2024年1月31日水曜日

越冬期20242② 柳瀬川・金山調節池〔清瀬市〕の今冬のようす

  

柳瀬川は、狭山丘陵の狭山湖に流入する大沢・金堀沢等を水源として、清瀬市と埼玉県所沢市との市境を流れ、新河岸川に合流する荒川水系の1級河川です。調査コースは、例年通り城前橋右岸から上流の清瀬橋に到り、同橋を渡って金山調節池を廻った後、左岸に広がる畑地や林を調査して城前橋に戻るという2時間のコースです。

柳瀬川は護岸工事が進捗し、石組みとコンクリートで固められた人工的な護岸に置き換えられてきました。都内でも有数のカワセミの繁殖地として知られる当地ですが、護岸工事がカワセミの繁殖にどう影響を与えるのか注視していきたいと思っています。工事で一時は姿を消していたセキレイ類は、イカルチドリ【写真】と共に、最近ようやく戻ってきています。

1994〔平成6〕年、洪水対策を目的として整備された金山調節池は、豊富な湧水が湿地を形成し、ヤナギや多様な湿地性植生の群落を支えて、鳥ばかりでなく、爬虫類、両生類、魚類、昆虫その他、多くの生き物を育むビオトープとなっています。池の中央に小さな島があり、カモが種ごとに上陸してのんびり休んでいます。時に一斉に池面に繰り出して落ち着かないことがありますが、このような時には、獲物を狙うオオタカが島の樹影に潜んでいることが多いものです。

クイナも毎年12羽が越冬しますが、今年のクイナは大変シャイで、人影を見ると直ぐに葦の茂みに身を隠します。年によっては、散策用の浮桟橋を平気で横切る個体もいて、種を構成する個体はそれぞれ個性的なものであることが理解されます。今年はツグミが多く、調節池の奥まった一画に、格好の水浴場所があって、4~6羽のツグミの小群が次々と現れ、ヒヨドリと共に水浴していました。  〔清瀬市担当・青木秀武 

2024年1月21日日曜日

越冬期2024①・水元公園〔葛飾区〕の鳥たち

  

   この1月、都内の全区市町村で1か所以上の場所で調査を実施している「越冬期2024」。下町のオアシス・水元公園(葛飾区)での調査を2日に実施しました。同公園は江戸時代に古利根川に由来のある小合溜(こあいだめ)を中心とした一帯で、96haという面積は都立公園のなかで最大の規模。「水郷公園」の異称のとおりメインは“水辺”。2時間程度での調査コースは園北西の「水元かわせみの里」から小合溜ぞいに南下して、旧都立水産試験場~ごんぱち池まで。記録した鳥は411730羽。昨年は32種でしたので、観察種が少し多かったのは調査者が2名だったためと思われます。

  出現種の構成はほぼ同じで、一番数が多かったのはホシハジロ869羽(昨年673羽以下同じ)【写真】、次いでヒドリガモ207羽(334羽)、ユリカモメ110羽(50羽)。その他カンムリカイツブリ9羽(6羽)、オオバン70羽(44羽)、カルガモ70羽(71羽)、カワセミ3羽(2羽)。ここのところ気にしているバンは2羽(1羽)。いつもいる旧水産試験場の蓮池に健在でした。繁殖期と違って嘴~額板の色はどす黒い赤。半年後、繁殖期に調査に訪れた時には真っ赤なくちばしとヒナ連れを期待したいところです。 

ところで、バードサンクチュアリあたりで20名近くのカメラマン・ウーマンと出会いました。皆望遠レンズを携え、上を見上げていました。その一人に目的を聞いたところ“キクイタダキ”とのこと。この冬は各地からその情報が届いていますので、イスカとともに『ユリカモメ』の「鳥信」が楽しみです。          【葛飾区担当・川内博】