2022年12月1日木曜日

昭島駅前のムクドリのねぐら初観察の記

  

   前からその存在は知っていながら、なかなか現場を見ることができなかった東京都昭島市・JR昭島駅前のムクドリのねぐらの状況を見てきました。11月27日()夕方、奥多摩での探鳥の帰り、ちょうど午後4時ごろに昭島駅に着きました。その日の日没は4時29分。約30分前の照度は2500ルクス。日没10分前に照度が850ルクスになったころ、駅南口の空に1000羽ほどの群れが上空に現れました。群れは旋回するごとに周りから小群が合流し、日没ごろには2000羽、その10分後には7000羽の大群となり、群れはまるで一つの巨大な生き物のように変幻自在に形を変えながら大空を舞い続けました。【写真・上】

 この光景は、かつて千葉や埼玉でよく見かけたものですが、最近はこのねぐら入り前の“儀式”をあまり目にしなくなっていました。久しぶりの大空をバックにしたショーに思わず見とれていましたが、“落とし物”のプレゼントが私を直撃しました。オレンジ色の果実の皮のかけらのような小片でした。あわてて屋根のあるタクシーの待合所に逃げ込みましたが、群れが通過するたびに、ボタボタと頭上の鉄板が鳴っていました。1650分、群れは一斉にロータリー中央のケヤキや常緑樹に舞い降りてきました。照度計は25ルクス。三日月がバックに輝いていました。【写真・下

ここのねぐらがいつできたのかはわかりませんが、5年ごろ前に昭島市を訪れた際、駅北口広場の木々が強剪定されているのを見かけ、ねぐらになっているだろうと思ったことがありました。同市の住人に聞いたところ、この件はあまり話題になっていないとのこと。各地でトラブルが続く「ムクドリのねぐら問題」は、今のところ“解決策がない”のが現状です。何らかの方法で追い出すと、別の場所でまたトラブルが発生するという繰り返しになっています。とりあえず、昭島駅南口を安住のねぐらとしてもらえればと願いながら、次のねぐら地へ電車で移動しました。                     〔研究部・川内博〕

2022年11月15日火曜日

シリーズとさん・1 多摩川・羽村堰周辺探鳥会に参加して

  

   112()、日本野鳥の会奥多摩支部の「多摩川羽村堰周辺探鳥会」に参加しました。朝9時に玉川兄弟像に集まった参加者は38名。コロナ禍が続くなかですが、予想された人数とのことでした。モズの高鳴き、ジョウビタキの地鳴きが聞こえ、水辺にはカワセミ、セグロセキレイ、ハクセキレイ、キセキレイ、アオサギ。堰上の水面にはキンクロハジロ、カイツブリ。そして青空にはトビが舞うといった具合。多摩川左岸を下りながらの探鳥。市街地ではまったく聞くことがなくなったコジュケイの元気な鳴声が間近に、逆に市街地の緑地まで定着しそうなガビチョウのさえずりが対岸から響いてきました。

今回の目玉はアリスイ。数人の人が見ることができたようです。同会発行の『多摩の鳥』(2014)によると、ここでは2012115日の探鳥会でも1羽記録しているとのこと。多摩川・昭和記念公園・霞丘陵・多摩湖などで9月~4月にかけて観察されているようです。もう一つの目玉は「猛禽類」の多さ。当日はトビ4羽・ハイタカ1羽・オオタカ1羽・ノスリ1羽・チョウゲンボウ1羽の5種。最近は都内各地でみられている現象ですが、Why?という疑問に明確な答えは出ていません。逆にカモやシギ・チドリなどの水鳥類の減少は寂しいかぎり。とくに2019年秋の台風19号の影響は著しいとのこと。これについても理由ははっきりしません。

昼食後、永田橋を渡って右岸を遡行。午後ということもあり、出現鳥類は減少。「生態系保持空間」という聞きなれない緑地を通り、14時過ぎ、堰下レク広場で記録した鳥(41種+外来種4)の確認後解散。その足で、久しぶりに羽村市郷土博物館を訪れる途中でトビの雄姿をとらえることができました。【写真】                 〔川内博〕

2022年11月1日火曜日

図書紹介『世田谷の鳥2020 -世田谷区鳥類目録-』

  

東京・世田谷区で活動する(一般財団法人)世田谷トラストまちづくりから、「世田谷区鳥類目録」の第4『世田谷の鳥2020 -世田谷区鳥類目録-』【写真】が発行されました。編集にたずさわったのは「野鳥ボランティア」。1991年に発足したこのグループの手によって、2009年に第1弾、2010年に第2弾、2015年に第3弾の報告書が出され、本書は本年7月に出版。A4297ページに、世田谷区の概要・鳥の概要に続いて『日本鳥類目録改訂第7版』に基づいて、2266285種の「世田谷区鳥類」の記録が載せられています。 膨大な記録をもとに作成されていて、今回とくに注目したのは第Ⅳ章で、区内の7か所で行われている定例調査の結果をもとに、「主な種の個体数推移」がグラフ化され、その変化が一目で知ることができることでした。

