2017年7月22日土曜日

都内のムクドリのねぐらは?・⑦            共存の道は?

           

ことしも“駅前ムクドリねぐら騒動”の季節となりました。都内のねぐら地の検証を進めていますが、昨年、ムクドリ専用の“新兵器”でかく乱された東京メトロ東西線・西葛西駅南口広場には、719日夕方、目測3000羽が集まっていました。〔写真〕
「ムクドリが嫌う周波数の音を流して、ねぐらの木に止まらなくする」ということで、その機器は各地のねぐらに設置され、当初は抜群の効果を示しますが、時間がたつにつれて“残念ながら”の結果に終わっているようです。西葛西駅前も、昨年の後半と同様なんの効果もなく、鳴声騒音といつ落ちてくるかわからない糞の問題をかかえて、午後7時過ぎには広場一帯の街路樹のなかに収まってしまいました。

720日の夕方訪れたJR八王子駅北口から続く大通りにも、今年は人工合成音が流れていました。ムクドリの動きは、昨年同様まず近くの電波塔などに集まり、次いで大手家電店の屋上に移り、1000ルクスを切るころから街路樹におり始め、500ルクスくらいで大半がマロニエの並木に収まりました。その間、複数台設置された“新兵器”は、時間差攻撃で鳴っていましたが、西葛西駅前同様、まったく効果なく、最大85デシベル(dB)以上の音が鳴り続けていました。

その足で、今夏変化があったという京王線・聖蹟桜ヶ丘駅の状況を調べてみました。情報通り、ねぐらの中心地であった商業ビル・せいせきB館とC館をつなぐ歩道橋周辺には1羽のムクドリもいず、昨年から設置された機器が、八王子と同じ音を流していました。しかし、そこから200m離れた街路樹には数100羽のムクドリの鳴声がしていました。
それを確認して、移った先ではないかという同じ路線の分倍河原駅の周辺を調べてみました。ここは前2駅と違い、にぎやかな飲食店通りが1本あるだけで、“人通りが大好き”な都会派ムクドリのねぐらには適地ではないと思われ、姿も鳴声も確認できませんでした。

 ムクドリのねぐら形成については“定説なし”が現状です。さまざまな嫌がらせをしても立ち退かなかったのが、ある日突然原因不明でいなくなることもよくあります。しかし、いなくなったのはその場所だけのことで、その群れは移ったどこかで新たなトラブルが生じている可能性大です。40年来解決できない難問のとりあえずの答えは“消滅させることは不可能・共存する道を捜すのがベスト”。〔日本野鳥の会東京・研究部〕

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