアカコッコとカンムリカイツブリのイラストを中心に作製した特製シール〔写真〕をプレゼントしています。ぜひ浄財をお願いいたします。

【募金の方法・プレゼントの内容】
1.募金は下記の郵便振替口座にお願いします。
  ゆうちょ銀行 口座名:野鳥の保護研究基金 番号:00170‐6‐512640

2.募金は1口1,000円をベースとし、プレゼントは口数に応じてボーナスを
  加えます。
  1,000円(1口)の場合:特製シール1枚
  2,000~4,000円:口数+1枚(同3~5枚)
  5,000~9,000円:口数+2枚(同7~11枚)
  10,000円以上:特製シール15枚

2011年9月26日月曜日

日本鳥学会2011年度大会〔大阪〕に参加して

  

 今年度の日本鳥学会の大会が大阪市立大学で、9月17日(土)~19日(月・祝)にかけて開かれました。台風15号が沖縄付近に停滞していた期間で、大阪は残暑。〔写真・エコ冷房機として参加者に配られた特製うちわ〕 大阪の街を歩いていて、東京と少し違うと感じたのは、公園や緑地でも蝉の声がほとんど聞こえなかったこと。虫の音が一番耳に響いてきました。
 大会は盛況で、参加者は300人を超えていたと思われます。学会大会で興味あることは、参加者のほとんどが何らかの発表に関わっていること。口頭発表・ポスター発表・自由集会で、日ごろの調査・研究の成果をいろいろな形でアピールしていました。
 今年の発表の傾向は、ワシタカ類ではオオタカの件数がますます減ったこととサシバが目立ったこと、カラス・スズメに関わるものが増えたこと。そんな中で、私が見聞きしたもの(発表件数が200件近くあり、複数個所において同時進行で開かれていますので、体力的だけでなく、物理的にも全部は聞けない状態です)で興味をもったものをいくつか紹介します。
 一つは、キビタキの動きで、全国的に平地繁殖例が増えているようです。東京付近でもその傾向がありますので、要注意ということころです。もう一つはカワウで、その問題の多くが東北地方に移り、関東地方では小康状態になっているとのことです。その東北・盛岡市では街のカラス問題が話題になっているとか。東京からは、ユリカモメ10月号に掲載された「葛西海浜公園・西なぎさでのコアジサシの繁殖」についてのポスター発表がありました。
 ところで、今回のもっともおもしろかったのは、最終日午後に開かれた公開シンポジウム「鳥の種分化と種分類‐日本列島の鳥の系統学からの発展‐」で、5人のパネリストによる講演はそれぞれ研究手法や見方が異なり、いずれも興味ある内容で、一気に視野が広がりました。シンポジウムの良さは、関連した話がまとめて聞けることだと実感しました。発行が予定されている『日本鳥類目録第7版』では、従来の分類とはだいぶ違ったものになりそうです。
 来年は同じ時期に東京大学で開かれます。学会員でなくても参加できます(発表は不可)ので、ぜひその熱気を体感してください。(川内 博)

2011年9月2日金曜日

第2回東京湾の水鳥保護研究会へのご案内

  

東京港一帯(葛西~東京港~多摩川河口)〔写真・東京都港湾局発行資料から〕を対象として、7月8日に立ち上げました「東京湾の水鳥保護研究会」の第2回を9月9日(金)に下記の内容で開きます。今回の目玉は、「帰還のために東京湾に集結したスズガモの群飛」と「カワウの追い込み漁」の映像(あわせて20分程度)。撮影者のご厚意で今回迫力あるそのDVDのさわりを見ることができることになりました。
東京湾は昔から、シギ・チドリをはじめ、カモ、カモメ、サギ、ウなど水鳥の宝庫だったところ。現在、海岸線はほとんど埋め立てられ、コンクリート護岸となっていますが、海上や人工なぎさなどにはスズガモやカワウ、カンムリカイツブリ・ハジロカイツブリなどを多数見ることができます。今回の映像は一見の価値ありとの評判ですので、ぜひお出かけください。
【日時】2011年9月9日(金)午後6時30分開場、7時~8時30分
【会場】日本野鳥の会東京・事務所(新宿区新宿5‐18‐16 
                         新宿伊藤ビル3階)
【場所】東京メトロ・都営地下鉄「新宿三丁目」・「東新宿」から徒歩約5分。
    JR新宿駅から徒歩約15分。《本ブログ2011年2月3日付に地図あり》
※参加申し込み・参加費不要、会員外の参加歓迎

2011年8月29日月曜日

繁殖記録・3 大田区内の公園で、今年もツミが繁殖

  

 大田区内の公園で、昨年に引き続いてツミが繁殖しましたので、その概要をお知らせします。4月の中ごろから公園付近を雌雄で行動していましたが、いったん作りかけた巣をやめて別の場所に新たな巣を作るという経過があったため、繁殖過程の進行時期は昨年より遅れ気味でした。今年の巣はアカマツの木の地上15mほどの横枝に掛けられていました。昨年の巣と比べるとかなり小さくて貧弱なもので、卵や雛が巣から落ちないか心配になるほどでしたが、結局そのような事故はありませんでした。〔写真〕
 この公園ではハシブトガラスも幾組か繁殖しており、育雛中のツミの親はカラスを追い払うのに相当な労力を使っているようでした。そして7月21日の午後、台風が通過した後の公園内を2羽の幼鳥が連れ立って飛ぶ姿を見ることができました。
 今年の特記事項は、繁殖過程を観察中の一時期、つがいとは別のツミの雄と雌各1羽が、巣の近辺を含む公園内で行動しているのが見られたことです。これらの2羽とつがいの2羽がどのようなかかわりを持って行動していたのか、興味のあるところです。(川沢祥三)

