2009年5月20日水曜日

東京・千代田区のヒメアマツバメ健在・他の場所は?

           

 東京都心にヒメアマツバメのコロニーがあることを知っていますか。漢字で「姫雨燕」と書くこの鳥は、燕といっても、身近にいるツバメとは違うグループで、ツバメがスズメ目の小鳥であるのに対し、アマツバメ目。おなじ仲間には、中国料理で珍重されている『つばめの巣』で知られるショクヨウアナツバメ、また、日本には夏鳥として山地の岩壁に渡来するアマツバメ、ハリオアマツバメなどがいます。
 この鳥は以前は日本産鳥類ではありませんでしたが、1967年に静岡市で繁殖が確認された新参鳥。その後、西日本の太平洋側の各地で生息が見つかり、東京での初確認は1970年三宅島、本土部では72年渋谷のこと。繁殖は76年6月。調布市多摩川原橋のイワツバメのコロニーに中に成鳥で見つかったのがはじめて。その後多摩川流域を中心に、大田区~八王子市まで分布を広げていき、97年からは荒川沿いでも見つかっています。
 そんなヒメアマツバメの最新状況のひとつが、千代田区神田駿河台にそびえる24階建ての『三井住友海上ビル』の最上階外壁にある“穴”でのコロニー。地上からは100メートルの高さ。天然の岩壁のすきまから人工のコンクリート壁の空間に乗り換えての都市鳥化といえます。この話は、『ユリカモメ』№605(2006年3月号)に詳しく載っていますが、その後のフォローをと思っているうちに3年がたってしまいました。
 5月18日早朝、付近を探索する機会があったので観察したところ、30羽以上が乱舞し、“穴”への出入り、そして巣が見え、健在であることを確認しました。
 ヨーロッパの街などでは、教会の尖塔周辺を、ビーンビーンと大きな声で鳴きながら飛びまわるヨーロッパアマツバメの群れが印象的ですが、東京でもそんな光景が見られるようになるかもしれません。
 ところで、都心部での生息は今のところ、ここ1か所しかわかっていません。他の場所での状況をご存じの方はお知らせください。(川内博)

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