2009年5月30日土曜日

“イイジマムシクイのさえずりシャワー”三宅島大路池・繁殖期の伊豆諸島その1

           

 いったい何羽いるのだろう?頭上に覆いかぶさった黒い緑の中から、イイジマムシクイのさえずりが降ってくる。個体確認不能。5月24日(日)の早朝6時、三宅島大路池の周りを歩きながら、簡単なセンサスを試みようとしましたが、シャワーのような状態で数がかぞえられない事態でした。2番目に多いのはメジロ、ヒヨドリ、ウグイス、ミソサザイ、コマドリ、アカコッコ、ヤマガラ、シジュウカラ、頻繁にカラスバト、ホトトギス、コジュケイ、コゲラ、ハシブトガラスの声がまじって、湖畔一体大合唱。こんなにすさまじいコーラスを聞いたのは何十年ぶりといった印象でした。
 東京都産鳥類目録作成も第2段階に入り、島嶼部の協力者との顔合わせを始めました。第1弾が三宅島・御蔵島・八丈島ということで、前夜10時20分、東京・竹芝発のさるびあ丸(5000t)で、三宅島に降り立ちました。三宅島の協力者は、長年アカコッコ館に勤めていた日本野鳥の会の山本裕さんですが、ここで会ったのは、現在同館のチーフレンジャー・篠木秀紀さん。2001年以降の鳥類目録を視野に話が弾みました。とくに大路池畔のイイジマムシクイの密度は半端でないこと、そして、イイジマムシクイについてきちんと研究がなされていないことなど、三宅島の鳥の調査・研究での問題点が数多く出てきました。さらに、2000年の噴火以後、現在もガスマスクの携帯が義務付けられている状態での島外からの探鳥会のあり方、島の今後などまで話は発展しました。
“イイジマムシクイのさえずりシャワー”というフレーズは、館前の掲示ポスターに書かれていたもので、まさに的を射た表現だと思います。翌日午後にアカコッコ館横の薄暗い水場で観察をしていると、メジロ・ヤマガラ・カワラヒワ・・・などにまじってイイジマムシクイも何度も水浴びに訪れてきました。この鳥は生息地が世界で伊豆諸島とトカラ列島だけの天然記念物。
 26日(火)早朝5時、錆ヶ浜港に着いたさるびあ丸からは、最新のモスグリーンの大型双眼鏡を首からかけた10人ほどの白人バードウォッチャーが意気揚々と降り立ってきました。世界をまたにかけた一団かと見受けましたが、日本が誇れる探鳥地へようこそという気持ちと、研究が進んでいない残念さが交差する複雑な思いでした。御蔵島へは宿が取れないため断念し、ほとんど人が乗っていない船で、八丈島へと歩を進めました。(川内博)

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