2011年8月23日火曜日

紹介 小笠原諸島・世界自然遺産登録記念公開講演会

  
「小笠原諸島は、どこから来て、どこへ行くのか?~魅惑の生物進化と多様性の保全~」

2011年6月、小笠原諸島が日本で4番目の世界自然遺産に登録されました。これにより小笠原諸島の自然について、いっそうの関心が寄せられると期待されます。小笠原は貴重な生物の宝庫であると共に、日本の外来種対策の最前線でもあります。そこで世界遺産登録にあわせ、海洋島小笠原諸島に生息する特異な生物の生態・生理に関する研究の成果と、現在取り組まれている保全研究の最前線について紹介いたします。

【主 催】森林総合研究所/首都大学東京小笠原研究委員会
【日 時】2011年8月28日(日)14:00~17:30 (開場13:30)
【場 所】秋葉原サテライトキャンパス(秋葉原ダイビル12階)
JR秋葉原駅徒歩約1分
【参加費】 無料  【登録】 不要

【プログラム】
13:30 開場(南硫黄調査2007記録ビデオ上映)
14:00 はじめに 可知直毅(首都大学東京小笠原研究委員長)
14:10 花外蜜腺を介した植物とアリの関係 杉浦真治(森林総合研究所)
14:50 乾性低木林の樹木の生理機能とその多様性 石田厚(京都大学)
15:30 休憩
15:40 小さなネズミの大きな影響 川上和人(森林総合研究所)
16:20 ノヤギが駆除された後の生態系はどこへ行く畑憲治(首都大学東京)
17:00 総合討論
17:30 閉会

【問い合わせ先】
Tel: 029-829-8217(森林総合研究所 牧野) 
e-mail: island@tmu.ac.jp

2011年8月21日日曜日

繁殖記録・2 清瀬市の小河川でイカルチドリが繁殖

  

清瀬市の柳瀬川の支流空堀川の河原で、イカルチドリが繁殖しました。営巣地は、空堀川が柳瀬川に合流するあたりで、河床掘削工事の終了後に図らずも出現した河原です。〔写真〕
 孵化日は不明ですが、当初の雛数は4羽でした。その後数が減ってきて、4月28日の時点で確認できるのは1羽のみとなりました。
 コチドリは、毎年、柳瀬川城前橋~金山橋間の、左岸の畑や不耕作地で1~3つがい繁殖していますが、イカルチドリは繁殖していませんでした。営巣地の河原は、両岸がフェンスに囲まれ、人が容易に立ち入り難い場所です。当地でイカルチドリの繁殖を見なかったのは、こうした安全で、一定の広さの河原が無かったことも一つの理由ではないかと思っています。イカルチドリは、コチドリのように、水辺に近く開けた場所であれば、畑地でも荒れ地でも結構というほど、営巣場所に寛大ではないように思われます。(青木秀武)

2011年7月29日金曜日

繁殖記録・1 大田区内でササゴイが繁殖 !

  

  本年6~7月に、大田区内の東京湾岸部で、ササゴイの営巣繁殖を確認しました。営巣環境は湾岸の公園の樹林地で、数年前から春~秋の季節に 付近の運河沿いの石積み護岸などで、複数個体の成鳥が観察されていて、繁殖の可能性があると推測していました。
  少なくとも3ペアが1つの場所で営巣していて、クロマツで2巣とケヤキで1巣、いずれも梢より少し下の、地上から約15mのところに掛けられていました。繁殖の段階はかなりずれがあり、6月中旬の時点で中程度の大きさのヒナがいる巣・抱卵中の巣・造巣途中の巣と言うようにばらばらでした。
  都市公園のため、ハシブトガラスの脅威が大きいらしく、親鳥が巣の近くで見張りをする行動も観察されました。7月下旬には巣立ち前後と思われる幼鳥が確認され、少しずつですが、繁殖に成功しているようです。(大塚豊)

2011年7月20日水曜日

第1回東京湾の水鳥の保護研究会の報告

  

 7月8日(金)夜、日本野鳥の会東京・事務所での「第1回東京湾の水鳥の保護研究会」には東京港野鳥公園、葛西臨海公園、森ヶ崎水処理センターなどにかかわられている方も含め、東京湾の鳥に関心の深い17名が集まりました。東京湾は、かつては世界に知られた水鳥の宝庫で、とくに六郷川(多摩川)河口や千葉の新浜は、カモやシギ・チドリの名所でした。1960~70年代は湾の最奥部には遠浅の干潟がまだ残っていました。しかし、経済成長とともに湾岸部は次々と埋立てられ、その間にさまざまな保護活動・運動が行われましたが、結局東京都に属する場所からは自然海岸はなくなり、その代償として、人工なぎさ〔写真・葛西海浜公園東なぎさ〕や水辺が造成されました。一連の流れの中で、シギ・チドリ類の減少はいちじるしく、種類・数ともかつてとは比べものにならない状態になっています。
しかし、沿岸部の海上には数万~10数万羽のスズガモや、数千羽のカンムリカイツブリ・ハジロカイツブリが越冬し、人工なぎさには春・秋には万単位のコアジサシ・コアジサシが羽を休め、年間を通して多数のカワウが餌場として利用しています。ほかにもミヤコドリをはじめ、珍しいヘラサギ類やサギ類、カモ類も生息していて、「水鳥の宝庫」は今も続いています。
このような環境を守るとともに、より良好な環境を創りあげていくことがこれから我々に課せられたということで、今後、息長くその保護研究を続けていくこととなりました。

