2011年10月29日土曜日

エナガの謎・東京都心・東京湾岸に生息分布が広がる

  

東京の市街地でエナガ〔写真〕の動きがあるということは、本ブログの2008年6月13日付で、他の鳥とともに紹介しました。その具体的な話は日本野鳥の会東京(支部)機関誌『ユリカモメ』の2008年7月号~2009年4月号の中で6回にわたって掲載し、そのまとめ的な話を(財)日本鳥類保護連盟の機関誌『私たちの自然』(2009年7月号)に書きました。その際作製した分布地図を本ブログ2011年1月26日付にアップしていますのでごらんください。

この動きは、かつてのヒヨドリやコゲラと同じパターンなので、近いうちに都心部の緑地にも進出するだろうと予想をしていたところ、まさに的中。東京都心への進出ぶりは目をみはるもので、昨年から今年にかけて、明治神宮や新宿御苑などに定着し始めました。さらに、この話は千葉県の船橋・習志野市へも飛び火(?)。東中山や谷津干潟あたりの緑にも生息するようになり、繁殖している可能性もあります。

現在、その状況をまとめています。今まで生息していない場所で、定着や繁殖をするようになったところをお教えください。            (川内博) E-mil:hkawachi2@yahoo.co.jp

2011年10月17日月曜日

高尾山・多摩丘陵の問題が見えてきた・第1回東京の環境を考えるシンポジウムを終えて

  

  高尾山」といえば東京屈指の探鳥地、全国レベルでも有名な場所ですが、この地が野鳥の宝庫であることが分かったのは1937(昭和12)年からとのこと。それを明らかにしたのは、今回のシンポジウムの基調講演者・清水徹男さん(元日本野鳥の会東京支部副支部長・小金井自然観察会会長)。清水さんによると、「・・・野鳥の会会員の東京市水道局職員古賀正氏が昭和10~12年、高尾山薬王院の水道工事のために高尾山をたびたび訪れたところ、この地に野鳥が多いことに気付き、これを中西(悟堂)先生に紹介した。中西先生もかねてから高尾山は優れて野鳥の繁殖地とは気付いていたが、古賀氏に指摘されるまではさほど重視されていなかった」とか。今回の同氏がシンポジウム用に出されたレジュメ「高尾山の野鳥・戦前戦後を比較する」には、高尾山に関する戦前・戦後の文献が多数紹介されていて、それをもとに出典を読んでみるのはおもしろく、有意義と思われます。12ページにおよぶそのレジュメの最後に、「・・・残念ながら蒲谷(鶴彦)さんのこのご心配は現実のものになってしまった。高尾山の鳥は、20年、30年前と比べて『あまりにも変化がありすぎる』結果となってしまった。これからはわずかながらも良いほうに『あきらかに変化が見られる』となることを祈ってやまない」と記されています。圏央道問題、登山者の急増など、自然環境のこれからが心配されている高尾山の環境保全について、「高尾探鳥会の顔」として活躍された清水さんの講演は、温故知新という意味でも意義深いものでした。

  今回の東京の環境を考えるシンポジウム「第1回 高尾山・多摩丘陵の自然の今と昔・そして未来」〔写真〕は、高尾山の鳥相の変化を知ることだけではなく、その過去からの状況を知ることによって、現在足元にある問題を表面化しようというもので、高尾山に連なる多摩丘陵の現状を町田市と稲城市から報告してもらいました。元幹事の倉持内武さんの報告は、町田野鳥の会のメンバーからの話も加わり、より立体的な内容として聞くことができました。また、稲城市の「南山」の問題は、以前から話題になっていましたが、会員の菊地有子さんからの問題提起は、より具体的で身近なものとして認識することができました。今後発展させていきたいと思います。
  10月14日に開いたこのシンポジウムは「保護研究」という、当会としては新しいグループが立ち上げたものですが、約40名の参加を得て、意義の高い集まりとなりました。ここでの話題がきっかけとなり、実際の保護活動や調査などが始まることが期待されます。

2011年10月11日火曜日

高尾山・多摩丘陵の環境を考えるシンポジウムへのご案内

  

日本野鳥の会東京が毎年開催していますシンポジウム、今年から都内の環境を考えるシリーズとなります。その第1回として、高尾山およびそれに連なる多摩丘陵を対象に開きます。パネリストとしては、かつて高尾山探鳥会の名物幹事として知られた清水徹男氏、元当会幹事で、「町田野鳥の会」の役員としても活躍の倉持内武氏、地元稲城市の自然に関心が深い会員・菊地有子氏の3氏。後半のパネルディスカッションには現役高尾山探鳥会リーダーの中尾淳一氏も参加して、過去・現在・未来の高尾山・多摩丘陵の自然環境だけでなく、社会環境も含めて考えていきたいと思います。
           〔写真:最近高尾山で目立つキビタキ 土橋信夫氏提供〕
【タイトル】東京の環境を考えるシンポジウム 
      第1回 高尾山・多摩丘陵の自然 今と昔・そして未来
【日時】2011年10月14日(金)午後6時開場、6時15分~9時
【会場】東京・渋谷区立千駄ヶ谷区民会館1階会議室
【定員】先着60名  【参加費】300円  どなたも参加できます 
※会場案内地図は、本ブログ5月3日付をご覧ください。