2009年3月27日金曜日

東なぎさ・素敵なロケーション

  


3月19日(木)の午前中、東京都のRDB関係で、葛西臨海公園先の東なぎさの調査を行いました。ここはに入るのに許可が必要なことはもちろん、最大の難関は幅100m程度の運河を渡らなければならないこと。数万円かけて船を雇うこともできず、長年、西なぎさからその一部を見るか、クリスタルビューから遠望するかしかなく、一度も上陸したことがありませんでした。しかし、世界的な珍鳥・クロツラヘラサギが数羽、以前から見られているなど、東京湾最奥部の水辺環境としては重要な場所。しかし、その実態はあまり知られていません。東なぎさ・西なぎさはご存じのように、葛西臨海公園の中のひとつとして造成された「人工なぎさ」。西なぎさが一般開放されているのに対し、東なぎさは生物・とくに鳥類保護のために立ち入りが禁止されている場所で、釣り人などがときどき立ち入いるほかは、人気のない環境として保全されています。
19日は朝、他の調査に便乗して東なぎさに渡してもらい、端から端まで、3時間程度の探索をしてきました。その感想は、“東京湾最奥部にこんな素敵な環境が形成されているとは!”という、予想以上の驚きでした。上陸したときは小潮の干潮時、オオジュリンやツグミなどが飛ぶ、枯れたヨシ原を探索しながら東端に着くころには砂質の干潟があらわれてきて、ダイサギやアオサギ、ユリカモメ、ハマシギの群れが次々に飛来し、ミヤコドリも10羽以上が採餌するような状況になりました。なにより気分がいいのは広々とした干潟が形成されていること。人工なぎさの成功例ではないでしょうか。周りの景色も東京とは思えない、しかし、水族園の建物やディズニーランドが近くに見えたり、佃島の超高層ビルが遠望できたりするので、確かに東京は間違いないと確認するという、素敵なロケーションでした。
カンムリカイツブリ・スズガモの数1000羽の群れ、夏羽のハジロカイツブリの小群、シロカモメ、ミサゴなど26種類を数えました。鳥影はまだ少ないという印象でしたが、逆に、もっといい環境にして、とくにシギ・チドリ類が利用できるような工夫のしがいがある場所だとも思いました。
詳しくは4月15日(水)夜に予定している『日本野鳥の会東京支部・室内例会』で写真を交えて報告します。
近く研究部HPに案内を載せますので、ご来場ください。(川内博)

2009年3月22日日曜日

冬鳥の終認(しゅうにん)記録をとろう

  

ここのところ荒川の彩湖に何度か訪れています。ヨシガモが近くに見られます(写真)。天気の良い日などには、独特のディスプレイなども観察でき、ヨシガモ・ウオッチのポイントのひとつ。また、この湖のセールスポイントであるカンムリカイツブリはほとんどが夏羽に換わっていて、以前の「白い鳥」から黒っぽい鳥に変身しています。また、オオバンが200羽程度越冬していて、群れで岸辺に上がって、ゆっくり採食している姿も見ものです。
これらの冬鳥たちは、間もなくこの地を去って行くでしょう。いつ姿を消したか、それを「終認」といい、その正確な日を知ることはけっこう難しいものです。なぜなら、いつも観察しておかなければならないからです。
今年の冬は、オオハクチョウが飛来したり、ヒクイナが越冬したり、オオコノハズクが長期滞在したりと、ギャラリーが押し寄せるような話題が続きました。3月下旬から4月いっぱいは、冬鳥と夏鳥の交替時期、鳥たちの動きにご注意を。(川内博)

2009年3月16日月曜日

今年のツバメの初認日(しょにんび)はいつ?

  

この時期の風物詩のひとつは、夏鳥・ツバメの初認日(その年初めて観察した日)。例年トップグループの多摩川では、今年は二子橋下流で3月9日とのこと。例年より早いようです。私も13日、練馬区の都立石神井公園のボート池(1月にオオハクチョウ4羽が飛来した池)で、上空を飛ぶ1羽を観察しました。ただし、月に数回しか行かない場所なので『初認』かどうかはわかりません。地元の真下弘さんにお聞きしたところ、今年はまだ見ていないが、例年は3月上中旬に少数の通過個体があり、繁殖個体は3月末ごろ渡来とのこと。定着はしない個体だったのかもしれません。
ところで、中央区銀座では、繁殖個体の飛来が早まっているのというレポートがあります。銀座をフィールドにしている金子凱彦さんが、1984年~2008年までの間で、継続調査している松屋本店裏、東都自動車、マリンスポーツ財団などでの飛来時期が、当初は4月上旬だったのが、最近は3月下旬、中旬にと早まっているとのこと。身近な場所ではいかがですか。ちなみに、金子さんのレポート報告の題名は「銀座地区のツバメの観察記録(3)(1984年~2008年)」、都市鳥研究会の最新刊『Urban Birds』Vol.25 に所収されています。(川内博)