2013年2月18日月曜日

この冬のウソは・・・私の考え

  


「ことしのウソやキクイタダキ・ヒガラはどこから来たのか」について、私は次のように考えています。
亜種アカウソが日本に繁殖しないことは繁殖期に国内で山歩きをされる方はご存じのとおりで、冬鳥として渡来しているアカウソが、日本より北から飛んできているのは、2月14日付のブログに書かれている通りだろうと思います。ですが今年が「例年以上に『アカウソ』が多い」というのは、にわかにそうだといえない気がします。たとえば、20067年にも関東南部にウソがたくさん渡来しましたがそのときもむしろ亜種ウソは少なかったのではないかと思います。〔写真:葛飾区水元公園にて・川内博氏提供〕
東京都千葉県と移り住んできた私などもウソは基本的に夏山に登って見る鳥で、おのずと雄の腹が灰色の亜種ウソを見て、普通の冬は種ウソにはあまり出会わない生活をしています(あるいはそれは冬に山沿いや北のほうに出かけてまめにバードウォッチングしてないというだけかもしれませんが)。そのため亜種アカウソにはなじみがなかったのですが、亜種アカウソはもともと冬鳥としてはいたってありふれた鳥のようです。高野伸二さんは、亜種アカウソについて「冬期には本州以南でも普通に見られ」(野鳥識別ハンドブック, 1980)と書かれています。また、国立科学博物館名誉研究員の森岡弘之さんは、「An abundant winter visitor to Japan (日本ではたくさん渡来する冬鳥)」(「日本およびその周辺地域のウソの亜種」国立科学博物館専報25,1992 )と書かれています。

というわけで「例年以上に」の例年がくせもので、そもそも、例年は関東の平野部ではウソはあまり見られないということがあり、そのためもあって実際には、関東南部のバードウォッチャーは従来ウソの亜種にあまり敏感でなかったところ、昨今の写真ブログの隆盛と、それに付随して、識別点がインターネットで流布したことによって、アカウソの存在を気にする人が以前より増えてきたために、以前より多くなったように感じているという可能性も考慮する必要があると思います。ウソ1種をとっても今年の冬鳥の状況が日本国内だけの事情でないことは明らかだろうと思います。私の聞いているところでは韓国でも普段飛んでこないところにウソが見られているそうです。ヤマガラも韓国、中国で普段見られないところに飛来しているそうです。 (平岡 考)

2013年2月14日木曜日

ことしのウソやキクイタダキ・ヒガラはどこから来たのか

  


今冬は、全国的にウソやキクイタダキ、ヒガラ〔写真・東京都文京区・六義園〕など、日ごろ見かけない「山の鳥」が平地でも大賑わいですが、ウソに関しては、例年以上に「アカウソ」が多いという話をよく聞きます。
それについて、先日開かれた日本野鳥の会東京・研究部の「野鳥記録委員会」でも話題になり、「ことしのウソのほとんどは、日本で繁殖する亜種ではなく、もっと北の地方にいる亜種ではないか?」という見解が出されました。その根拠のひとつは、どの個体をみても腹の色に赤みがあるとのこと。そういわれて、何枚かの写真をチェックするとそんな気もするといったところ。
わが国でも繁殖する鳥だけに、ついつい山から下りてきたと思いがちですが、そうであれば、日本だけの問題ではなく、すこし意味も変わってくるのではないでしょうか。
日ごろなかなかじっくり見ることのない鳥だけに、羽の赤みだけでは多くはいえませんが、キクイタダキやヒガラについても、同じような見方も必要ではないでしょうか。
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