2011年9月26日月曜日

日本鳥学会2011年度大会〔大阪〕に参加して

           

 今年度の日本鳥学会の大会が大阪市立大学で、9月17日(土)~19日(月・祝)にかけて開かれました。台風15号が沖縄付近に停滞していた期間で、大阪は残暑。〔写真・エコ冷房機として参加者に配られた特製うちわ〕 大阪の街を歩いていて、東京と少し違うと感じたのは、公園や緑地でも蝉の声がほとんど聞こえなかったこと。虫の音が一番耳に響いてきました。
 大会は盛況で、参加者は300人を超えていたと思われます。学会大会で興味あることは、参加者のほとんどが何らかの発表に関わっていること。口頭発表・ポスター発表・自由集会で、日ごろの調査・研究の成果をいろいろな形でアピールしていました。
 今年の発表の傾向は、ワシタカ類ではオオタカの件数がますます減ったこととサシバが目立ったこと、カラス・スズメに関わるものが増えたこと。そんな中で、私が見聞きしたもの(発表件数が200件近くあり、複数個所において同時進行で開かれていますので、体力的だけでなく、物理的にも全部は聞けない状態です)で興味をもったものをいくつか紹介します。
 一つは、キビタキの動きで、全国的に平地繁殖例が増えているようです。東京付近でもその傾向がありますので、要注意ということころです。もう一つはカワウで、その問題の多くが東北地方に移り、関東地方では小康状態になっているとのことです。その東北・盛岡市では街のカラス問題が話題になっているとか。東京からは、ユリカモメ10月号に掲載された「葛西海浜公園・西なぎさでのコアジサシの繁殖」についてのポスター発表がありました。
 ところで、今回のもっともおもしろかったのは、最終日午後に開かれた公開シンポジウム「鳥の種分化と種分類‐日本列島の鳥の系統学からの発展‐」で、5人のパネリストによる講演はそれぞれ研究手法や見方が異なり、いずれも興味ある内容で、一気に視野が広がりました。シンポジウムの良さは、関連した話がまとめて聞けることだと実感しました。発行が予定されている『日本鳥類目録第7版』では、従来の分類とはだいぶ違ったものになりそうです。
 来年は同じ時期に東京大学で開かれます。学会員でなくても参加できます(発表は不可)ので、ぜひその熱気を体感してください。(川内 博)

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