8月中旬の大潮の日、大田区の大森ふるさとの浜辺公園に行ってみると、人工干潟の上でムナグロが採餌しており、最大で7羽を観察できました。距離が遠くて画像は不鮮明ですが3羽のムナグロが写っています【写真】。この公園は2007(平成19)年に、京浜急行の大森町駅や平和島駅からそれぞれ徒歩15分くらいの内川の河口部に造成された海浜公園です。公園には人工砂浜が設けられていて、特に夏は家族連れなどに大人気です。釣り船などの通る水路と人工砂浜の間には船の波を除けるための堤防があり、その周囲が干潟として造成されています。この干潟を利用するシギ・チドリはあまり多くないのですが、その中でムナグロは観察される頻度が高いようです。
この場所では大田区都市基盤整備部によって四季を通じて鳥類、魚類、植生などの調査が行なわれており、私も鳥類調査の調査員として参加しています。調査の結果は環境調査報告書として毎年大田区より発行されます。この資料を使ってムナグロの観察頻度を定量的に調べてみました。季節は春(4~5月)、秋(8~10月)、冬(11~2月)を対象とし、夏(6~7月)はシギ・チドリが観察されないので除外しました。2019年5月から2023年1月までのほぼ4年間のデータでは、ムナグロが観察されたのは16回/31回(調査31回中16回)で、季節ごとの内訳は春:2回/8回、秋:9回/12回、冬:5回/11回となりました。春は少なく秋に多いのですが、冬にも4割以上の確率で出現しているのが注目されます。なお観察の最大羽数は春:1羽、秋:11羽、冬:3羽でした。
上記のデータは近年の三番瀬探鳥会や谷津干潟探鳥会におけるムナグロ出現頻度よりも明らかに高く、「ムナグロを見るならふる浜へ」と言えなくもありません。ただし昨年はなぜか出現が1回/7回と少なかったのが気になります。今年の秋、そして冬の状況に注意したいところです。 〔川沢祥三〕
0 件のコメント:
コメントを投稿