2020年4月30日木曜日

“カラスのケンカ”・食糧源が減った都内のカラスの動向を注視しよう

  


 オオタカの繁殖状況の確認で都心部の緑地を訪れたとき、“カラスのケンカ”現場に遭遇しました。2羽のハシブトガラスが取っ組み合って、上に乗った個体が下の個体のくちばしの根元あたりを何度もつついていて、そこからの出血も見られました 〔写真〕2羽の間に力の差があり、攻撃は一方的でしたが、数分後組み敷かれていた個体が、掴まれた脚を振りほどいて逃げ去り、ことは収まりましたがなかなかの迫力でした。
 
ところで、東京都区内のカラスが減ったと思いませんか。都市鳥研究会が5年ごとに実施している都心部3か所(明治神宮・自然教育園・豊島岡墓地)の調べでは、最大の時期(2000年・18,664羽)と比べ、2015年は、4,816羽と約1/4に減っているとのこと。また、東京都環境局のサイトによると、都内全域でのカラスの「捕獲数」は開始初年度(2001年)が36,400羽だったのに対し、2019年は8,800羽と、都心部のねぐら調査と同じ約1/4に減じていると発表されています。

研究部では20年前に“東京のカラス問題”を提起し、「東京のカラスをどうすべきか」・「東京のカラスをこうして減らす」などのタイトルで、5回のシンポジウムを開きました。
 その当時もっとも力点をおいたのは、路上に放置された家庭や飲食業者から出される「生ごみ」で、人の食べるものなら何でも口にするカラスの習性から、「早朝、だれも見ていない路上に食べ物が置かれていたら、それを食べるのは当然」・「食べ物が豊かであれば、子供が増えるのは当然」として、「生ごみ」の適切な処理を訴えました。
 都では、「トラップ捕獲及び大規模ねぐらでの巣の撤去を継続実施」と「エサやり防止・ごみ対策等において、区市町村と連携して対応」を続けていて、「都庁によせられた苦情相談件数の推移」グラフを見ると往時の1/10以下になっているようで、シンポジウム開催の意義の一部が実っているようです。〔カラスの捕獲には反対を続けています・それについては別項で〕

YouTubeを見ていると、数羽のカラスが1羽を執拗に攻撃している画像がアップされています。なかには明らかに“共食い”と思われるような映像もあり、この鳥の食生活の一面を知ることができます。いま、新型コロナウイルス禍で、都内の多くの飲食店が閉店し、公園なども閉鎖され、彼らの食糧源のひとつである「生ごみ」や「落とし物」が激減しています。
オオタカが営巣している緑地の広大な芝生地では、30羽以上のハシブトガラスが、一面に下りて地面をつついていました。新たな“東京のカラス問題”が発生しないか、一緒に注視してください。  〔川内 博〕