研究部では昨年に引き続き、5月~6月にかけて、どんな鳥がどこで繁殖期に生息しているのかを知るため「繁殖期2023」調査を、本土部の全区市町村で実施を予定しています。この調査はおもに昼行性の鳥が対象ですので、フクロウやアオバズク、コノハズク、ヨタカなどの「夜に目立つ鳥」の情報が不足しています。身近な場所で声や姿を確認したらお知らせください。 〔日本野鳥の会東京・研究部〕
研究部では昨年に引き続き、5月~6月にかけて、どんな鳥がどこで繁殖期に生息しているのかを知るため「繁殖期2023」調査を、本土部の全区市町村で実施を予定しています。この調査はおもに昼行性の鳥が対象ですので、フクロウやアオバズク、コノハズク、ヨタカなどの「夜に目立つ鳥」の情報が不足しています。身近な場所で声や姿を確認したらお知らせください。 〔日本野鳥の会東京・研究部〕
2月22日付の本ブログで誤りがありました。タイトルで“ミヤマガラスの「都内初記録」”と記しましたが、初記録はもっと前にありました。以下のように訂正し、お詫び申し上げます。
現時点での知見では、ミヤマガラスの「都内初記録」は、清棲幸保著『日本鳥類大図鑑 Ⅰ』に記されている「足立区千住 1877:Ⅱ・1886」がもっとも古い記録となります。
最近の例では、2015年11月29日に府中の多磨霊園で6羽が記録されています(『ユリカモメ』№727)。また、島しょ部では、八丈島で2003年以降断続的に記録され、2010・2011年にも観察されています(『ユリカモメ』№726)。他にも記録等ありましたら、お知らせください。
ところで、近年このミヤマガラスが冬鳥として全国各地に多数飛来していることが話題となっていますが、東京の近くでも多数渡来している地域があります。都市鳥研究会のホームページのブログ「都市鳥最新情報」(2023年3月10日付)〔※〕によると、昨年12月に、埼玉県越谷市内で地元の野鳥グループがカラスの集団塒で個体数調査をおこなったところ、ハシボソガラス・ハシブトガラス・ミヤマガラス・コクマルガラスの4種で3,000羽余を記録したとのこと。その中で、2割はミヤマガラスではないかと推定されています。また、隣接する吉川市での昼間の調査では、ミヤマガラス462羽・コクマルガラス29羽が観察されたとのことです。ちなみに、昨年2月に私が越谷市久伊豆神社のねぐら入りを視察した時は、神社周辺の電線に鈴なりなっているミヤマガラスの多さにびっくりしました。【写真】 〔日本野鳥の会東京・研究部・川内〕※
都市鳥研究会のブログには、本HPトップの「リンク」から入ることができます。
この1月に本土部の都内を対象に実施した「越冬期2023」調査結果では、検討事項がありました。府中市~国立市の多摩川で越冬した2羽のコハクチョウの亜種問題。1羽はくちばしの模様からアメリカコハクチョウ(Cygnus columbianus columbianus)〔都内初記録〕と判定できました。もう1羽は亜種コハクチョウ(Cygnus c. jankowskyi)と思われました。【写真上・渡来したコハクチョウ2羽・中島徹也氏撮影】
東京都内でのハクチョウの観察は多くなく、本土部のコハクチョウの記録は、2001年以降は、2002年に江戸川区葛西臨海公園と府中市多摩川、2004年は杉並区善福寺公園、2005年は世田谷区・調布市・府中市の多摩川と武蔵村山市、2006年は日野市~調布市多摩川と杉並区・昭島市、2007年は昭島市、2011年は調布市多摩川、2012年は中野区・青梅市、2013年は府中市・多摩市多摩川、そして2022年1月には昭島市多摩川での記録がありました。〔※〕
※:これらの観察記録に該当しない情報、また、コハクチョウの亜種間交雑個体についての知見をお持ちの方は、日本野鳥の会東京(研究部)あてにメールでお知らせください。
この調査は昨年実施しました『越冬期2022』に続くもので、昨冬は103種を記録しましたが、今冬は仮集計段階ですが110種となっています。その中には、東京都初記録のミヤマガラス、ヒメハジロの雄などが含まれています。そのほか、中央防波堤埋立地ではツクシガモ、クロツラヘラサギ、セイタカシギ、ソリハシセイタカシギなどの珍鳥が観察され、多摩川からはビロードキンクロ、荒川からはコミミズクの情報が届いています。近年越冬地が広がっているコハクチョウの記録も、昨冬に続き2羽の渡来が多摩川から寄せられています。都内でも安定して飛来するようになるのでしょうか。
一方、今年の調査で記録されなかった鳥にオシドリがいます。かつては、上野不忍池・皇居濠・自然教育園・明治神宮・新宿御苑・井の頭公園・・・など都内各地の池に群れで、飛来し越冬していたものですが、次々と消滅し、最後の砦となっていた新宿御苑も調査日には見られなかったとのこと。この地では今冬も調査日以外の日には観察されていますが、年々その数は減ってきています。彼らが好んでいる、上の池の休息場所のブッシュが刈り込まれたことが原因のひとつと考えられます。華麗なこの鳥の姿を消すことのないように植栽の管理をしてほしいところです。
『越冬期2023』調査終了後の2月5日、長年オシドリの越冬地として知られていた明治神宮の南地と北池を訪れてみました。南地はカイツブリが1羽浮かんでいるだけでしたが、北池にはマガモ13羽、カルガモ2羽、ホシハジロ2羽、キンクロハジロ1羽、ハシビロガモ1羽の5種類19羽が泳ぎ回り、採食していました。“オシドリ復活”も夢ではなさそうです。【写真】
本調査の概要は『ユリカモメ』4/5月号の「研究部レポート」で発表します。 〔日本野鳥の会東京・研究部・川内〕
その後は月1回程度でチェックしていましたが、昨年の初記録とほぼ同じ時期の12月2日に約50羽の飛来を確認しました。半月後の12月16日には、昨年と同じ約250羽に増え、年末30日にも同数を確認しました。ところが今年初めて観察を1月17日に行ったところ、上空を旋回する群れが大きくなっていました。写真に撮って1羽1羽を数えたところ3倍増の850羽。【写真】
このねぐら地は、道路のなかの小さな空地に植えられたクスノキの巨木で、真下を人が通ることはなく、規模も小さく、ねぐら入りするときに10分程度鳴き騒ぐ程度で、バスを待つ人、通勤通学などですぐ近くを通る人も「ねぐら」があること自体気づいていないと思われる状況です。
しかし、各地で迷惑がられ、さまざま方法で追い出されているムクドリですので、今後この“安全の地”にさらに集まってくる可能性がありそうです。今後どのような展開になるか、興味を持って観察しているところです。
ところで、同地でウグイスが越冬していると報告しましたが、今のところその声・姿は確認できていません。〔日本野鳥の会東京・研究部〕
研究部では「越冬期2023」調査と「猛禽類のようす」調査をこの冬に行います。
「越冬期2023」は昨年に引き続いての調査で、冬鳥やカモなど水鳥類のようすを重視したもので、東京湾岸から上野不忍池、皇居濠、多摩川、奥多摩湖など80か所以上で、1月中に実施します。調査地の多くは日頃から探鳥会や観察会が行われているところで、調査に携わる方は、探鳥会や自然観察会のリーダーが中心で、レベルの高いデータが期待できます。
「猛禽類のようす」調査は、最近、市街地でも見ることの多くなったタカ類(オオタカ・ハイタカ・ノスリ・トビなど)やハヤブサ類(ハヤブサ・チョウゲンボウ)、最近皇居で繁殖していることがわかったフクロウ【写真】、逆に最近見かけることが少なくなったフクロウ類(コミミズク・トラフズクなど)などの猛禽類の冬期間の生息状況を調べるものです。
いずれも高い専門性を必要とする調査で、野鳥の会や自然観察会の皆さんにボランティアで参加いただいています。 〔日本野鳥の会東京・研究部〕
この光景は、かつて千葉や埼玉でよく見かけたものですが、最近はこのねぐら入り前の“儀式”をあまり目にしなくなっていました。久しぶりの大空をバックにしたショーに思わず見とれていましたが、“落とし物”のプレゼントが私を直撃しました。オレンジ色の果実の皮のかけらのような小片でした。あわてて屋根のあるタクシーの待合所に逃げ込みましたが、群れが通過するたびに、ボタボタと頭上の鉄板が鳴っていました。16時50分、群れは一斉にロータリー中央のケヤキや常緑樹に舞い降りてきました。照度計は25ルクス。三日月がバックに輝いていました。【写真・下】
ここのねぐらがいつできたのかはわかりませんが、5年ごろ前に昭島市を訪れた際、駅北口広場の木々が強剪定されているのを見かけ、ねぐらになっているだろうと思ったことがありました。同市の住人に聞いたところ、この件はあまり話題になっていないとのこと。各地でトラブルが続く「ムクドリのねぐら問題」は、今のところ“解決策がない”のが現状です。何らかの方法で追い出すと、別の場所でまたトラブルが発生するという繰り返しになっています。とりあえず、昭島駅南口を安住のねぐらとしてもらえればと願いながら、次のねぐら地へ電車で移動しました。 〔研究部・川内博〕