2011年12月26日月曜日
ワシタカ類の増加はなぜ?・葛西臨海公園探鳥会に参加して
12月25日(日)、日本野鳥の会東京の葛西臨海公園探鳥会に参加しました。寒波到来の情報に参加者一同厚着。しかし、風はほとんどなく、冬晴れの青空のもと、気持ちいい探鳥日和でした。その上、若き男女の姿が目立つという明るい状況に担当者も張り切ったためか、鳥果(ちょうか)も62種と上々。
ところで、その中で気になることが2つ。ひとつはスズガモの将来。東京湾は日本有数の越冬地で、葛西沖はその生息地のひとつですが、今年は数がやや少ないのが気にかかります。そのことについては別の機会に触れるとして、もう一つはこの探鳥会で記録されたワシタカ類が8種類16羽ということ。 ミサゴ1羽、トビ5羽、オオタカ3羽、ハイタカ1羽、ノスリ3羽、チュウヒ1羽、 ハヤブサ1羽、チョウゲンボウ1羽。しかもこの地では年々種類・個体数が増える傾向があり、また同じことが千葉県市川市の行徳鳥獣保護区(新浜)などでも見られていることです。
「猛禽類は食物連鎖の最高位に位置し、この鳥が常時生息することは自然が豊かな証」とか。しかし、生態学の教科書どおりとは思えない状況を目の当たりにすると、これをどう考えればいいのか。悩ましい事態です。
午後3時、 探鳥会の終わりごろには、若いオオタカがオオバンを襲い、水中に沈めて息の根を止めという狩りが見られ、さらに、その獲物をノスリが横取りして、それをいじましくすぐわきで見続けるオオタカの姿〔写真・左が横取りされた若いオオタカ〕を観察中に、その背後に、オオタカの成鳥が飛来し枝に止まり、順光のもとその美しい白い姿を望遠鏡でじっくり鑑賞という、過去を知っているベテランバーダーには夢のような状況でした。
いまから35年ほど前の1月に実施された東京湾一斉カウントでの葛西の記録を見ると、1976年はチョウゲンボウ1羽、1978年はゼロ、1979年もチョウゲンボウ1羽のみ。ちなみに、前記79年の千葉県富津~神奈川県大黒埠頭までの東京湾一帯で記録されたワシタカ類は5種で、トビ150羽、ノスリ1羽、チュウヒ18羽、ハヤブサ1羽、チョウゲンボウ30羽という状況です。
いまオオタカに加えてハイタカも街なかに増えているという情報があり、注目しているところです。現在の東京の状況でのワシタカ類の増加は、単純に喜べることなのか、はたまた心配すべきことなのか。(川内 博)
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