2011年4月14日木曜日

文献紹介 『冬の野川の野鳥』22年間の記録

           

小金井自然観察会(会長清水徹男氏)は、名前の通り東京都小金井市を中心に活動していて、野鳥に限らず動植物全般を対象とし、その創立は1968(昭和43)年からという都内でも有数の歴史を誇る団体です。今回紹介するものは、多摩川の支流のひとつ・野川の全流約21㎞を毎年1月に、会員が自転車を連ねて、出現全鳥類を記録したもので、その22年間の記録を1冊の報告書にしたものです。
野川は、国分寺市内の日立製作所中央研究所内の湧水を水源とし、小金井市・三鷹市・調布市・狛江市・世田谷区を流れ、下流で仙川と合流した後、二子玉川で多摩川に注ぎ込む中小河川で、都区内を流れる川としては、自然度の高い水系として知られています。
今回の報告書では、1989年~2010年までの22年間で、12目28科65種の野鳥と、5目5科7種の外来鳥が記録されたこと、そしてその記録個体数が一覧表で示され、グループごとにグラフ化され、解説が添えられ、22年間での動きがわかるようになっています。
冒頭に紹介しているグラフは、セキレイ3種個体数経年変化というもので、市街地を流れる川で、冬季といえど、キセキレイが定住していることから、その水質を推し量ることができると思います。解説には、セグロセキレイが希に上流で繁殖していることが記されています。また、カラスのグラフも興味深く、ハシボソガラスの数はあまり変化がないのに対し、ハシブトガラスは2001年をピークに、大きな変動が見られます。さらに、その2種の個体数比率にも明らかな変化が見られ、東京都内のカラスに対する今後の検証の重要なデータとなると思われます。報告書の発行部数が少ないので、興味ある方は早めに下記にお問い合わせください。
『冬の野川の野鳥=22年間の調査結果報告=』
     2011年3月発行・A4判・28ページ 送料込1000円 
【問合せ先】小金井市前原町1-6-8 清水徹男方 小金井自然観察会

0 件のコメント: