2023年8月4日金曜日

東京都区内でのフクロウの近況

           

77日付東京新聞の「生きいき生き物」のコーナーに、武蔵野市・井の頭自然文化園で撮ったというフクロウの写真が載っていました。研究部が都内で行っている「フクロウ類調査」は道半ばで、記録を地名入りでは発表していませんが、今回の記事には撮影場所が載っていましたので、ここでその状況を少し紹介します(というより、現時点ではここまでしか情報がありませんが)。 

新聞発行日の約3週間前の6月20日、井の頭公園(三鷹市)でのオオバンの繁殖状況を見に行ったついでに、井の頭自然文化園を一周していた時、望遠レンズを構えている複数の人を見かけました。何を撮っているのか尋ねたところ「フクロウ」とのこと。樹上8メートルあたりに、2羽のフクロウを確認できました【写真・川内】。 

武蔵野市では今までフクロウの記録は文献上にはありません〔『東京都産鳥類目録2000』〕。また、約20年ごとの繁殖状況が載っている地図を見ると、西多摩地区(奥多摩)から南多摩・北多摩地区へと徐々に繁殖分布を広げていることがわかりますが、まだ武蔵野市までは届いていないように見えます『東京都鳥類繁殖分布調査報告 2016-2021』(2021年刊)。ネット上でこのフクロウについて追ってみると、数年前から付近で観察されているようで、2羽定着ということであれば、繁殖も期待できるところです。 

フクロウの区内での繁殖は、すでに千代田区の皇居と赤坂御用地での事例が公表されていますが、他の「緑島」でも可能性が高まっています。なお、市街地での「夜の鳥」の観察・調査は“不審者”扱いで通報されることがありますのでご注意ください。            〔研究部・川内博〕           

 

0 件のコメント: