去る3月9日に、東京池袋の立教大学で開催された「東京オオタカ・シンポジウム」に参加させていただきました。
主催者によれば、当日は総勢約160名の参加者を得たとのことで、オオタカ〔写真・土橋信夫氏撮影〕に対する皆さんの関心の高さが伺われました。シンポジウムは5時間に及ぶ長丁場でしたが、途中で退席される参加者もほとんどなく、パネルディスカションで参加者全員による討論・質疑応答がなされる様子は、かつてのカラス・シンポジウムを彷彿させるものでした。
環境省では、この春、オオタカの希少野生動植物種「指定削除」の2回目のパプリックコメントを実施するということです。こうした事態を前にして、前のめりに議論するのではなく、まずはオオタカを知ろう、オオタカはどこに何羽位いるのか、どこで繁殖し、各自冶体の保護・保全の現状はどうなっているのか等々、オオタカに関する基本的な知識を共有し次につなげていこうというのが今回のシンポジウムの主旨のようでした。
この主旨に沿って、東京各地区、埼玉県、神奈川県、千葉県のオオタカの生息・繁殖の状況が報告されました。また、埼玉県や神奈川県の保護対策の現状と問題点が報告されました。オオタカの生息地や繁殖地で、小規模開発によって環境が破壊されようとする事態を前にして、自冶体や関係団体の方が、法的拘束力を持たない条例や指針に基づいて、何とか環境を守ろうと苦慮されている姿に敬意を表したいと思います。
オオタカに関する情報は、いろいろ思惑があってか隠されがちですが、今回のシンポジウムで多くの情報が公開され、新たに得られた多くの知見から「オオタカ問題」の概要が少しずつ見えてきたような気がします。
情報を公開するところは公開して共有し、保護・保全の更なる飛躍を目指すというシンポジウムのもう一つのねらいもあったのかもしれません。パネルディスカッションでは、問題が多岐に渡るため流れを追うのが大変でしたが、これも「オオタカ問題」の複雑さと奥の深さのあらわれなのでしょう。
今回のシンポジウムの開催について、主催者や後援者の皆様をはじめ関係する多くの方々のご協力とご努力に厚くお礼申し上げます。 (日本野鳥の会東京会員 青木秀武)
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