最近、東京の市街地でのカラスの動きが注目されています。大きくは2つで、ひとつは繁華街や住宅に飛来する数が減ったこと。もう一つはハシブトガラス(ブト)の減少とハシボソガラス(ボソ)の台頭です。後の話題については、近年の東京の市街地ではブトが完全に優占し、ボソは周辺部に追いやられた状況でした。しかし、2000年以降、都内の各地でボソを見かける事例が増えています。ここで示されたグラフはその現象を裏付ける内容となっています。また、同じスカベンジャーのトビやカモメ類の変化も興味あるところで、トビの復活傾向やユリカモメの衰退が示されています。さらに、「生態上の類似点がある種の個体数比較」ということで、アオサギ・ダイサギ・コサギの個体数比較がグラフで示されていますが、この3種のサギの動きは、世田谷区だけでなく興味が持たれている問題で注視しているところです。

 本書は一地域の鳥類目録ですが、内容は充実していて、いろいろな角度からも参考になる良書です。本書はWebから無料でダウンロードすることができ、また「データCD」も希望者に提供されているようです。詳しくは下記の(一財)世田谷トラストまちづくりにお問い合わせください。       ℡:03-6379-1624  http://www.setagayatm.or.jp       

                                                                           〔研究部・川内博〕

2022年10月16日日曜日

『小石川植物園の野鳥達』出版記念 井上裕由作品展

  

  東京・文京区の小石川植物園で、野鳥の写真を撮り続けている井上裕由さん(当会研究部員)が出版された『小石川植物園の野鳥達』【写真】を記念して、写真展が111日~226日までの予定で、同園・柴田記念館で開かれます。

写真展は、A2版の写真10枚が壁面に掲示、キャビネット内にA4版の写真2025枚位が配置されるとともに、約200枚の写真がスライドショーで流されることになっているとのことです。 

今回の出版は、先に出された『文の京の野鳥達』(本ブログ20201027日付で紹介)が大変好評で、植物園に対して多くの要望があったため、植物園からの依頼により編集をし直し出版されたものです。そのため同園の柴田記念館でしか手に入りません。

植物園では、それに先立ち1021日~23日の3日間「植物祭」が開催される予定ですので、その際の東大グッズの一つとして販売されることにもなっています。(「植物祭」は、21日~23日の天候が良くない場合には、次週に開催されるとのこと) 

写真集には90種もの野鳥達が載せられ、コンクリートの海に浮かぶ『緑島』でこんなに鳥が見られるのかと驚かされるとともに、この環境が永遠に続くことを願わずにはいられません。                   

                      写真展は無料(入園料は別途必要)

『小石川植物園の野鳥達』令和49月発行(B5判・99ページ)3,300

著者:井上裕由 発行:東京大学大学院理学系研究科附属植物園



2022年9月30日金曜日

繁殖期2022 5月~6月の東京都内(本土部)で記録された鳥たち≪仮集計≫

  

  東京都内・本土部の全自治体で1か所以上の調査地を設定し実施した「繁殖期2022」調査の結果、100種以上の野生の鳥たちの繁殖状況を記録しました。今回はまだ仮集計段階ですが、その状況をお知らせしま【写真】は“とんぼ公園”として知られている「尾久の原公園」で繁殖したバンの幼鳥。都内では減少傾向が見られる水鳥ですが、ここの池では子育て風景が見られました。 

「繁殖期2022」の調査時に録した鳥(太字は繁殖確認)

ヤマドリ、キジ、オシドリ、オカヨシガモ、カルガモ、トモエガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、ウミアイサ、カイツブリキジバトカワウ、ゴイサギ、ササゴイアオサギ、ダイサギ、コサギ、カラシラサギ、クロツラヘラサギ、バン、オオバン、ジュウイチ、ホトトギス、ツツドリ、カッコウ、アマツバメ、イカルチドリ、コチドリセイタカシギ、タシギ、チュウシャクシギ、キアシシギ、ソリハシシギ、キョウジョシギ、オバシギ、トウネン、ウミネコ、コアジサシ、ミサゴ、トビ、ツミオオタカ、アオバズク、カワセミ、コゲラ、オオアカゲラ、アカゲラ、アオゲラ、チョウゲンボウ、サンショウクイ、サンコウチョウ、モズ、カケス、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、キクイタダキ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒバリ、ツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、ヤブサメ、エナガ、オオムシクイ、メボソムシクイ、センダイムシクイ、メジロ、オオヨシキリ、セッカ、ゴジュウカラ、キバシリ、ミソサザイ、ムクドリ、トラツグミ、クロツグミ、アカハラ、コマドリ、コルリ、ルリビタキ、イソヒヨドリ、サメビタキ、コサメビタキ、オオルリ、スズメ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ビンズイ、カワラヒワ、ウソ、イカル、ホオジロ/ドバト、ホンセイインコ、コジュケイ、ガビチョウ、カオグロガビチョウ、ソウシチョウ、アヒル、アイガモ 

