「小石川植物園」は正式名を「国立大学法人東京大学大学院理学系研究科附属植物園」といい、東京23区のほぼ真ん中の文京区に広がる約62haの緑地です。
その生い立ちは320年以上前の江戸時代の「小石川御薬園」で、“赤ひげ先生”の話で知られる「小石川養生所」があった場所です。その環境は、空から見るとコンクリートの海に浮かぶ緑の島(緑島・りょくとう)のように見えます。
由緒あるこの緑島を、愛用のカメラをかついで歩いているのが井上裕由さん。今回の写真集は、2009年頃から現在に至るまでに撮影した写真の総集編であり、観察の時期および最近5年間・469回の観察における遭遇率も掲載されています。
2016年制作の前作『一期一会の野鳥アルバム(小石川植物園の野鳥達)』に直近の4年間で新規に観察できた20種以上を加えた93種を収録したとのこと。この9月にA4判・133ページのアルバムとして発行されました。
その中には、日本野鳥の会東京の月刊誌『ユリカモメ』の表紙を飾ったツバメ・ムギマキ・ミヤマホオジロ・コホオアカの写真も収めてあり、コウライウグイスやヤマシギ、フクロウなどの貴重な記録も含まれています。ページをめくるごとに、“大都会・東京に!!”と驚かれるでしょう。
都内の緑島の多くが、常に人為的な手入れがなされているのに対し、自然をあまりいじっていない園の存在は貴重で、この記録は、研究部としても重要な資料といえます。 〔研究部〕
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