2023年6月15日木曜日

ヤマガラ一家を観察・新宿御苑にて

  

  613日、梅雨の晴れ間に「繁殖期2023」の担当地・新宿御苑を調査しました。新宿御苑はJR新宿駅から近く、樹齢数百年の巨木や広大な芝生広場、バラ園、池などがあり、開放的な雰囲気のためか、以前から外国人の好む公園として知られていました。この日も聞きなれないことばが飛び交っていました。 

園内には玉藻池と水系が続いている上の池・中の池・下の池の4つの池があり、冬場にはオシドリをはじめカモ類が飛来しますが、この季節にはカルガモとカイツブリだけでした。カイツブリは玉藻池で“浮巣”を造りかけていました。その巣はまだ小さく頼りない状態でしたが、無事にヒナが誕生するのを待ちたいところです。 

ところで、調査中に芝生広場のケヤキの巨木から、あまり聞きなじみのないカラ類の巣立ちビナの声が聞こえてきました。双眼鏡でよく見るとヤマガラの子供たちでした。シジュウカラの巣立ちビナよりもっと鼻にかかった甘たるい声で、4羽のヒナが葉陰から元気よく芝生地に飛び出していきましたが、すぐにUターン。戻ってきた直後、口いっぱいの食べ物を親鳥からもらっていました【写真】。

ヤマガラは東京の緑地で繁殖分布を広げている鳥で、都心ではこの園からそう遠くない明治神宮に昔からいましたが、1972年と2012年の繁殖期の調査結果を見ると、3倍の増加がみられていました。照葉樹林を好むこの鳥が、東京都心部の緑島に生息地を広げているようです。                                                                                                      〔川内博〕