2021年9月11日土曜日

“檻の中のオオタカ”から東京都のカラス対策を考える

           

  朝、代々木公園にカラスの行動調査に出かけた際、園内に入るとオオタカの若鳥の悲鳴のような大きな鳴き声が何度も聞こえてきました。すぐに見当はつきました。“カラストラップに入ったな!” 檻のなかのその姿は望遠レンズで捉えることができました【写真】。

  東京都内各地の緑地に設置されている“カラストラップ”。激増した都内のカラスを捕獲し数を減らそうとする施設で、2001(平成13)年来20年を経ようとしています。4羽のおとりのカラスを入れて、週に2回生肉を補給し、その際4羽以上かかったカラスを捕殺するという形です。都の発表によると約40か所のトラップで処分されたカラスは、昨年度約5100羽とのこと。おいしそうな食べ物につられて捉えられるカラスの多くは若鳥で、これまでの累計捕獲数は233,000羽と記されています。

  都は「カラス対策成果」を知るため、2001(平成13)年度から、毎冬都内の約40か所の集団ねぐら()でその数をかぞえていますが、初年度の36,400羽を頂点にそのグラフは急激な右肩下がりで、昨年度(2020・令和2)には11,000羽となっています。同じような傾向は都市鳥研究会が都心部3か所で5年ごとに行っているねぐら調査でも示されています。 

  農村部のように作物への加害問題がある環境と違い、市街地でのカラスの生息に大きく影響しているのは、家庭や企業から出される「生ごみ」です。ごみの管理は区市町村で行われ、多くのところでそれなりの成果が得られています。 [本ブログの前号で銀座の例を紹介しています] 最近の傾向は、都の同じページに挙げられている「都庁によせられた苦情・相談件数の推移」のグラフからも読み取ることができます。往時に比べ、その件数は90%減少したとのことです。東京都は“多額の税金を使って殺生”するトラップ作戦を考え直す時期と思います。 

  代々木公園で助けを求めていたオオタカは職員が気付いたのか、30分後、大きな声で鳴きながら、緑のなかに飛んでいきました。(川内 博)

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