2016年7月24日日曜日

都内のムクドリのねぐらは?・④           西葛西駅のいま・2016

  

 東京都内のムクドリのねぐら③は、昨年99日付で、東京メトロ・西葛西駅(江戸川区)の状況をお知らせしました。「ムクドリの嫌う周波数の音を出す」という“新兵器”が取り付けられ、今までのねぐら一帯にムクドリは来なくなりました。しかし、ポイントは新兵器の周波数・音にムクドリが慣れないうちに、“これをうまく使って、人とトラブルを起こさない場所に誘導を”ということでした。

722日(金)に同地を訪れました。今年も、駅南口のクスの大木では“カン・カン・・・”という、昨年とは少し違った人工音が鳴り続けていました。明るさが1000ルクスくらいになると、ムクドリは駅周辺のビル屋上の看板やTVアンテナに、数百羽ずつが集まってきました。その数は合計2000羽程度と思われます。そして100ルクスを切ると、ムクドリは南口一帯の樹木に降りてきました。もちろん、新兵器が鳴り続ける大木にも、躊躇することなく舞い降り、以前と同じ状態となりました〔写真〕。北口の街路樹には1羽も止まっていません。昨年指摘した通り、ムクドリたちは新兵器に“実害はなし”と学習したようです。

それにしても、ピンポイントでねぐらに集まる彼らが“嫌われてもなぜここを選ぶのか”という当初からの疑問に対して、いまだに明快な答えが書けないのが現状です。    〔日本野鳥の会東京・研究部〕

2016年7月15日金曜日

『自然教育園報告』第47号に「野鳥調査会」の記録が掲載されました

  



 JR目黒駅から近いためか“めぐろの自然教育園”として親しまれていますが、所在地は港区白金台。おしゃれな“シロガネーゼ”の地に広がる緑地は、古くはオシドリの池、近年はカワセミの営巣地としても有名です。1949(昭和24)年に文部省に移管され、「国立自然自然教育園」として一般開放されました。園内では継続的に動植物の調査が行われ、1969(昭和44)年度から『自然教育園報告』が年報として出されています。

その第47号に、当会研究部と都市鳥研究会の共同で行った「野鳥調査会」の調査結果が掲載されました。タイトルは「自然教育園における2010年代前半の生息鳥類について」で、201211月~201510月までの3年間における月1回のセンサス調査の結果を主体にまとめてあります。奇数月のセンサス調査は、日本野鳥の会東京の会員にも呼びかけ、参加してもらいました。

出現鳥類は外来種も含めて112857種で、個体数は平均約20000羽/年。この間の特徴的な変化は、エナガ〔写真・川内 博氏撮影〕の定着と繁殖。とくに2014年春には竹やぶに造った巣も発見され、11羽の巣立ち雛も撮影されました。こんな小さい空間に11羽の雛と親鳥が一緒に入れるものかと巣を見た人は皆驚いていました。

※この記録の別刷りを希望の方は、PDF版をメールでお送りします。研究部・野鳥調査会あてメールください。また、下記にアクセスすると、バックナンバーを含め『自然教育園報告報告』を読むことができます。
http://www.kahaku.go.jp/research/publication/meguro.html〔国立科学博物館〕