2011年6月28日火曜日

東京港一帯の水鳥とその保護・保全活動を始めます

  

 日本野鳥の会東京・研究部では、今年初めに、月例研究部例会 (通称月例会) として、「フリートーキング・東京湾の野鳥調査の現状と将来を考える」(1月14日)、「いま東京湾の水鳥は-シギ・チドリ類報告会」(2月11日) をそれぞれ17名・16名の参加を得て開き、活発な討議を行いました。
 そして得た結論のひとつとして、とりあえず、東京湾のなかで東京都に属する区域 (東京港・葛西などで、この地域を「東京港一帯」とする ) の水鳥と水辺環境について、過去の記録も含めて集約するとともに、毎冬数千羽が越冬しているカンムリカイツブリ〔写真・川内博氏提供〕や数万羽が記録されているスズガモを中心に、その生息状況の記録と越冬地としての環境を整える作業をしようということになりました。
 とくにカンムリカイツブリ がこれだけの数が集結する海域は少ないのではないか、また、両種ともラムサール条約の登録基準を満たしているので、世界的にみても貴重な越冬地として、それなりの対処が必要であるという意見が出ました。これらのことを軸に、下記の予定で集まりを開催します。

【日時】2011年7月8日(金) 午後6時30分開場、7時~9時
【場所】日本野鳥の会東京・事務所〔会場地図は本ブログ2月3日に掲示〕
【内容】東京港一帯の水鳥と水辺環境の保護研究・今後の活動について

2011年6月18日土曜日

八王子市犬目の野鳥・20年間の観察記録を発表

  

八王子市犬目は、市の北に位置する丘陵地帯で、調査地は標高140~200m。ここ20年間に環境は大きく変化し、それにともなって生息鳥類も変化しています。著者・吉邨隆資氏は、学生時代のから、畑や雑木林、水田が残るこの地でロードサイドセンサスを続け、途中中断はあったものの現在も続けていて、このたび1989(平成元年)~2009(平成21)年までの記録をまとめ、A4判・40ページの報告書『八王子市犬目の野鳥 20年間の観察記録』として発行されました。
観察された野鳥は13目36科90種で、内容的には、優占順位の個体数では、ヒヨドリ>スズメ>メジロ>シジュウカラ>エナガ、出現頻度では、ヒヨドリ>シジュウカラ>スズメ>ハシブトガラス>メジロと、関東地方の郊外ではふつうの記録ですが、ここ数十年来、日本各地の都市近郊で起こっている環境変化と生物の関係が、20年間の時の流れの中で、具体的な数字としてとらえることができます。
たとえば、ガビチョウという中国原産の移入種が、いつの時期からこの地に現れ、その後勢力を増していくようすが記録〔表〕から読み取れます。また、「畑の鳥」といえるヒバリが1990年初めに姿を消したり、ホオジロが年を追うごとに数が減らしていくようすがわかります。さらに、まとめとして、個体数と種数の変化のグラフや土地利用の年代別変化の分析などもあり、この地の鳥相の変化を知ることもでき、重要な文献となっています。ところで、最近東京の市街地でホトトギスの記録が増えていると聞きますが、ここのデータでも表れています。ウグイスの平地進出と相関関係があるのではなどと、いろいろ深読みもできる貴重なデータ集です。

2011年6月6日月曜日

第1回アカコッコの保護研究会を開催します・6月10日

  

東日本大震災のために延期していました「アカコッコの保護研究会」の1回目を、6月10日(金)午後7時~9時に、日本野鳥の会東京の事務所で開きます。4月下旬に八丈島でのアカコッコの生息調査も実施しましたので、今回はその報告会もかねています。保護研究といっても、まだ何をすべきか・何ができるのかといった段階ですので、参加された方からの経験やアイデアなどを柔軟に組み入れながら、方向性を決めていきたいと思っています。
ところで、今回八丈島を訪れて、いまさらながら気づいたことは、「八丈島は伊豆諸島の主」ということ。野鳥の面からいえば「三宅島が宝庫」と思いがちですが、八丈島のほうが大きいだけに、島内にさまざまな環境があり、見どころが多いということです。アカコッコの数も三宅島に匹敵するのではないかという印象を持ちました。〔写真は島内でもっとも自然環境が良好な鴨川林道〕
今回の研究会では、もう一つ、「八丈島と三宅島のアカコッコの囀りが違うという問題」にも触れたいと思っています。
八丈島や伊豆諸島の鳥や自然に興味のある方はご参加ください。
【日時】2011年6月10日(金)午後6時30分開場、午後7時~9時
【会場】日本野鳥の会東京・事務所〔新宿・花園神社近く・明治通り沿い〕
    ※2月3日付けの本ブログに会場案内地図を掲載  

2011年5月26日木曜日

日比谷公園のスズメ調査・昨年とほぼ同じ数

  

