2011年4月30日土曜日

八丈島アカコッコ調査・三宅島でヒメコウテンシを観察

  

日本野鳥の会東京が今年から始めた「保護研究」。その第1号が伊豆諸島特産といえるアカコッコということは、このブログで何回か紹介しました。また、新しい形の探鳥会として、バードウオッチングと調査をセットにした八丈島探鳥会は、東日本大震災の影響で中止になりました。しかし、調査自体は実施しようと、有志で探鳥会時実施予定の4月24日(日)早朝4時~6時30分に3か所、翌朝1か所を調査しました。その結果、アカコッコが一番いる環境は、緑の多い畑地のコースようです。自然林に覆われた鴨川林道コースは、地鳴き1個体を記録したのみ。また、緑の少ない住宅地コースも同じく1個体でした。さらに、三宅島と八丈島では囀りがまったく違うということも確認しました。なお、この調査の準備のために、三宅島に立ち寄り、アカコッコ館の江崎逸郎さん主宰の「アカコッコの記録勉強会」にも参加しました。このあたりの話は6月10日(金)夜7時から開催予定の研究部の月例会で紹介します。
ところで、三宅島では、4月22日早朝に神着の道端でヒメコウテンシ1羽を観察しました〔写真〕。島一周道路のバス停近くの背の低い草地に降りて、歩いたり跳ねたりして、雑草の種子を食べていました。ヒメコウテンシは日本海側の島などでよく見られ、太平洋側は記録が少ない鳥ですが、三宅島では以前からこの時期に記録されています。記録をまとめて見たいと思いますので、すでに鳥信やその他報告されているものも含めて、観察・撮影記録をお寄せください。                           〔川内 博〕

2011年4月20日水曜日

足環付きのカワウの写真から有意義なデータが

  

清瀬の青木秀武さんから「去る4月1日、三番瀬海浜公園へ出かけた折り、午前8時30分ごろ、上空を飛翔するカワウを何気なく撮りました。帰って編集してみますとこのカワウの下尾筒に、450と読める標識が付いていました。何の意味を持つ標識なのかわかりませんがとりあえず写真をお送りいたします。」というコメントと一緒に鮮明な写真が送られてきました。
「カワウ・標識」となればということで、さっそくバードリサーチ(府中市)に電話したところ、担当の加藤ななえさんの声。「450」のナンバー付きのカワウはあり得ないとのことで、写真を見直したところ「A50」と読めること・右足・黄色と伝えたところ、それは2003年3月6日に、千葉県市川市の行徳鳥獣保護区コロニーで、カワウ標識グループが巣内の雛に装着した個体とのこと。これまで、茨城県・霞ヶ浦の稲敷で、1回だけ観察したことがあるとのことでした。2003年生まれは、観察されるカワウとしては結構年寄りの部類とか。
いずれにしても、標識された個体を観察した時は、バードリサーチや山階鳥類研究所に連絡すると、有意義なデータとして生かされます。
【連絡先】
バードリサーチ:  br@bird-research.jp
山階鳥類研究所:  BMRC@yamashina.or.jp

2011年4月14日木曜日

文献紹介 『冬の野川の野鳥』22年間の記録

  

小金井自然観察会(会長清水徹男氏)は、名前の通り東京都小金井市を中心に活動していて、野鳥に限らず動植物全般を対象とし、その創立は1968(昭和43)年からという都内でも有数の歴史を誇る団体です。今回紹介するものは、多摩川の支流のひとつ・野川の全流約21㎞を毎年1月に、会員が自転車を連ねて、出現全鳥類を記録したもので、その22年間の記録を1冊の報告書にしたものです。
野川は、国分寺市内の日立製作所中央研究所内の湧水を水源とし、小金井市・三鷹市・調布市・狛江市・世田谷区を流れ、下流で仙川と合流した後、二子玉川で多摩川に注ぎ込む中小河川で、都区内を流れる川としては、自然度の高い水系として知られています。
今回の報告書では、1989年~2010年までの22年間で、12目28科65種の野鳥と、5目5科7種の外来鳥が記録されたこと、そしてその記録個体数が一覧表で示され、グループごとにグラフ化され、解説が添えられ、22年間での動きがわかるようになっています。
冒頭に紹介しているグラフは、セキレイ3種個体数経年変化というもので、市街地を流れる川で、冬季といえど、キセキレイが定住していることから、その水質を推し量ることができると思います。解説には、セグロセキレイが希に上流で繁殖していることが記されています。また、カラスのグラフも興味深く、ハシボソガラスの数はあまり変化がないのに対し、ハシブトガラスは2001年をピークに、大きな変動が見られます。さらに、その2種の個体数比率にも明らかな変化が見られ、東京都内のカラスに対する今後の検証の重要なデータとなると思われます。報告書の発行部数が少ないので、興味ある方は早めに下記にお問い合わせください。
『冬の野川の野鳥=22年間の調査結果報告=』
     2011年3月発行・A4判・28ページ 送料込1000円 
【問合せ先】小金井市前原町1-6-8 清水徹男方 小金井自然観察会

2011年4月2日土曜日

4月8日(金)・アカコッコ調査の集まりを開きます

  
このたびの東日本大震災の影響で、3月11日に予定していました「第1回 アカコッコの保護研究会」と「八丈島探鳥会」は中止となりました。その後も大変な状況は変わりありませんが、やや落着きを取り戻しましたので、第2回として、4月8日(金)に計画していました「アカコッコ保護研究の集まり・2」は予定通り開催します。内容は、八丈島探鳥会で実施する予定の調査と、それを有志で実施できないかということなどの検討です。
アカコッコや伊豆諸島、小笠原諸島の鳥・自然の保全に興味のある方ならどなたでも参加自由です。
【場所】日本野鳥の会東京・事務所 【時間】午後6時30分開場・7時~9時 【参加費】無料