2024年4月11日木曜日

ハシブトとハシボソの個体数逆転・東京のカラス事情・世田谷区の調査結果から

  

 「一般財団法人・世田谷トラストまちづくり 野鳥ボランティア」発行の報告書『2023年世田谷区内野鳥調査報告書』が送られてきました。東京都世田谷区のおもな河川・公園での定期調査をまとめたもので、調査地は多摩川・野川・仙川、成城みつ池緑地・砧公園・駒沢オリンピック公園、羽根木公園の7か所。

報告書では、2023年実施のデータと分析結果、また過去5年間の変化を知ることができます。その中の最後のページに「トピックス ハシブトガラス・ハシボソガラスの個体数逆転」という紹介がありました。それによると、かつては調査地全体でハシブトガラス(ブト)の方が明らかに多かったのが2002年以降急減し、2015年時点では2種の個体数が逆転したとのこと。報告書ではその経過がグラフで示されていて、興味深い資料となっています。

2000(平成12)年前後、都内で増えすぎたカラスの状況は社会問題となり【写真】、当会主催の「とうきょうのカラスをどうすべきか」・「とうきょうのカラスをこうして減らす」というシンポジウムなどが功を奏し、今ではマスコミに登場することがほとんどなくなる状況となっています。

ところで、当時世の中を騒がしていたカラスは“ブト”の方ですので、 この報告書をみると隔世の感があります。しかし“ハシブトガラス急減”が、シンポジウム開催以後の「住民・行政による生ごみ類処理改善」と「都による捕殺作戦」だけでは説明しきれないような状況だとも思います。今後の調査・研究が必要と考えられます。〔研究部〕