昨年5月15日(土)に第1回を開催した、東京・日比谷公園でのスズメ調査探鳥会。今年も同じ時期の5月14日(土)に同じ時刻・コースで2回目の探鳥会を実施しました。結果は、昨年が115羽だったのに対し、今年は106羽とほとんど同じといえるものでした。一方、同時にカウントしているネコは、前回が12匹だったのに対し、今回は6匹と半減。ただし、本当に減ったか否かについてはこれだけでは不明。
ところで、今回のトピックはキビタキとの出会い。この時期には同じ夏鳥のセンダイムシクイやオオルリ、サンショウクイなども、都心の緑地で出会えることがあります。今年は季節が1~2週間遅いようで、例年4月中下旬がピークなのに対し、やや後ろにずれているようで、バードウィークに素敵なキビタキの囀りと美しい姿が見られたというわけです。〔写真:川内博氏提供〕
探鳥会解散後は、有志でスズメの営巣場所捜しを実施し、交通標識や照明塔の穴、建物の屋根の下の穴など、人工物に営巣する事例を観察しました。中からはヒナの声が聞こえ、親鳥がさかんに餌運びをしていました。

2011年5月23日月曜日

八丈島でアカコッコのセンサス調査を実施

  

 4月下旬、東日本大震災の影響で中止になった八丈島探鳥会と同じ日程で、八丈島でのアカコッコの状況調査を有志で実施しました。参加者は日本野鳥の会東京会員の川端一彦・川沢祥三・川内桂子・川内博・久保賢一と地元の岩崎由美・森由香の各氏で、4月24日(日)早朝4時~6時30分に、自然環境の良好な場所(鴨川林道)、樹林地の中の道(八丈ビューホテル近く)、緑の多い住宅地(都道神湊八重根港線)、翌朝には、緑の少ない住宅地(三根)の計4か所でのロードセンサスを実施しました。
天候は全体的にはよくなく、23日は渡り途中のツバメの群れが、アパートのベランダに逃げ込むほど〔写真〕でしたが、翌朝は曇りながら雨は降らず、予定通り実施できました。
 調査は3時起きで、4時15分から調査開始、1㎞のルートを時速2㎞で1往復半(3回実施)。4か所中、一番アカコッコが出たのが「緑の多い住宅地」で、アカコッコが鳴きはじめたのは4時22分。そこから30分間に記録した鳥は6種26羽。その中でアカコッコは19羽で、全体の73%を占めていました。しかし、次の30分間には10種53羽中10羽で19%に、さらに日の出後の5時15分からの3回目には7種40羽中17.5%とその出現個体数の減少とともに優占率は急降下しました。
 次いで興味深かったのが島の中で「自然環境良好」という鴨川林道。現地に着いたのは4時。あたりはまだ真っ暗で車から降り立つと5か所からトラツグミの声が同時に響いていました。1回目は5種17羽を記録。アカコッコの声が聞こえたのは4時24分。ただし調査範囲外からでした。2回目は10種49羽。アカコッコは1羽で地鳴きでの確認。3回目には記録ゼロ。ちなみに一番声が響いていたのはイイジマムシクイ。同行いただいた森さんの話では、今年は夏鳥の渡来が1~2週間遅いとか。最盛期にはにぎやかとのことでした。
6月10日(金)の研究部月例会で、詳しい報告をします。ご参加ください。

2011年5月12日木曜日

第3回 スズメ調査探鳥会 in HIBIYA ・5月14日開催

  

昨年から春と冬の年2回実施しています東京・日比谷公園でのスズメの個体数調査「スズメ調査探鳥会」を、5月14日(土)朝に開催します。初心者の方も参加できますので、バードウィークの1日、都心での初夏の朝を堪能してみてはいかがでしょうか。
スズメが減っているということは最近話題となっていますが、その実態をきちんと検証するデータはあまりありません。ただ、東京一帯の場合は、1970・80年代からの長期間の定期調査が数か所で行われていて、その結果から明らかに減っている状況がわかっています。最近では、神奈川県の箱根での1978年と2010年の調査比較検討が発表され、激減の実態が解明されています〔 有田一郎 (2010) 箱根におけるスズメの繁殖分布 -32年経過後のトレース調査結果-.Urban Birds 27:2-26 〕。このほかにもスズメの減少が東京だけの話ではないことが徐々に明らかにされています。
日比谷公園での状況は、まだ春・冬1回だけの記録しかありませんが、昨年5月15日(土)は115羽、12月4日(土)は141羽でした。今回実施すれば、とりあえず比較ができるといった段階です。スズメ以外にも春は12種、冬は21種を記録していますので、バードウオッチングとしても楽しめます。ちなみにこの調査では「ネコ」の数もカウントしています。野外生活をしているネコ(野良猫)が野鳥に及ぼす加害は大きいのではないかと考えています。その実態も合わせて研究しています。
【日時】2011年5月14日(土)午前8時集合・11時ごろ終了 
【場所】都立日比谷公園・祝田門〔地図右上の黄色い丸印が集合場所〕
【持ち物】双眼鏡、メモ用具など 
【参加資格】参加費無料・どなたでも自由に参加できます

2011年5月3日火曜日

バードウィーク・スズメとツバメの物語・5月11日開催

  

今年もバードウィークの季節となりました。1947(昭和22)年に始まった「バードデー」がその始まりとか。今年も5月10日からの1週間がその期間です。
日本野鳥の会東京ではこの期間に3つの探鳥会と1つの講演会を開催します。そのうち、研究部が担当するのは5月11日(水)の講演会「身近な鳥・スズメとツバメの物語」と5月14日(土)の「スズメ調査探鳥会 in HIBIYA・3」の2つです。谷津干潟と明治神宮の探鳥会については、会の公式ブログをご覧ください。また、スズメの探鳥会の件は、本ブログで別に紹介します。
5月11日に開催する講演会は、「バードウィーク企画」と銘打っていて、スズメやツバメといった身近な鳥の生態や行動を観察することにより、野鳥の世界へご招待しようというもので、日ごろバードウォッチングや自然観察に興味はあるけど、野鳥の会などに入るのはちょっとと思っている人を対象としたものです。近いしい方で、そんな仲間をご存知の方はご案内ください。開催時間も、平日の午後の2時~4時というゆっくりできる頃ですので、原宿でお食事をして、夕方には家に帰りつける絶好のタイムと思います。
【日時】2011年5月11日(水) 午後1時半開場、2時~4時。 
【場所】渋谷区立千駄ヶ谷区民会館・1階会議室〔地図参照〕 
【定員】先着50名〔最新・野鳥5月号進呈〕 【参加費】300円

2011年4月30日土曜日

八丈島アカコッコ調査・三宅島でヒメコウテンシを観察

  

日本野鳥の会東京が今年から始めた「保護研究」。その第1号が伊豆諸島特産といえるアカコッコということは、このブログで何回か紹介しました。また、新しい形の探鳥会として、バードウオッチングと調査をセットにした八丈島探鳥会は、東日本大震災の影響で中止になりました。しかし、調査自体は実施しようと、有志で探鳥会時実施予定の4月24日(日)早朝4時~6時30分に3か所、翌朝1か所を調査しました。その結果、アカコッコが一番いる環境は、緑の多い畑地のコースようです。自然林に覆われた鴨川林道コースは、地鳴き1個体を記録したのみ。また、緑の少ない住宅地コースも同じく1個体でした。さらに、三宅島と八丈島では囀りがまったく違うということも確認しました。なお、この調査の準備のために、三宅島に立ち寄り、アカコッコ館の江崎逸郎さん主宰の「アカコッコの記録勉強会」にも参加しました。このあたりの話は6月10日(金)夜7時から開催予定の研究部の月例会で紹介します。
ところで、三宅島では、4月22日早朝に神着の道端でヒメコウテンシ1羽を観察しました〔写真〕。島一周道路のバス停近くの背の低い草地に降りて、歩いたり跳ねたりして、雑草の種子を食べていました。ヒメコウテンシは日本海側の島などでよく見られ、太平洋側は記録が少ない鳥ですが、三宅島では以前からこの時期に記録されています。記録をまとめて見たいと思いますので、すでに鳥信やその他報告されているものも含めて、観察・撮影記録をお寄せください。                           〔川内 博〕

2011年4月20日水曜日

足環付きのカワウの写真から有意義なデータが

  

清瀬の青木秀武さんから「去る4月1日、三番瀬海浜公園へ出かけた折り、午前8時30分ごろ、上空を飛翔するカワウを何気なく撮りました。帰って編集してみますとこのカワウの下尾筒に、450と読める標識が付いていました。何の意味を持つ標識なのかわかりませんがとりあえず写真をお送りいたします。」というコメントと一緒に鮮明な写真が送られてきました。
「カワウ・標識」となればということで、さっそくバードリサーチ(府中市)に電話したところ、担当の加藤ななえさんの声。「450」のナンバー付きのカワウはあり得ないとのことで、写真を見直したところ「A50」と読めること・右足・黄色と伝えたところ、それは2003年3月6日に、千葉県市川市の行徳鳥獣保護区コロニーで、カワウ標識グループが巣内の雛に装着した個体とのこと。これまで、茨城県・霞ヶ浦の稲敷で、1回だけ観察したことがあるとのことでした。2003年生まれは、観察されるカワウとしては結構年寄りの部類とか。
いずれにしても、標識された個体を観察した時は、バードリサーチや山階鳥類研究所に連絡すると、有意義なデータとして生かされます。
【連絡先】
バードリサーチ:  br@bird-research.jp
山階鳥類研究所:  BMRC@yamashina.or.jp

2011年4月14日木曜日

文献紹介 『冬の野川の野鳥』22年間の記録

  

小金井自然観察会(会長清水徹男氏)は、名前の通り東京都小金井市を中心に活動していて、野鳥に限らず動植物全般を対象とし、その創立は1968(昭和43)年からという都内でも有数の歴史を誇る団体です。今回紹介するものは、多摩川の支流のひとつ・野川の全流約21㎞を毎年1月に、会員が自転車を連ねて、出現全鳥類を記録したもので、その22年間の記録を1冊の報告書にしたものです。
野川は、国分寺市内の日立製作所中央研究所内の湧水を水源とし、小金井市・三鷹市・調布市・狛江市・世田谷区を流れ、下流で仙川と合流した後、二子玉川で多摩川に注ぎ込む中小河川で、都区内を流れる川としては、自然度の高い水系として知られています。
今回の報告書では、1989年~2010年までの22年間で、12目28科65種の野鳥と、5目5科7種の外来鳥が記録されたこと、そしてその記録個体数が一覧表で示され、グループごとにグラフ化され、解説が添えられ、22年間での動きがわかるようになっています。
冒頭に紹介しているグラフは、セキレイ3種個体数経年変化というもので、市街地を流れる川で、冬季といえど、キセキレイが定住していることから、その水質を推し量ることができると思います。解説には、セグロセキレイが希に上流で繁殖していることが記されています。また、カラスのグラフも興味深く、ハシボソガラスの数はあまり変化がないのに対し、ハシブトガラスは2001年をピークに、大きな変動が見られます。さらに、その2種の個体数比率にも明らかな変化が見られ、東京都内のカラスに対する今後の検証の重要なデータとなると思われます。報告書の発行部数が少ないので、興味ある方は早めに下記にお問い合わせください。
『冬の野川の野鳥=22年間の調査結果報告=』
     2011年3月発行・A4判・28ページ 送料込1000円 
【問合せ先】小金井市前原町1-6-8 清水徹男方 小金井自然観察会

