“アホウドリ(阿呆鳥)をやめて、オキノタユウ(沖の大夫)に”と改名を主張し続ける、この鳥の第一人者・東邦大学名誉教授・長谷川 博さんの講演会「オキノタユウと40年・・・その保護研究活動を語る」(日本野鳥の会東京主催)が、10月17日(土)午後に、会員を対象に東京・新宿で開かれました。〔写真〕
前半は、太平洋上の絶海の孤島・鳥島で、一時は絶滅宣言されたオキノタユウを、1976(昭和51)年秋から調査を始め、以来40年の歳月を費やして、今シーズン(2015‐16年繁殖期)には、700組以上の番いが産卵し、500羽以上のヒナが巣立つことは確実といえるまでに復活させた話です。
長谷川さんは、ひとり孤島に渡り、オキノタユウの繁殖地の保全・改善を続け、新たな営巣地を造り、成鳥やヒナの数をかぞえ、足環やカラーリングをつけるという作業を黙々と続け、都や国も動き、ついには、特別のことがない限り“絶滅”という事態は起こらない状態にまでたどり着かせました。そして、3年後の2018年に、鳥島の集団の総個体数が約5000羽になると予測されるので、それまで調査を続けるとのことです。
後半は、オキノタユウの未来にかけての話で、現時点まではその数は右肩上がりで、保護活動がうまくいってはいるものの、漁業による混獲(こんかく)や海洋汚染問題が、世界的にますます深刻化している現状のなかで、オキノタユウだけでなく、海鳥類全般の問題としてどう対応していくか、これからの宿題も大きいとの話で締めくくられました。
折しも、NHK・ラジオ第2放送で、平岡昭利さん(下関市立大学名誉教授)の講演「アホウドリと帝国日本の南進」という番組が、4回シリーズで放送されています(※)。ここでの話を聴くと歴史的な背景の知識が加わり、「オキノタユウに改名を」という長谷川さんの主張の妥当性が、より深く理解できるようになると思います。
※第3回の再放送が10月24日(日)午前10時~11時に、また、第4回の放送が同日午後8時~9時に予定されています。
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