2023年8月19日土曜日

猛禽類の台頭で「東京の鳥相」はどう変わるのか

           

   今年の研究部の継続活動に「猛禽類の生態・繁殖調査」があります。とくに注目しているのは、人が大勢住み・働いている市街地の「鳥相」で、オオタカ・ツミ・チョウゲンボウ・アオバズクに加えてフクロウが繁殖種に加わり、かつての東京では考えられなかった“猛禽類繁栄”の時代となっています。 

今春、都内全域を対象にした『繁殖期2023』調査でも、市街地の緑地でのオオタカの繁殖・生息記録が目立ちました。なかにはオオタカが1つの緑地で2か所という例もありました。また、ツミやチョウゲンボウ、トビ、アオバズクの営巣も報告されました。とくに鳥類を主食とするオオタカ・ツミ・チョウゲンボウの台頭は、街なかに棲む野生鳥類に影響がないわけはありません。“コサギなどの小型のサギを見かけなくなった”・“シジュウカラの数が減った”などの観察や調査結果が耳に入ってきます。まだ、きちんとした裏付けるデータは少ないようですが、今後いろいろな情報・データが出されてくると思われます。【写真・洗足公園で水浴びをしていたツミの若鳥・川内博撮影】

前世紀末の19752000年にかけての四半世紀は、東京を中心とした首都圏の街は“カラス天国”でした。そのようすは銀座や渋谷、池袋など繁華街で見ることができました。しかし、1999年に当会が主催したシンポジウム「とうきょうのカラスをどうすべきか」を契機に、世情は一変し、東京都が行った「生ごみ対策」・「捕殺」という両面作戦が功を奏したのか、市街地におけるハシブトガラスの姿は急減しています。「鳥相」はどんな鳥がどのくらいいるのかを調べたもので、環境を現す指標の一つとなります。“カラス全盛”時の鳥相と“猛禽類台頭”の今とその違いを分析してみたいと思っています。〔日本野鳥の会東京・研究部〕                    

 

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