                  〔日本野鳥の会東京・研究部〕

2022年9月16日金曜日

繁殖期2022 東京本土部の全自治体を対象に繁殖期調査を行いました

  

   野鳥たちの子育て時期の5月~7月にかけて、東京本土部の全自治体を対象に、1か所以上で調査を実施しました。調査は、日ごろその場所での調査・研究を行っている個人・団体の皆さんを中心にも力をいただきました。関係された皆さまにお礼申し上げます。 

その地での繁殖状況を把握するため、調査はそれぞれの場所で2週間の間をおいて2回実施。その結果100種以上の鳥を記録しました。なかには、東京では繁殖記録のないスズガモなどの冬鳥のカモやキョウジョシギなどの旅鳥、また、カラシラサギ、クロツラヘラサギといった珍鳥も含まれていましたが、ルリビタキやビンズイなどの亜高山の鳥からスズメやツバメなどの人里の鳥、オオタカ・ツミ・トビなどの猛禽の営巣も観察されました。

写真は、調査当日に巣立ちしたチョウゲンボウの巣立ちビナたち。各地で減少しているササゴイの繁殖も記録されました。〔記録は現在整理中〕

調査地一覧

【23区】足立区・舎人公園 板橋区・城北中央公園/石神井川区内域/荒川生物生態園 江戸川区・葛西臨海海浜公園/新左近川 大田区・東京港野鳥公園/多摩川丸子橋付近 葛飾区・水元公園 北区・浮間公園/石神井川区内域 江東区・清澄庭園/中央防波堤埋立地 品川区・大井埠頭中央海浜公園 渋谷区・明治神宮 新宿区・新宿御苑 杉並区・善福寺公園/善福寺川緑地 墨田区・錦糸公園付近 世田谷区・二子玉川付近/砧公園 台東区・上野公園不忍池 中央区・浜離宮庭園  千代田区・北の丸公園 豊島区・染井霊園 中野区・江古田の森公園 練馬区・石神井公園/光が丘公園 文京区・六義園 港区・お台場/自然教育園 目黒区・碑文谷公園 【多摩区】昭島市・多摩川昭和堰/多摩川多摩大橋 あきる野市・横沢入り 稲城市・上谷戸親水公園 青梅市・青梅永山丘陵 奥多摩町・奥多摩湖/雲取山/三頭山 清瀬市・柳瀬川金山調節池 国立市・多摩川石田大橋 小金井市・野川公園市域 小平市・東京都薬用植物園 狛江市・多摩川ニヶ領宿河原 立川市・昭和記念公園 多摩・多摩川大栗川合流点 調布市・ニヶ領上河原堰/神代植物公園 西東京市・いこいの森公園付近 八王子市・高尾山/小宮公園 羽村市・多摩川羽村堰 東久留米市・落合川流域 東村山市・八国山緑地 東大和市・狭山緑地 日野市・浅川多摩川合流点/東豊田緑地保全地域 日の出町・ひので野鳥の森自然公園 檜原村・風張峠 府中市・多摩川府中市域 福生市・多摩橋 町田市・薬師池公園 瑞穂町・六道山 三鷹市・井の頭公園 武蔵野市・小金井公園 武蔵村山市・野山北公園 〔国分寺市は都合により調査できませんでした〕                                                                                     〔日本野鳥の会東京・研究部〕

2022年8月31日水曜日

普通種・セッカが東京都レッドリストで「絶滅危惧Ⅰ類」に!!

  

  2021(令和3)年4月に「東京都の保護上重要な野生生物種(本土部)2020年版」が公表され、セッカ【写真】が区部ではもっとも絶滅の可能性が高い[ CR ]絶滅危惧ⅠA 類、多摩地域でも[ VU ]絶滅危惧Ⅱ類になっています。 

東京都は1998(平成10)年に「東京都の保護上重要な野生生物種 1998 年版)」を公表して以来、おおむね 10 年毎に改定作業が行われ、2020 年版には162 種の鳥類が掲載されています。 セッカは前回の2010年版ではまったく記載されていなかったのですが、 今回初めて掲載されました。30年以上バードウォツチングをしている人には、セッカは「普通種」の印象が強いと思います。「ヒッヒヒヒ、ヒッヒヒヒ、チャッチャッ」という独特な囀りは、夏の暑い盛りにもよく聞くことができました。最近は、確かにこの声を聞くことが少なくなったと感じていましたが、普通種と思っていた鳥が絶滅危惧種となってしまったのは衝撃でした。 

月例葛西臨海公園探鳥会でのセッカの出現状況を見ても、その急激な減少が明白です【グラフ】。
チガヤやススキなど、イネ科の植物が生える丈の低い草原を好み、クモの糸を使った巣を作るこの鳥にとって、鳥類園や東なぎさでのアシの繁茂が著しく、チガヤのような背の低いイネ科植物が少なくなったことが、激減した一因と考えられます。

当会の実施する月例探鳥会の鳥合せの記録は、鳥類の生息状況の変化を証明する上で重量なデータとなっています。    鈴木弘行〕