調査前には、繁殖期、特にまだ若鳥がいない初期の頃には、ムクドリは集団ねぐらを形成しないと思っていました。しかし、繁殖期初期の4月・5月でも数は多くは無いものの、150~300羽のムクドリが集団で駅舎をねぐらとしていることがわかりました。(表:4月5月の個体数) 都市鳥研究会の越川重治氏によると繁殖に参加しない個体と「繁殖期に入っても基本的には最終卵を産む前までは、メスは夜間抱卵しません。もちろんオスは繁殖期でもねぐらに戻ります。現在の行徳駅前のねぐらの個体はおそらく非繁殖個体+繁殖個体オス+繁殖個体で夜間抱卵に入っていないメスで構成されていると考えられます」とのことでした。繁殖中でも産卵途中のペアーは、集団ねぐらを形成することがあるとのことです。確かに、ねぐらを観察していると、ペアーと思われるものも見受けられました。
行徳駅の集団ねぐらの場所は、個体数が数百羽の時は主に駅舎、千羽を超えるようになると駅前広場の樹木、樹木が強剪定されると電線へ移動するのが例年の行動です。人工物の駅舎では、屋根裏の鉄骨の梁の部分を利用して寝ているようです。個体数が少ない為、今まで注目していませんでしたが、ムクドリが周年、同じ場所をねぐらとして利用していることは一つの発見でした。 [鈴木弘行]
表:4月5月の個体数
年月日 |
個体数 |
ねぐら場所 |
2019年4月28日 |
250羽 |
駅舎 |
2019年5月28日 |
200羽 |
駅舎 |
2020年4月21日 |
300羽 |
駅舎 |
2020年5月24日 |
150羽 |
駅舎・樹木・電線 |
2021年4月12日 |
300羽 |
駅舎 |
2021年5月14日 |
150羽 |
駅舎 |
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