2011年4月2日土曜日

4月8日(金)・アカコッコ調査の集まりを開きます

  
このたびの東日本大震災の影響で、3月11日に予定していました「第1回 アカコッコの保護研究会」と「八丈島探鳥会」は中止となりました。その後も大変な状況は変わりありませんが、やや落着きを取り戻しましたので、第2回として、4月8日(金)に計画していました「アカコッコ保護研究の集まり・2」は予定通り開催します。内容は、八丈島探鳥会で実施する予定の調査と、それを有志で実施できないかということなどの検討です。
アカコッコや伊豆諸島、小笠原諸島の鳥・自然の保全に興味のある方ならどなたでも参加自由です。
【場所】日本野鳥の会東京・事務所 【時間】午後6時30分開場・7時~9時 【参加費】無料

2011年3月27日日曜日

興味深かった「サシバ・シンポジウム」

  

 3月5日(土)の午後、東京・池袋の立教大学で開かれた、第14回 日本オオタカネットワークシンポジウム「サシバの繁殖期の生態と生息状況」は、興味深い内容の発表が続きました。基調講演は東淳樹・岩手大学講師による「サシバの繁殖期の生態」。おもしろかったのはそれに続いての「各地におけるサシバの生息状況の報告」。とくに石川県や長野県など、山の多い地域での観察報告は瞠目の内容でした。
 サシバといえば「谷戸を代表するタカ」といったイメージで、里山のシンボル的な野鳥と思いこんでいました。ところが、北陸鳥類調査研究所の今森達也氏の発表「北陸地方の山地における水田に依存しないサシバの生息事情」によると、山の中にもふつうに生息し、里とは違う生態で快活に暮らしているとのこと。具体的には、北陸地方では、山の中ではサシバ・クマタカ・イヌワシが御三家ともいえる状態で生息し、サシバは水田などがない、深い谷の底部にふつうに暮らしているとのこと。その生態についてはまだ不明なことも多く、解明されていない部分もあるようですが、サシバには古くから、「里の鷹」と「山の鷹」という区別があり、「サシバ=里山・谷津田」というのはステレオタイプだということを知りました。〔写真提供:土橋信夫氏〕
 おりしも『野鳥』の4月号はサシバ特集で「滅びゆく里山の猛禽」という定冠詞がついていますが、今回のシンポジウムに参加した人は、それがやや一方的な見方であることを知ってしまいました。もちろん里地里山の保全のために、サシバを象徴的な鳥として取り上げることは問題ないのですが、その保護研究は一段高いレベルが要求されるようになったようです。(川内 博)

2011年3月22日火曜日

八丈島探鳥会の中止とアカコッコ保護研究の集まり

  
このたびの大震災とそれ以降の大災害の状況が不透明なため、残念ながら八丈島探鳥会は中止することになりました。楽しみにされていた方々にお詫び申し上げます。なお、状況が許す限り、アカコッコのセンサス調査等は有志で実施します。
3月11日(金)午後、明治神宮参道を歩いといるとき、今回の大地震を体験しました。地面が波打つのが見えました。当日夜は「第1回 アカコッコ保護研究会」を予定していましたので、ドアに中止のお知らせを貼り出し、大混乱の明治通りの歩道を自宅に向かって歩きました。
その後の状況は、まだ集まりが開ける状態か否かはわかりませんが、とりあえず、4月8日(金)夜の「アカコッコ保護研究会」は開催予定です(近くなりましたら再度案内を出します)。また、4月24日(日)早朝に八丈島で予定しています、アカコッコのセンサス調査は実施する方向です。調査に参加を希望される方はお申し出ください。詳細をお知らせします。         (川内 博)

2011年3月14日月曜日

第1回アカコッコの保護研究会・中止のお知らせ

  
心より震災のお見舞いを申し上げます。
このたびの地震に伴い、3月11日(金)夜に予定していました、第1回アカコッコの保護研究会は中止させていただきました。今後、状況を判断し、実施を予定しています。余震にご注意ください。(日本野鳥の会東京・研究部)

2011年3月7日月曜日

第1回 アカコッコの保護研究会 3月11日(金)に開催

  

日本野鳥の会東京が新規に立ち上げた「野鳥の保護研究」。その第1弾が東京・伊豆諸島特産のアカコッコ[写真]。4月22~24日には、八丈島で「探鳥会」兼「調査」を行います。この行事に参加したい方は至急申し込んでください。久しぶりの八丈島で、定員40名ですので満杯になる可能性があります。
今回の「アカコッコの保護研究会」は、勉強会のような形式で、まず、アカコッコとはどんな鳥か・なにが重要なのか・今後どんなことができるのかということのレクチャーを予定しています。その中に、昨年・一昨年の繁殖期の八丈島・青ヶ島・御蔵島・三宅島のようすが、写真とともに紹介されます。
第1回ですので、まずは仲間作り(ワーキンググループ)が一番と考えています。「野鳥保護のために何かしたい」「自然環境保全活動に興味がある」と日ごろ考えている人は集まって下さい。いろいろ意見を交わしたり、情報の交換をしたりで、意気投合できる仲間ができるかもしれません。考えているだけではダメ・まずは行動ということでチャンスにしてください。八丈島探鳥会参加者・参加を考えている人で、事前情報を知りたいという方にも役立ちます。
【日時】2011年3月11日(金)午後7~9時 【参加費】無料
【場所】日本野鳥の会東京・事務所(新宿伊藤ビル3階)
【会場への地図】本ブログ2月3日付けをご参照ください。

