2015年9月8日火曜日

都内のムクドリのねぐらは?・③           西葛西駅のいま

           

東京のムクドリの集団ねぐら地として、全国的にも知られている地下鉄東西線・西葛西駅前で異変が起きていました。95日(土)、午後615分ごろ、辺りはうす暗くなっていましたが、ねぐらとしている南口のクスノキの大木からはムクドリの騒音が聞こえてきません。代りに、クスノキのそばに設置された4つの小さなスピーカー〔写真〕から、カシャー・カシャーという人工的なノイズ音が連続して響いています。クスノキに近づく群れも木に止まらずUターンしていきます。

 ムクドリはどこにと探すと、そこから約100m離れたビルの屋上のTVアンテナや広告塔に数百羽ずつの群れで分散して止まっていていました。清砂大橋通り(国道450号)で、ビルの屋上のようすを見ていると、620分過ぎ、30ルクスくらいの暗い中で、眼下の公園・「子供の広場」へ次々と降りていき、そこの樹木に全群が集まりました。ねぐらの直下では70デシベルを超す騒音状態。しばらくすると鳴き声も小さくなったので、駅前に戻り、北口へ回ったらにぎやかなムクドリの声。駅前広場の樹木数本に多数の影が。一部は南口から北口に移動しただけのようです。

 ムクドリの嫌がる周波数の音を出すというこの新器機は、各地で成果をあげているようです。しかし、長期間使うと、ムクドリたちは実害のないことに気づき、慣れてしまい、効果が半減するという、これまでのいろいろな対策と同じ経過をたどる可能性もあると思われます。

 この問題を解決するには、ムクドリを被害のより小さい場所に「移動」させるというのが、いま採れる一番有効な方法と思います。そのためには、ムクドリのための「ねぐら場所」を設定し、この器機などを用い、そこに誘導するなどの計画性が必要です。

 「散らすだけ」の対症療法的な対処から、一歩進んでもらいたいと感じたのが、今回の西葛西駅前での観察でした。
この地で、ムクドリを観察されている方は、ぜひその後の状況をお知らせください。          (日本野鳥の会東京・研究部)

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