2011年2月25日金曜日

がんばっています・板橋のセグロセキレイ

  

一昨年2009年11月21日付けの本ブログで紹介された、板橋区の都立城北中央公園の左足指がないセグロセキレイ。今冬も同じ場所をなわばりにして、がんばっている姿を見ることができました〔写真・2011年2月13日撮影〕。姿を見た人は、研究部にご連絡ください。             (土橋信夫)

2011年2月19日土曜日

カンムリカイツブリの白化個体・旧江戸川河口で

  

葛西臨海公園東の旧江戸川で、カンムリカイツブリの白化個体を記録しましたので報告します。
観察日:2011年2月18日(金)13:30~14:00 薄曇り/強風  
場所:江戸川区・葛西臨海公園東の旧江戸川河口付近~東渚手前付近  
観察・撮影者:三間久豊
額部が黒褐色である他、上背部がバフ色を帯びている。それら以外はほぼ純白と言っていい個体でした。昨年の12月のはじめごろ観察されたという話をうわさで聞いたことがあります。恐らく同一個体と思います。〔三間久豊〕                         

2011年2月18日金曜日

ツグミの部分白化個体・中央防波堤埋立地で

  

東京湾の中央防波堤埋立地で部分白化のツグミを記録していますので報告します。〔写真・小笠剛裕撮影〕 2回記録していますが、白化部分等同じであり、同一個体と判断していいと思います。 観察日:1回目は2010年12月19日11時15分ごろ / 2回目は2011年2月6日9時40分ごろ  場所:新海面Bブロックのほぼ中央部(2回とも同じ位置付近)、建設残土等による比較的乾燥した埋立処分地です。なお、同地に入るのには許可が必要で、観察者は日本野鳥の会東京・研究部の調査として入っています。
観察者:1回目 三間久豊/2回目 谷利明・小笠剛裕・三間 〔三間久豊〕

2011年2月16日水曜日

東京湾のシギ・チドリ報告会終わる・次回は

  

2月11日(金)折しも東京地方に今冬初の積雪情報が飛び交う中、予定通り開催し、16名の参加を得て、無事終了しました〔写真・オーストラリアの海岸で越冬するトウネンの群れ〕。この企画は東京湾の水鳥調査に関わっている方の横のつながりと、現存する調査データの収集・整理、その上での今後の調査・研究の発展を目指すもので、現時点ではワーキンググループ的なものです。これからどのような方向に進めたいくかは、今後何回かの集まりの中で決めて行く予定です。
ちなみに、東京湾岸の東京都側はすべて人工的な海岸線ですので、その復活は実験的なものとなると思います。新しい考え方やスキルを駆使してという先駆的な動きが期待できます。学生・大学院生などで、環境問題に興味がある人はチャレンジのきっかけになるはずです。連絡を取りたい方は、日本野鳥の会東京・研究部宛てにメールをください。
次回11回の研究部月例会は3月11日(金)午後7~9時。事務所で開きます。内容は、今年から始めた「アカコッコの保護研究」の第1回です。これも若い方の参加も期待しています。詳しくは3月になったら、この欄に。

2011年2月3日木曜日

いま東京湾の水鳥は-シギ・チドリ類報告会・2月11日

  

昨年4月に発足した研究部の月例会(月例研究部例会)も回を重ねて10回目。前回は17名の参加を得て、内容も充実してきました。今回は東京湾の水鳥、とくにシギ・チドリにスポットをあてて、これまでのその歴史と現状を発表していただきます。
東京湾岸の約9割は埋め立てられた今、シギ・チドリたちは「いつ・どこに・どのくらい」来るのか。これからどうすればいいのか。あまりにも少なすぎるその生息環境自体が一番の問題ですが、残された干潟や浜辺をどのようにしてシギ・チドリや水鳥たちの採食・休息地にできるか、そんな保護研究の第一歩となる集まりです。当日は午後5時ごろから会場(事務所)は開きます。各地支部報や図書などの閲覧もできますので、ご来場ください。
【日時】2011年2月11日(金・祝)午後7時~9時    【参加費】無料
【会場】日本野鳥の会東京・事務所(新宿区新宿5‐18‐16 新宿伊藤ビル
                                         3階)
【プログラム】
1.東京港野鳥公園のシギ・チドリについて:金井裕氏
2.減少するシロチドリ・その現状と今後への施策:田久保晴孝氏
3.越冬地オーストラリア海岸での状況(写真中心):三間久豊氏
4.意見・情報交換、観察者・研究者交流など

2011年1月30日日曜日

ガンカモ類調査交流会・講演会のご案内

  

東京一帯からカモが激減しているという話は、日本野鳥の会東京が主宰している「カモ類を中心とした越冬鳥調査」で明らかになっています。例えば、上野・不忍池は往時には8000羽ものカモ(おもにオナガガモ・キンクロハジロ・ホシハジロ)が池いっぱいに埋め尽くしていましたが、いまは、その10分の1以下で、当時を知る人から見るとさびしい限りです。同じような現象は、いわゆるカモの名所呼ばれた水辺で見られ、東京23区10池での数が多いカモの10年ごとの個体数合計の推移をグラフ化すると明らかです〔図・『私たちの自然』№533から〕。
 この現象についての総合的な検討は、2005・2006・2007年に実施した、当会主催の「とうきょうのカモ・シンポジウム」で環境別に行い、減少の実態を明らかにするとともに、分析も試みました。まだ、はっきりしたことはいえませんが、東京都を中心とした埼玉・千葉の市街地では同じような傾向を見られますが、神奈川や茨城あたりでは明瞭ではないとのこと。また、環境省が毎年実施している、いわゆる「ガンカモ調査」では、全国的に見れば増減なしとなっていますので、渡来するカモの数は変わらずに、局地的に減少している可能性があります。同じように激減している「カモの名所」は、石川や宮崎からも聞いています。それらを総合すると、「減った」のではなく、「散った」という推測も浮かびあがっています。
 ところで、環境省・NPO法人バードリサーチほかの主催で、モニタリング1000・ガンカモ類調査交流会「東京湾のガンカモ、いまむかし」という集まりが、下記の要領で開かれます。興味ある方は、下記のウェブサイトにアクセスしてください。
【日時】2011年2月27日(日)午後1時半~4時30分 【場所】千葉県習志野市・谷津干潟自然観察センター【詳細・問合せ先】http://www.bird-research.jp/1_event/gankamo2010/gankamo201101yatsu.html

2011年1月26日水曜日

東京都心部に定着するエナガ・新記録募集中

  

 体重9g、全長14㎝、その半分以上が尾という小さくかわいい小鳥・エナガ。九州以北の森や林で一年中ふつうに見られ、シジュウカラやヤマガラ、メジロ、コゲラなどと混群をつくり、枝や葉についた小さな虫や幼虫、卵など、木の実をつついたりしながら、ジュリ・ジュリと声を出しあい、木々の間を移動していきます。その姿を活写した中村登流著『森のひびき』(大日本ジュニアブックス)は名著として知られています。まだの方はぜひご一読を。
 全国的には普通種のエナガが、どうしたわけか戦後、東京の平地部にはまったく生息していませんでした。「東京には緑が少ない。森林性のエナガがいないのは当然」とあまり気にしていませんでしたが、1980年代から小金井市や府中などの平地の緑地で定着するようになり、21世紀にはいると、練馬や杉並、板橋などの23区内でも姿を見せ、繁殖するようになっています。昨年からは明治神宮(渋谷区)や自然教育園(目黒区)などの都心部にも進出してきました。〔地図・東京都の地勢とエナガの繁殖分布図中の白い△印〕。
 ヒヨドリ・コゲラ・ツミ・オオタカと、1970年代から森林性の鳥の進出・定着が次々に見られている東京の市街地。我々が思っている以上に「森の都」のようです。エナガの新記録がありましたら、日本野鳥の会東京・研究部あてにお知らせ下さい。

2011年1月24日月曜日

第10回研究部月例会へのご案内・2月11日

  

毎月第2金曜日の夜に開いている月例研究部例会(通称・月例会)を、2月11日(金・祝)夜7時~9時に、日本野鳥の会東京事務所で開催します。今回のメインテーマは「東京湾の水鳥」。東京港野鳥公園のシギ・チドリ、激減するシロチドリ、オーストラリアで越冬するシギ・チドリといった話が予定されています。〔写真・標識されたハマシギ〕
2月の月例会を開くにあたって、1月14日に関係者が集まって現状を検討しました。その中で、葛西沖のスズガモやカンムリカイツブリの数は、ラムサール条約に登録する基準に達しているとの報告があり、東京湾の水鳥の保護活動にひとつの目標が見えてきました。また、東京都が水鳥の調査を定期的に実施していることなどもわかってきました。
いずれにしても、まずは正確な情報を多くの人が知る必要があります。今回、現地で調査をしている人の報告が中心ですので、意義が高いと思います。
祝日ですので、事務所は5時ごろから開けています。事務所見学も兼ねてお出かけください。プログラムの詳細は、1週間前ごろに発表します。

2011年1月8日土曜日

日本野鳥の会東京が始める「アカコッコの保護研究」

  

野鳥の会東京では、今年から会の活動として、伊豆諸島特産のアカコッコの保護研究を始めます。アカコッコは、日本固有種で天然記念物として指定されている鳥。鹿児島県のトカラ列島でごく少数繁殖しているほかは伊豆諸島がその生息の中心です。
伊豆諸島・小笠原諸島には、アホウドリ、メグロをはじめ、希少種が多く、どれもが地球レベルでその保護対策が緊急の課題となっています。その中で、会では重要種で現在保護の手が比較的うすいアカコッコに注目し、その増殖を目指して、保護研究を始めるもの。
その第1弾は、4月下旬に予定されている八丈島探鳥会でのセンサス調査。これは同時期に行われる三宅島でのアカコッコの個体数調査(アカコッコ館主催)に呼応するもので、八丈島でセンサス調査を行い、両島での違いやそれぞれの島での特徴を検証しようというものです。また、この調査は八丈島探鳥会の一部として行われるもので、従来の探鳥会を保護活動も併せ持つ形にしようという新しい試みが組み込まれています。
            〔写真は『ユリカモメ』1月号表紙から・江崎逸郎氏撮影〕